藤木悠(1931~2005)といえばやはり「キングコング対ゴジラ」(1962)の主人公・桜井の同僚・古江役がまず思い浮かぶファンも多いだろう。このふたりのやじきた珍道中ばりのかけあいはとにかく楽しい。ファロ島で大ダコが出現した際にタコと多湖部長を勘違いするシーンはベタなギャグなのに笑ってしまう。

「キングコング対ゴジラ」のコンビが評判良かったのか続く「海底軍艦」(1963)でも主人公高島忠夫とコンビを組むカメラマン役で登場。この映画は旧日本軍やムウ帝国を巡るドラマがやや重めの展開なため、藤木さんの活躍の場は少なめ。ギャグも「温泉人間!」くらいか。

「モスラ対ゴジラ」(1964)でも主人公酒井(宝田明)の同僚の新聞記者役で出演。ゆで卵が好物でいつも食べている設定で、それとモスラの卵の漂着を絡めるおいしい役。ゴジラとモスラを戦わせる事を思いつく、実は重要?な役だったりする。

藤木さんというと「Gメン’75」(1975~)の山田刑事役が有名かもしれないが、私は「キーハンター」(1968~1973)と「Gメン’75」の合間にやっていた「アイフル大作戦」(1973)の追出刑事役の方が印象深い。藤木さんはハードボイルドな役よりもこういうコメディリリーフ的な役の方がしっくりくるのです。

そして忘れてはならないのが「ウルトラマンレオ」(1974)での準レギュラー、城南スポーツセンターの所長・大林役だろう。主人公ゲンの頼れる良き相談相手・・・だがややおっちょこちょいで、という設定なのだろうが、残念ながら設定を活かしきれずにやや印象が薄い。レオはマック、城南スポーツセンター、梅田兄妹、百子さんと登場人物が多くそれぞれ出番が限られてしまったため活躍の場が少なかった。大林所長も第22話「レオ兄弟対怪獣兄弟」を最後に突然出演しなくなってしまう。(ちなみにこの回は幻のウルトラ映画「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」と一緒に一部劇場で1979年に併映された他、「ウルトラマン列伝」と「ウルトラマンオーブTHEクロニクル」でも放送されているので覚えている方も多いかもしれない)せっかく藤木さん唯一のウルトラシリーズ出演であったのだからもっと出番が欲しかったなあ、と思います。