夕食後、寝床につく前に入浴をすませると思いますが、
実はこの入浴こそがスムーズな入眠のポイントとなります。
質の高い睡眠を得たいのであれば、
シャワーではなく、毎日湯船にしっかり入るのが大切です。
理由は体温を上げると
眠りやすくなるからなのですが、
「え?でも体温を下げた方が眠りやすくなるのではないですか?」
という疑問の声があると思います。
ちゃんと説明しますね。
体温と眠気には相違関係があります。
脳も体も体温が高い方が働きやすく、
体温が下がると休息モードに入って眠りやすくなります。
そして、体温を下げるのに一役買うのが、
体内時計の指令で分泌されるメラトニンです。
朝日を浴びて14~16時間後に分泌量が増えて、
体温を下げて眠る準備を着々と整えます。
その効果を一層確実なものにするのが、
ほかならぬ入浴なのです。
湯船に入ると、湯熱の作用で体温が上がります。
血液はおよそ1分間で全身を一回りするので、
15分入ると血液が15回ほど巡回することになり、
体が芯から温まってきます。
確かに体温が高いままだと眠りにはマイナスですが、
入浴で一時的に体温が上昇すると、体は心臓から
遠い手足の細い血管を開いて放熱、深部の体温を
急いで下げようとします。
その結果、体温低下に拍車がかかり、
眠気が高くなるというわけです。
入浴後、手足がポカポカしてきたら
体温を下げる放熱がはじまった証拠です。
汗をよく拭いて湯冷めしないように気をつけながら、
眠気が高まるまでリラックスして待機してください。
入浴する際は、39度程度のぬるま湯に
ゆっくり入るのがポイントです。
42度以上の熱いお湯では、長く入っていられません。
私も熱いお風呂につかるのは苦手です。
お湯が熱いので、短時間でも入浴直後は
体がカッカして体温が上がった気もしますが、
30分くらいで入浴前と同じレベルまで体温が戻り、
湯冷めしやすくなります。
それに対し、39度くらいのぬるま湯だと、
長く入っていられますし、入浴後30分経っても
深部体温が保たれて湯冷めしにくいです。
また、熱いお湯に入ると、心身を活動的にする
交感神経が優位になり興奮して入眠を邪魔しますが、
ぬるま湯なら交感神経を刺激せずに心身を
リラックスさせる副交感神経が優位になります。
体を芯まで温める入浴法といえば、
みぞおちまでお湯に入る半身浴が有名ですが、
冬場の半身浴は、お湯から出ている上半身が
冷えてしまいます。
浴室暖房機で浴室が暖められているのであればいいですが、
そうでない場合は肩まで入る全身浴をしてください。
高齢者以外は、健康なら全身浴をしても
体に大きな負担にはなりません。
仕事が忙しく、のんびり全身浴をする時間がない人は、
手や足をお湯に浸ける部分浴でも睡眠を改善する効果が
あるのでおすすめです。
入浴すると、500mlほどの汗をかきます。
水分量が減ると、血流が悪くなり、
体温が上がりにくくなるので入浴前に
コップ1~2杯の水を飲むようにしましょう。
稲葉敦志