1980年に伝説のドラマが放送された。そのタイトルは「ピーマン白書」。1980年10月4日から11月22日にわたり全6回がフジテレビで放送。何が伝説かというとキー局が製作した番組としては開始から終了までの日数50日は当時の最短記録であり、その後2002年の「自信回復TV胸はって行こう!」に抜かれるまで22年にわたってワースト記録だった。

 

もともと全26回予定が極端な低視聴率のため全9回に短縮、更には第5回の翌週に最終回(第9回)が放送され第6~8回が未放映になるという憂き目にも遭った。(翌1981年3月の深夜に第1回の再放送、第6~8回の初放送、最終回の再放送という形で放送された)

 

低視聴率で打ち切り、というとどれくらいつまらなかったのか、と思われそうだが、決してそんな事はなく、私は毎週楽しく見ていた。おちこぼれの中学生が校長の「小学生からやり直してこい!」という言葉を真に受け、自分たちを受け入れてくれる小学校を探して全国を旅するコメディドラマだ。基本コメディなのだが、様々な社会問題などを取り込み、意欲的なドラマだったが、その設定や繰り返されるドタバタ劇が視聴者に受け入れられなかったのかもしれない。だが、低視聴率の一番の原因は裏番組に当時お化け番組と言われた「8時だヨ!全員集合!」があり、それに太刀打ち出来なかったという事だろう。21世紀の現在ではぶっ飛んだ設定のドラマが深夜枠などでたくさん放送されており、今だったら「ピーマン白書」は何の問題もなく放送され、受け入れられたような気がします。ちょっと時代を先取りしすぎたのと、ゴールデンタイム(20:00~20:54)の放送が合ってなかったのだろう。

私は特に第3回「SOS!白骨樹林の大遭難」と最終回「仰げば尊しわが師の恩」が好きである。

 

アバンタイトルで毎回繰り返される「中学生が旅に出た。25人が旅に出た。小学校を探す旅に出た。勉強をやり直すために。大人は子供からやり直そう。小学生は幼稚園からやり直そう。幼稚園児は赤ちゃんからやり直そう。さて、赤ちゃんは、どうしたらいい?」という吉田日出子のナレーションが印象深い。

出演者も豪華で、中条静夫(校長)、ハナ肇(PTA会長)、樋口可南子(マドンナ)などなど。劇中に登場する謎の生物・Xの声は吉田日出子が兼任。(デザインは黒鉄ヒロシ)なかでも特筆すべきは教頭を演じた岸田森の怪演である。毎回振り切れた演技とコスプレ?で大いに笑わせてくれる。この岸田森の演技を見るだけでもこのドラマを見る価値があるというものだ。

 

生徒役がまたスゴイ!特撮ファンなら涙モノの山添美千代(「少年探偵団」のマジョ)、柿崎澄子(「透明ドリちゃん」)富永みーな(「ウルトラマンレオ」の梅田カオル=現声優)。他に「俺はあばれはっちゃく」の早瀬優香子、そして当時アイドル歌手として活動していた私イチオシの比企理恵が落ちこぼれではない唯一の優等生・花村京子役で出演していた。尚、男子生徒役で出演している高橋克典は現在活躍している高橋克典とは同姓同名の別人のようです。(本編を確認していないので、未確定ですが)

私は当時録音したカセットテープは所蔵していますが、残念ながらビデオは残っていません。だが、番組開始前の番宣スポットを録画しており、録画したベータマックスがまだ現役だった時代にDVDにコピーしていたので、そこから少し画像を紹介しよう。

主役の夏目先生役の坂井裕一。残念ながらこの番組の後は見た事がありません・・・。

柿崎澄子(中)

山添三千代(中)。多分(右)は富永みーな。

山添三千代は劇中カットもネットで発見。

比企理恵(右)

 

脚本はウルトラシリーズでもお馴染みの佐々木守が6回、山田正弘が2回担当。残る1回は「桃尻娘」で有名な橋本治であった。

音楽は「サザエさん」などの越部信義。印象的な曲が多く、私は大好きでサントラが欲しいくらいだったが、番組自体が打ち切りじゃサントラなんて出るわけない(汗)ちなみに前番組「土曜ナナハン学園危機一髪」は出ていたので、「ピーマン白書」も人気があれば出たかもしれない?

オール・ジャパン・デビル・バンドが担当した主題歌「パラダイス・コネクション」、「トゥモロー」もなかなかいい曲だった。作詞・阿久悠、作曲・大野克夫であるからコンピレーションCDなどにはもしかしたら収録されているかもしれない。

 

2023年2月現在映像ソフト発売はおろか再放送すら一度も行われていないが、確認したところYouTubeに第2回から最終回がアップされているようです!当時のビデオ録りのようですが、残念ながら第1回がない!

見られるだけありがたいですが、フジテレビさん、責任取ってCS放送ででも再放送してくれないですかね?お願いします!

蛇足ですが、当時私が比企理恵に夢中だった顛末をブログに書いておりますので、興味がある方は是非お読み下さい。