一方に偏ること。
他は顧みず、特定の対象だけに心を傾けること。

第二次世界大戦後、毛沢東の論文から入った言葉と云われるが、それ以前に既に日本へ入っており、毛沢東の論文によって有名になり流行した言葉というのが正しい。
語源は、中国宋学の入門書『近思録』にある儒者・程顥の言葉「一辺を救ひ得れば、一辺に倒了す」に由来する。
これは「小賢しい者と話をするのは、酔っ払いを抱え助けるようなもの。一方から助けると、一方へ倒れかかる」といった、酔っ払いに喩えた言葉として使われている。
そこから、知識人は一つの考えに偏り、他の考えを退けるといった意味で、この言葉は用いられた。

現代では「ビール一辺倒だ」のように、好みが偏っている意味で多く用いられる。
「お手本通り一方向に」の意味で「通り一辺倒」という表現が見られるが、その言葉は良く言えば「造語」、悪く言えば「誤用」で、そのような言葉は無い。この表現は、形式的である様をいう「通り一遍」と混同したものと思われる。