睡眠と切っても切れない関係にあるホルモンが
メラトニンです。
メラトニンには、体温を下げて睡眠の準備を進める
働きがあります。
体内時計の中枢は視交叉上核です。
目から入った朝日の刺激を視交叉上核が
感知すると「新しい一日が始まったぞ!」と
体内時計が再起動します。
すると体温が徐々に上がり、
血圧や脈拍が高めに保たれて、
起床後12~13時間は活動に適した
コンディションがキープされます。
それから2~3時間すると脳の松果体から
メラトニンが分泌されて体温が下がって
睡眠の準備が始ります。
つまり、朝目覚めて最初に太陽を浴びた
時刻から計算して眠くなる時刻が決まるのです。
メラトニンは、ヒト以外でもほとんどの動物で
眠りをコントロールしています。
それもそのはずで、地上で初めてメラトニンが
誕生したのはなんと27億年も前なのです。
生みの親は、原始的な藻類の一種である
シアノバクテリアです。
シアノバクテリアは地球で最初に光合成を
始めた生物でもあります。
光合成とは、小学校の理科の授業で習ったと思いますが、
大気中の二酸化炭素を吸収して酸素を生みだし、
エネルギーを得る仕組みです。
光合成には太陽光が必須なので、シアノバクテリアは
昼と夜の切り替えに応じて、
約24時間周期で活動する体内時計を持っていました。
その時計を生みだしたのが、メラトニンです。
メラトニンの本来の役割は抗酸化作用です。
光合成で発生した酸素の一部は毒性の強い
活性酸素に変わるため、シアノバクテリアは
活性酸素の害から我が身を守る必要があった。
そのために作ったのが、活性酸素を無害化する
優れた抗酸化作用を持つメラトニンだったというわけです。
メラトニンは睡眠中に盛んに分泌されており、
この間にメラトニンは日中に発生した活性酸素を
退治しています。
その後、夜になると増えて日中になると減る
メラトニンの分泌レベルの変化を利用して、
眠りのリズムを調整するシステムが進化の過程で
発達したのです。
稲葉敦志