睡眠時等に狭くなった上気道が呼吸時に擦れて出す呼吸音。

医学的には「軟口蓋、舌、咽頭壁などの上気道の軟部組織が振動することで発生する音響現象」と定義される。人の上気道は発声に有利な構造に進化したが、軟部組織のみの部位が長くなった為にイビキを起こしやすくなった。仰臥位での睡眠中に筋肉が弛緩して舌や軟口蓋が沈下すると上気道が狭くなることがある。この時の吸気努力により軟口蓋や舌根部に振動音や狭窄音が生じて音が出る。

健康な成人でも飲酒や肉体疲労等で口呼吸となり上気道が狭窄してイビキを生じることがある。このような一時的なモノ(病的ではない単純性いびき症)に対して、習慣性のモノがあり、この場合は、睡眠呼吸障害を呈している可能性がある。閉塞性睡眠時無呼吸の主症状でもあり、その指標にもなっている。

振動による影響として、上気道粘膜に傷害を起こし、炎症化して咽頭粘膜や隣接する血管に永続的な障害を引き起こす可能性がある。また、上気道抵抗に抗する為の呼吸努力が増大し、心筋経壁圧の増加による左室肥大や心不全の悪化を引き起こす可能性も指摘されている。また、無呼吸のないイビキ症患者も含め、圧受容体感受性が低下することによって、夜間の血圧上昇だけでなく、日中の血圧上昇に繋がる可能性も指摘されている。

このほか睡眠中の呼吸努力の増大による疲労感や、上気道抵抗の上昇や騒音によって、睡眠に障害をきたすこともある。イビキを引き起こす危険因子として、肥満・飲酒・鼻閉等がある。