ウルトラマンブレーザーの映画、見てきました。テレビシリーズの延長のような「通常運転」ぶりで、私は楽しく見ましたが、映画ならではの「特別感」に欠ける、という感想を持ったファンも少なくないようである。なるほど映画で初登場するタイプにチェンジもしなければ、客演のウルトラマンもいないので、その辺を期待するファンには物足りないのかもしれない。

私は全く逆で、映画というとゲストキャラクターの登場場面が多くなり、レギュラー隊員の出番が減ったり、ストーリーを凝りすぎて複雑にして、いつもの雰囲気を壊しちゃう方が嫌なんですよね。今回の映画はそれこそ人によっては「テレビスペシャルかよ」って言われちゃうくらいの「通常運転」ぶりでした。でも、ウルトラシリーズ初?の国会議事堂の破壊シーンをはじめ、田口清隆監督得意の本編と特撮の迫力ある合成シーンなど、特撮的には迫力満点でした。ラストバトルがやや冗長すぎる気はしましたが。

 

まあ、確かにストーリーに目新しさは全くなく、隊員同士の関係性がテレビシリーズより深まったりという感じは特になかったので、この辺はもう少し「特別感」があっても良かったかもしれない。ラストでゲント隊長の家に隊員が集まって焼肉パーティをする場面で、隊員が「隊長!」を連発してましたが、あれ?隊長だって家族には秘密なんじゃなかったっけ?

「隊長・・・じゃなくて(施設)課長!」くらいの小芝居があってもよかったかも(笑)

映画の内容には関係ないのですが、公開3日目の午前中に見に行ったのですが、入場者プレゼントが終了してたのも驚いたけど、パンフレットが完売してたのはどうなの?去年のデッカーもパンフレットが完売で買えませんでした。転売屋が買い占めているのか、単純に用意されている絶対数が少ないのかわかりませんが、もっと潤沢に用意して下さいよ!

 

先週は「仮面ライダー555 パラダイス・リゲインド」も見ました。長男はリアルタイムで555見て以来の大ファンで、BDボックスは持ってるし、最近出た5万円もする大人向け555ベルトを買うほどの筋金入りの大ファンなのですが、「ワクワクしながら見に行ったのにヒドかった。見る価値なし!」と激怒していた。あまりに激怒していたので、逆に何がそんなにヒドいのかと興味を持ち、私は次男と見に行ったのだ(笑)ちなみに私と次男は555は近年になってからフツーに見たが、特にそれほど強い思い入れがあるわけではない。長男に比べて期待値が低かったからなのか、普通に楽しく見られたのでした。新型の555はスマホを使って変身するが、クライマックスでガラケーを使って旧型の555に変身するシーンでは主題歌もかかって、単純に見ながら燃えました!

 

長男とはラインで簡単なやり取りをしただけなので、今度の映画のどこがそんなに気に入らなかったのかわからないのだが、彼が555を愛しているが故に期待も高く、きっと「見たい555」の形と今回の映画がシンクロしなかったのだろう。

普通のテレビシリーズの劇場版、というだけでもそこに何を望むのかはファンそれぞれだろうし、今回のような20周年記念映画ともなれば、望むものはもっとファンそれぞれによって違うものになっていくのかもしれない。

 

1980年から続く映画ドラえもんシリーズは、テレビシリーズとはまた別物とも言えるような違うテイストを纏った作品群であり、これはまた稀有な例である。ドラえもんは「テレビシリーズ」と「劇場版」というより、藤子・F・不二雄が短編作品と長編作品で全く作劇の方法を変えているためだろう。特に劇場版第1作「のび太の恐竜」は実に映画らしい構成のストーリーであり、それでいてしっかりとギャグも含めて「ドラえもん」としても成立していて完成度が高い。その後の劇場版のひな型になったと言えるだろう。

 

アニメや特撮の作品では、その劇場版を見に来るのはほぼ100%テレビシリーズのファンであり、一見さんはまあ、見ないだろう。その、お得意さま(ファン)に向けてどういうものを提示するのか、というのは制作者の考え方ひとつである。

「グリッドマンユニバース」のように、テレビシリーズの「グリッドマン」と「ダイナゼノン」を見ていない人にはチンプンカンプンな内容だが、その代わりファンが喜ぶツボをつきまくったネタをふんだんに登場させ、また後日談としてもうまくまとめていた。テレビシリーズの雰囲気を残した「通常運転」を行いながら、異なる2作品のキャラクターの共演という「特別感」をも併せ持つ良作だった。「ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ」もこのライン上の作品だろう。

 

「けいおん!」の劇場版である「映画けいおん!」も放課後ティータイムのメンバーが海外に行ってライブを行うという、映画ならではの「特別感」を持ちつつ、やってることはテレビシリーズと変わらずのんびりほわほわの「通常運転」という、ファンが望む最高の形で着地した好例といえる。

 

「ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦」は私は結構好きな映画だが、パラレルワールドを舞台にした番外編的な作品のため、「ガイア」の劇場版としては異質で、我夢以外のXIGのメンバーはほぼ登場しないし、アグル(藤宮)や玲子側のキャラクターも出ない。テレビシリーズの「ガイア」の雰囲気が好きで「通常運転」の延長戦上の映画を期待したファンは肩透かしを食らっただろう。「特別感」を通り越して「番外編」な作品なのだから。

 

テレビシリーズの作品の劇場版に「通常運転」を望むのか「特別感」を望むのかというのは永遠のテーマなのかもしれない。