特撮ファン、というより1970年代のテレビっ子だった方には忘れ得ぬ名優・高野浩幸さん(1961~)。

私が高野浩幸の顔と名前をハッキリと意識したのは「なぞの転校生」(1975)の主役・広一役だったと思う。NHKの少年ドラマシリーズの中でも印象に残る名作だ。ちなみに2014年のリメイクされた同作品では広一の父親役で出演しているそうです。

特撮作品の代表作は主役のひとり白鳥健太郎役を演じた「超人バロム・1」(1972)でしょうか。私は残念ながらこの作品は見た事がないのですが、

1971年の「帰ってきたウルトラマン」第15話「怪獣少年の復讐」の史郎役は覚えていました。好きな怪獣は?と聞かれると「エレドータス」、嫌いな怪獣は?と聞かれても「エレドータス」と答えるのが印象的で、放送翌日に友達と”ウルトラマンごっこ”をした時に『好きな怪獣は?と聞かれるとエレドータス、嫌いな怪獣は?でもエレドータス!』とやりました(笑)子供の頃からマニア気質だったのか、私は”ウルトラマンごっこ”といっても”戦いごっこ”ではなく、作品中の気に入ったセリフを言ったりして遊んだものです。同じく「帰ってきたウルトラマン」では「地球頂きます!」の時にヤメタランスの真似?をしてなんでも途中で「や~めた!」と放り出す遊びをやった覚えがあります(爆)

余談ですが、このエピソードで、当時大流行していた”アメリカンクラッカー”が登場し、その音も印象的に使われていますが、このおもちゃは発売後すぐ「危険だ!」と言う事になり親たちから禁止され、発売中止になってしまったものです。そういう意味で作品中に映像が記録されたのは貴重と言えるかも知れません。

円谷プロ作品では他に「怪奇大作戦」第12話「霧の童話」(1968)の健一

「ウルトラセブン」第45話「円盤が来た」(1968)での少年(ペロリンガ星人)役でも出演。

少し後年になってからだが「3年B組金八先生」第2シリーズ(1980)の第1・2話のゲスト出演も印象に残る。金八のクラス出身の生徒ではないのだが、「地球はおまえを中心に回ってるんじゃない!」と叱責された事を覚えていて卒業後に金八に会いたいと連絡してくる生徒役だった。ウルトラシリーズの時からこういうちょっと陰のある役が上手いですよね。

平成に入ってからも「ウルトラマンティガ」(1996~)でキリエル人(預言者)役で出演し、ファンを喜ばせた。

そしてウルトラファンが感涙にむせんだであろう「ウルトラマンタイガ」第6話「円盤が来ない」(2019)のゲスト出演。星へ帰りたがる男をペロリンガ星人が迎えに来るというセブン「円盤が来た」のオマージュ作品となっている。

このエピソードはもともと「円盤が来た」にフクシン役で出演した冷泉公裕にオファーする予定が、直前に冷泉が急逝したため、設定を変更して高野浩幸をキャスティングしたそうだ。高野は共演した冷泉への追悼のため出演を快諾したという(涙)

 

ウルトラシリーズはシリーズを跨いだ続編的なオマージュ作品が他にもある。「ウルトラQ」第18話「2020年の挑戦」(1966)→「ウルトラマンZ」第18話「2020年の再挑戦」(2020)、「ウルトラセブン」第8話「狙われた街」(1967)→ウルトラマンマックス第24話「狙われない街」(2005)などだ。長い歴史を持つシリーズだからこそ出来るオマージュであり、ファンとしても感慨深い。更に高野浩幸さんのようにオリジナルキャストでの再出演は作品により深みを与えてくれる。本当にありがたい事である。