1970年代に活躍した女優、麻里とも恵さん(1951~)。ディープな特撮ファンは「ウルトラマンレオ」(1974)の第21話「北の果てに女神を見た!」のアルファ星人・ニケの女神役がまず浮かぶだろうか。

同じく1974年に「メカゴジラの逆襲」では海洋開発研究所の助手・山本役で出演している。

女優デビューはおそらく「緊急指令10-4・10-10」(1972)の第10話「死を呼ぶバイオリン」だと思われ、事件のカギを握る人物を一人二役で演じている。この時は本名でもある佐藤康子名義であった。その後「人間革命」(1973)、「華麗なる一族」(1974)などにも出演したが端役ばかりであった。

特撮ファンに印象深いのは「血を吸う薔薇」(1974)の女学生だろう。このポスタービジュアルで描かれているネグリジェ姿の女性が麻里とも恵である。

死美人の役を妖しく演じており、この映画の中では美しいバストも披露している。

だが、Wikipediaによると麻里とも恵は「主役でもないのに脱がされる」事もある端役ばかりの女優という職業に見切りをつける。

女優時代にも麻里ともえ名義でレコード「さよならをしたけれど」(1973)などを発売していたが、その後本格的なジャズ歌手へと転向、芸名を”阿川泰子”と改め1978年にプロデビュー。1980年に発売した4Thアルバム「「JOURNEY」はボーカル入りのジャズのレコードとしては異例の9万枚を売り上げ大ヒット。その”シュガーボイス”と呼ばれる甘い独特の歌声と美貌で一躍人気歌手となる。

「おじさまのアイドル」とも呼ばれ、「オシャレ30・30」(1987~)の司会を古舘伊知郎とともに担当。喋りまくる古舘伊知郎の陰に隠れて専ら聞き役に徹する事も多く、いつもニコニコ笑っていた印象があるが、ラストでゲストのために1曲披露してくれるのがステキだった。

阿川泰子は文学座の出身で、松田優作と同期だそうである。その縁があったからか、トーク番組には滅多に出ない松田優作が「オシャレ30・30」にゲスト出演している。この出演時には松田優作の体は既に癌に侵されており、これが最後のテレビ出演となった。

 

女優から出発してジャズ歌手として成功を収めた阿川泰子さん。

現在も数々のコンサートをこなすなど益々ご活躍である。

これからもその美しい歌声と変わらぬ美貌で私たちを魅了してくれるだろう。