私は「必殺サウンド」が大好きだ。本来であれば「必殺シリーズ」が大好きだ、と言いたいところなんですが、私は遅れすぎて周回遅れどころではない必殺ファンであって、おこがましくて大きい声で「必殺が好きです」とは言えないのだ(汗)私は学生時代の友人に初期からの必殺マニアがおり、彼に出会って薦められて見た時、シリーズは既に「必殺仕事人Ⅲ」の中期にさしかかっていた。古くからの必殺ファン・マニアの方に言わせれば、このあたりから必殺シリーズは変わっていった、という時期である。私はそれ以前、特に初期シリーズを知らなかったので「仕事人Ⅲ」もそれなりに楽しく見ていたが、彼は機会があったら是非初期シリーズを見てくれ!と言っていたが、当時ケーブルテレビもなく、ビデオソフトなどもなく、なかなかその機会は訪れなかった。その後随分後になってからケーブルテレビなどで少し旧作を見る機会もあったが、キチンと各シリーズを見たわけではない。私の範疇のウルトラシリーズに例えて言えば、見始めた時は「ウルトラマンタロウ」の時代で、いまだに「ウルトラマン」も「ウルトラセブン」も数本見たきり、という状況である。これではとても必殺を語れる資格はないのだが、逆にドラマの内容とはリンクしないで必殺サウンドを「音楽」として楽しんできた。私が必殺を見始めた「仕事人Ⅲ」「仕事人Ⅳ」の頃に必殺のサントラが発売され始め、「必殺仕切人」「仕事人Ⅴ」は放送リアルタイムでステレオ収録されたサントラが発売された。そんな時代を生きてきた私であるから、古くからの必殺ファンの方とはきっと全く違うランキングになると思われるが、これはこれとして楽しんで頂けると幸いです。

 

殿堂入り 必殺仕掛人(1972) 主題歌「荒野の果てに」(作詞・山口あかり、歌・山下雄三)BGM(M19)

 

これは何をどうやっても一位にしかなりようがない名曲であり、ここから必殺サウンドが始まった事は揺るぎない事実であるから、ランキングの面白さという観点からも殿堂入りとした。

 

第10位 必殺仕事人 激突!(1991) 主題歌「月が笑ってらぁ」(作詞・荒木とよひさ、作曲・堀内孝雄、編曲・水谷竜緒、歌・藤田まこと)BGM(Ⅴ激闘編・出陣1他)

 

20世紀最後の必殺作品であり、主題歌を中村主水こと藤田まこと自ら歌った事にも敬意を払ってベストテン入り。殺しのBGMは「仕掛人」の流用曲だが、「Ⅴ激闘編」からの流用曲である「出陣1」が山田朝右衛門の殺しのテーマとして使われ、その重厚な曲調が印象に残っている。

 

第9位 必殺仕事人Ⅲ(1982) 主題歌「冬の花」(作詞・石坂まさを、歌・鮎川いずみ)BGM(M8)

 

私が初めて見た必殺であり、やはり印象深い。何でも屋の加代役の鮎川いずみの歌は決して上手いとは言えないし(失礼!)、ザ・演歌であるが、この演歌を重厚なアレンジで殺しのテーマにしてしまう手腕はさすがとしかいいようがない。

 

第8位 必殺仕事人Ⅴ(1985) 主題歌「さよならさざんか」(作詞・宇山清太郎、歌・藤田絵美子)BGM(Mナンバー不詳)

 

藤田まことの娘・藤田絵美子の歌唱もなかなかイケるし、その主題歌アレンジの殺しのテーマも安定の仕上がり。仕事人シリーズとしては初めてのステレオ録音によるサントラで、竜崎孝路氏をはじめ、音楽スタッフも感慨深かったのではないだろうか。

 

第7位 新必殺仕事人(1981) 主題歌「想い出の糸車」(作詞作曲・山本六介、歌・三田村邦彦)BGM(M1)

 

仕事人・秀を演じて大人気だった三田村邦彦自ら歌った主題歌とそのストレートなアレンジの殺しのテーマ。前作「仕事人」や次作「仕事人Ⅲ」の主題歌が演歌チックだったのに比べてさわやかな中に必殺らしさがある名曲。その後のシリーズでも度々流用されている。

 

第6位 必殺必中仕置屋稼業(1975) 主題歌「さすらいの唄/夜空の慕情」(作詞・片桐和子、歌・小沢深雪)BGM(主題歌B・Ⅵメロ)

 

殺しのテーマが主題歌のアレンジではなく、B面曲(挿入歌)のアレンジなところが面白い。私は残念ながらこのシリーズは1本も見た事がないのですが、曲は大好きです!

 

第5位 助け人走る(1973) 主題歌「望郷の旅」(作詞・安井かずみ、歌・森本太郎とスーパー・スター)BGM(M33/35)

 

「仕掛人」の主題歌「荒野の果てに」に勝るとも劣らない名主題歌と、そのアレンジの殺しのテーマ。1986年に発売されたニューアレンジニューレコーディングのアルバム「必殺!」 での印象も強い。

 

第4位 必殺仕置人(1973) 主題歌「やがて愛の日が」(作詞・茜まさお、歌・三井由美子)BGM(M15)

 

記念すべき主水シリーズ第1作の主題歌である「やがて愛の日が」は人気曲らしく、その後制作されたスペシャルでも度々主題歌に採用されている。この曲の「必殺!」でのニューアレンジも素晴らしかった。必殺にしては珍しく主題歌アレンジではない殺しのテーマも秀逸。

 

第3位 暗闇仕留人(1974) 主題歌「旅愁」(作詞・片桐和子、歌・西崎みどり)BGM(M54)

 

必殺主題歌最大のヒット曲であるらしいが、本当に素晴らしい曲。当時14歳の西崎みどりの歌唱力が抜群。ここまで「仕掛人」「仕置人」「助け人」と定番化しつつあった殺しのテーマをアップテンポではなくスローアレンジにした柔軟さに舌を巻く。

 

 

 

第2位 必殺仕切人(1984) 主題歌「櫻の花のように」(作詞・荒木とよひさ、作曲・三木たかし、歌・中条きよし)BGM(A1)

 

「仕事人」の三味線屋の勇次こと中条きよしが色気たっぷりに歌う主題歌が沁みる。そのアレンジである殺しのテーマはよりアップテンポで迫力満点。間奏のアレンジもカッコイイ!この当時主水シリーズの繋ぎ的扱いを受けていた13回シリーズである「仕切人」だが、サントラ発売の波に乗ってサントラの新曲作成、録音の快挙を成し遂げた。このサントラを聞くと京マチ子と中条きよしの顔が浮かんできます。

 

 

 

 

 

 

第1位 新必殺仕置人(1977) 主題歌「あかね雲」(作詞・片桐和子、歌・川田ともこ)BGM(M39)

 

何と言っても私のお気に入り必殺主題歌ナンバーワンである。12歳の川田ともこ、歌うますぎです。この8年後の1985年に新録音したバージョンは大人の色気があり、どちらも捨てがたい。カラオケにあれば必ず歌う定番です!小柳ルミ子さんの歌をはじめとして平尾昌晃さんの曲の大ファンの私ですが、この曲は一番好きな曲かも知れません。殺しのテーマはよりハードなアレンジで重厚さが増し、間奏部分はオリジナルでこれまた感涙ものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

※特に表記したもの以外は全て作曲・平尾昌晃、編曲・竜崎孝路

 

いかがでしたか?1972年の誕生以来藤田まことさん亡き後も東山紀之のシリーズが現在も作られるなど、50年近くの歴史を持つシリーズだけに、ファンの数だけランキングはあると思います。私は作品的に未見のものも多いため、作品毎の「主題歌+殺しのテーマ」に絞ったランキングとしましたが、主題歌、BGMそれぞれ別々のランキングも当然出来るでしょう。みなさんも是非やってみて下さい!

 

参考文献

「別冊テレビジョンドラマ 必殺20年のあゆみ」テレビジョンドラマ編集部・編 (株)ロビー 1992年発行

 

CD「必殺! The BEST」ライナーノーツ 構成・解説 山田攻、早川優、林直宏 キングレコード 2000年発売