「ウルトラマンティガ」のミュージックコレクションの5枚組CDを聞き、ウルトラ好きだった長男の結婚式を終え、今、頭の中はちょっとした”平成ウルトラマンブーム”が起きている。長男は「ティガ」から「ガイア」の平成ウルトラシリーズにどっぷりと浸かって育った。中でも年齢的に一番夢中で見ていたのは「ダイナ」であったろう。「ティガ」の音楽を担当した矢野立美は「ダイナ」でも続投し、オリジナル曲が少なかった「ティガ」の鬱憤を晴らすように素晴らしい音楽をたくさん生み出し、結果4枚のサントラアルバムを発売するに至った。私の愛してやまない「ウルトラマン」(1966)以外では間違いなく最も多く何回も聞いたウルトラサントラは「ダイナ」であり、長男も大好きで親子で聞きまくったものだ。今回俄かマイブームで久しぶりに「ダイナ」の音楽をじっくりと聞いたが、本当に素晴らしく芳醇な楽曲群である。

その記念すべきサントラの1枚目。まず、開巻主題歌から始まるのが嬉しい。アニメや特撮のサントラと言えばやはり主題歌は外せないが、権利関係のため昨今は主題歌とサントラは別盤、下手するとOPとEDも別々のシングルなのも当たり前だ。前作「ティガ」はV6の歌う主題歌を当然収録出来なかったので、喜びも一入である。主題歌の作曲は鈴木キサブローだが、編曲が劇中音楽を担当する矢野立美のため、統一感がありスムーズにダイナの音楽世界に入っていけるのもポイント。

主題歌に続く2曲目の「ネオフロンティア」を聞くだけでこのアルバムが”買い”な事がよくわかる。ドラマの中でも印象的な曲だが、音楽だけだとその素晴らしさがよけいに際立つ。他にも「目覚めよアスカ」など初期重要曲は殆ど収録された名盤だ。

 

 

2枚目のサントラはもちろん素晴らしい曲も含むものの、挿入歌のインストやバージョン違いのBGM、また1枚目に収録漏れのような小品が多く、1枚目に比べるとやや小粒な印象の1枚。1・2枚目の選曲をもう少し均して欲しかったなと少々残念である。

そしてこの3枚目のサントラがダイナのサントラの白眉ではないだろうか。第2回録音曲と思しき名曲の数々にのたうち回るしかない。この3枚目の曲は”小組曲”とでも言うべき1曲の中でドラマ性があるというか次々とメロディが展開される曲が多く、非常に聞き応えがある。またエピソード毎の追加録音曲も多く収録され、「少年宇宙人」「遥かなるバオーン」「怪盗ヒマラ」などの名曲も楽しめる。ハネジローのテーマ曲、「移動要塞浮上せず」で印象的に使用された「君だけを守りたい」のピアノアレンジのBGMも収録の大サービス。この1枚をおかずにご飯10杯は食べられます!

 

 

そしてサントラの掉尾を飾った4枚目。このアルバムも既収録曲のストリングス抜き、打ち込みのみ、パーカッションのみといったアナザーバージョンが多く、正直言ってアルバムとしての完成度は低いと言わざるを得ない。だが新規収録の「運命の光の中で」、ネオ・フロンティアのテーマのオルゴール・バージョンの「父から息子へ」、「君を想う力」を彩った超名曲「Be My Sweetheart」などが素晴らしすぎてアルバムとしての完成度の低さを補ってあまりある。そしてなんといってもこのアルバムの白眉は最終回で使用された「光よ、ふたたび」である。この曲はもともと「ティガ」の時に作られたラブ・テーマこと「遠き呼び声の彼方へ」(M62)のアレンジだが、映画「ティガ&ダイナ」で「人の光」として情感たっぷりのアレンジを施されたが、今回は対照的に落ち着いた静かなアレンジでしっとりと聞かせる。「ティガ」から「ダイナ」への2年間でこのラブ・テーマがどんどん成長し、昇華するのを聞き届けるために私たちは生きていたんじゃないか、と思うくらいの感動を覚える。

 

 

「ダイナ」放送終了数年後に発売されたBOX。主題歌関係では追加収録曲はあるものの、BGMに目玉はないようなので私は買わなかったのだが、今さら買っておけば良かったかなあ、なんて思って改めて調べたら2021年11月現在プレミア価格で取り引きされてました(汗)やっぱり買っておけば良かった?(笑)

さて来年はダイナ放映25周年であり、記念の音盤が期待出来ます。しかし、一度ボックスも出ていますし、今度は主題歌関係やバージョン違いの曲は特典ディスクに別にまとめて音楽集として聞き応えのある”ベスト”を作るのもありなんじゃないか、と密かに思っています。どうでしょう、ユーメックスさん!

 

今改めて「ティガ」と「ダイナ」の音楽を聞いて本当に幸せな気持ちになった。平成ウルトラシリーズとともに育った長男はその作品も、そして音楽も大好きだった。(続く「ガイア」の佐橋俊彦の音楽も含め、三部作の音楽レベルは非常に高かった)自分が好きだったウルトラマンを自分の子供と一緒に楽しむ時代がやってくるなんて想像もしていなかったので、なんとも幸せな気持ちだった。この頃は子供を連れてウルトラ関係のおでかけもよくしたものだ。落ち着きがなかった長男の子育ては大変でもあったが、この頃の思い出はウルトラマンと、中でもダイナとともにあったと言っても過言ではないかもしれない。

今は無き向ヶ丘遊園で

向ヶ丘遊園では丸山浩の原画が飾ってあったりしてなかなかマニアックだった

長男の映画館デビューだった「ティガ&ダイナ」。この映画館も今はもう無い

浅草のウルトラマン倶楽部。ここも今はもう無い。次男の時もお世話になりました

ウルトラマンフェスティバルの会場にて。現在ではウルトラヒーローズ・エキスポに引き継がれましたが、ウルフェスとしてはもう無くなってしまいましたね。考えてみると長男が子供の頃はいろんな遊園地やイベント施設があった幸せな時代だったんだとつくづく思い知らされます。