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原作 : キャラクターデザイン 神酒 とのと

リライト : 文章修正       福田有人
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Ultimate ONE ~第四十五話~【狂人カッサン】

 

~狂人の運び屋の船に乗ったリサ達、あれからかなりの時間が経っていた~

 

タケル「…おい…」

 

運転手「おい?おまえ、俺に言ってるのか?」

 

タケル「ああ…気になっているんだけど。」

 

運転手「うっせー客だな?何をだ?」

 

タケル「普通…あるんじゃないのか?外の景色を眺められるような窓とかさ。これじゃ、缶詰め状態…苦痛でしかないぜ。」

 

運転手「ちっ、何を解放感に浸ろうとしているんだ?上空には凄い圧力があってな。それに耐えられるガラスがない。」

 

タケル「理由があるのかよ…じゃ、仕方がないか。」

 

リサ「この乗り物の金属より丈夫な透明な素材ならウエピナにありますけど…」

 

コスモ「キャッスルバギーでここに来るときは窓も圧力に耐えられる必要があるわね。この船じゃ観光に来た気分になれません。」

 

運転手「お、おまえたち!観光に来たのか?殺されにか?」

 

バウンサー「ふぅ。やはり…そういう街か。トノトが嫌がるわけだ。」

 

リサ「まさか、理由もなしに殺される…なんてことはしないですよね?」

 

運転手「は?なんで人を殺すのに理由が必要なんだ?」

 

ハロウィン≪その考えは、人としておかしいわね。病気にしてはこんな商売をしているし、何が要因なのかな≫

 

ハロウィン「えっと~。運転手さん!クレイジーの人達ってみんなそういう考えを持っているの?」

 

運転手「何言ってるんだ!当たり前だろ?殺されたら殺されたやつが悪い。人を殺さないのは反撃で殺されたくないだけだ。」

 

ハロウィン≪環境の問題…街全体の?魔力で操られている感じはないし、彼らの体内で何かが影響しているのか。≫

 

ハロウィン「リサ。神経に影響する体内の物質を血液とかで調べることは可能?」

 

リサ「あら?同じことを考えていたのね!私たちもクレイジーについたらそうなるのでは?と少し心配をしていたところよ。」

 

ハロウィン「今、調べることってできる?」

 

リサ「一応…応急救護用のセットならいつも持ち歩いていますけど。遺伝子の影響である場合は調べられないわね。」

 

ハロウィン「私たちがその土地へ行っておかしくなる場合は?」

 

リサ「攻撃性が高まっていることを考えると精神の障害というよりは、テストステロンやセロトニンなど…ホルモンの影響が考えられますけど。それだけでもない気もします。」

 

タケル「気合で何とかなるだろ?」

 

ハロウィン「その気合がおかしくなるから、深刻なのよ。」

 

バウンサー「俺には影響がないのか?」

 

リサ「おそらく大丈夫そうね。」

 

ハロウィン「なら、運転手さん!体調悪そうだけど大丈夫?医者が一人いるんだけど。」

 

運転手「ホントか?診てもらえるってことなのか?」

 

リサ「ええ。調べるのにちょっと採血が必要ですけど。」

 

運転手「ああ、俺の血でよければいくらでもやるぜ!調べてくれ!」

 

タケル「あれ、あっさりオッケーしたな。運転手、そんな性格だったっけ?」

 

コスモ「魔力よ…クレイジーの環境よりも怖いね。」

 

バウンサー「コスモの分析ではどうなんだ?」

 

コスモ「ごめんなさい。医学はそれほど詳しくなくて、この人は人を何人か殺してる…ということくらいしか。」

 

タケル「あちゃ~~。」

 

バウンサー「人を何人か殺している…という点は俺も同じだけどな。」

 

~運転手がリサに腕を出すとリサは小さなペンのようなものでその腕に光を当てた~

 

リサ「ありがとうございます!これで大丈夫です。」

 

運転手「え?いいのか?採血って言うから俺はてっきり。」

 

リサ「体内の情報をスキャンさせてもらいましたので、もう大丈夫ですよ。情報は調査の後削除し、外部に漏れることはないのでご安心ください!」

 

ハロウィン「すご!」

 

コスモ「あなたもよ。」

 

リサ「確かにホルモンの数値が以上ね。この状態では少しのストレスでも生じれば普通の人間であれば耐えられないはず。」

 

ハロウィン「念のため、みんなのホルモンに変化がないようにしておくわ。最悪、マリオネットを…」

 

バウンサー「ハロウィン…気になったんだか、俺にその精神魔法とやらを使うことは可能なのか?」

 

ハロウィン「うん!やってみたけど無理だった!」

 

バウンサー「やったのかい!」

 

ハロウィン「この前、スレンが使っていたソードロックって魔法の原理は分かったけど、意思のあるロボットを操るとなると…もう少し研究が必要ね。」

 

タケル「ひょっとして、ハロウィンがいれば大丈夫じゃね?」

 

ハロウィン「なに?私がみんなを操ってお酒を探しに行くわけ?」

 

リサ「ぷっ。」

 

ハロウィン「あ、うけた。」

 

運転手「おい!もう少しで着くぞ!着いたからといって俺を殺すなよな!」

 

リサ「あ、体調を治すお約束をしていたわね。」

 

運転手「何言ってんだ?おまえ。」

 

リサ「え?」

 

ハロウィン「思い返されてブチ切れされたら困るから、記憶を消したわ。」

 

タケル「怖っ!人間でハロウィンに勝てる人いるのか?」

 

ハロウィン「中には精神魔法が効かない人もいるけどね。」

 

タケル「そんなやつもいるのか!世界は広いな~!」

 

リサ「おそらく、乗り物の外は凄い圧力が生じているはず。そこにどうやって街があるのかしら?」

 

運転手「クレイジーはな。その圧力に耐える大気圏を持っていて、大気圏の中は地上と変わらないぜ。」

 

リサ「不思議な大気圏ね…それが原因しているのかもしれない…」

 

タケル「なんの?」

 

リサ「ホルモンの異常…狂人たちの攻撃性を高める環境を作り出している原因…というところかな。でも、思考もおかしくなっている気がします。」

 

バウンサー「俺はタケルが狂いだすのが恐ろしいのだが。」

 

タケル「でも…ストレスでブチ切れた時って技出せないし弱いよな。」

 

バウンサー「そうなるか。」

 

リサ「タケルさんもキレたことってあるんですか?」

 

タケル「うん。俺はないな。」

 

ハロウィン「確かにタケルはなさそうだわ。」

 

タケル「リサやハロウィンもキレてるところを想像できないけど。」

 

リサ「あ、私もありませんでした。」

 

ハロウィン「ウチもない。」

 

バウンサー「俺も感情は自在にコントロールができるな。」

 

コスモ「え?みんなキレない人?キレるの私だけ?あらやだ。」

 

タケル「コスモはキレても怖くないから大丈夫だぜ!」

 

コスモ「それって褒めてるのかしら。」

 

運転手「話が盛り上がっているところ悪いんだが、大気圏に突入する。揺れるから気を付けろよ。」

 

タケル「あれ?優しくなった?これもハロウィン?」

 

ハロウィン「みんなのついでにホルモンを正常値にしてみたの。やはり原因は遺伝ではないみたいね。」

 

リサ「道具もないのにすごいわよ!ハロウィン!」

 

コスモ「科学では解明できない技術を魔術と呼ぶのね。」

 

バウンサー「さあ、どこかにつかまっていた方が良さそうだぞ!」

 

タケル「おう!やっと着くのか!クレイジーに!」

 

ハロウィン「外の風景を見られないからイマイチ実感がわかないんだけど。」

 

バウンサー「まあ、そういうな。人がいるってことは、大気圏の中に海の魔獣は入ってこられないということ。まずは、やっとこの狭い乗り物から出られることを嬉しく思うことだな。」

 

 

~そして大気圏を突入した後、しばらくして乗り物の扉は開くこととなる~

 

ウィーーーーン

 

バウンサー「外は暗いが照明がついている。なかなかの文明だぞ。」

 

ハロウィン「う…嫌な感じがするわね。」

 

リサ「人にストレスを与える物質が大気圏の中に蔓延してるようだわ。」

 

コスモ「人のホルモンのバランスを狂わせ攻撃性を高め…人を不快にさせるストレスが街中に広がる…まさにクレイジーというところですか。」

 

リサ「ホルモンバランスが異常な状態でこの不快感は…犯罪がいつ起きてもおかしくない感じね。」

 

ハロウィン「やはり、人のせいではなく環境のせいよ。不思議なのは何故ここに人の街が栄えているのか。」

 

タケル「ハロウィンに魔力をかけてもらっていて良かったぜ。こりゃ、危なかったな。」

 

リサ「街ができるということは、それを制御する方法もある可能性は高いはずよ。」

 

バウンサー「酒…ヒドラ…不快感の解決…優先するのは…」

 

リサ「ハロウィンのおかげで不快感は消えたみたいだわ!バウンサーさんの武器を探すのも重要かと思うの。」

 

タケル「ハロウィン悪いな。襲われた時も頼むよ。」

 

ハロウィン「いいのよ。この程度の魔法…それより、珍しく戦いに消極的ね?タケル。」

 

タケル「ああ、狂った奴とは戦いたくない。」

 

バウンサー「弱い奴とは…の、間違えだろう?」

 

タケル「だって、つまんね~し。」

 

バウンサー「そこが武士とは違うところだな。武士は敵なら斬るのみ。相手が強かろうが弱かろうがな。」

 

リサ「バウンサーさんは壊れないんだから、簡単に人を斬ってはいけませんよ?」

 

バウンサー「リサ…それはつまり、ここにはオーラ使いのような強敵がいない…ということか?」

 

リサ「反応はないわね。」

 

タケル「でも、スレンみたいなやつはいるかもだな?」

 

ハロウィン「じゃ、まずはヒドラって言うバウンサーの武器を探してみる?」

 

バウンサー「ヒドラがあるとすれば、それを使う人間がいるかもしれんぞ。」

 

ハロウィン「じゃ、酒にするか。」

 

バウンサー「いや、すまん。諦めるなよ。」

 

タケル「機械の相手は俺やバウンサー、人間はハロウィンにお任せって感じだな。」

 

リサ「あ…ここは安全そうだしワープのポイント登録しておきませんか?」

 

タケル「忘れていたぜ。そういうところだよな!リサが必要なのは!」

 

リサ「トノトさんに連絡してみます!通信機さんお願いします。」

 

通信機「対象者はお酒を飲んでおりますが、応答は可能な状態です。お繋ぎしますか?」

 

リサ「トノトさんが飲んでいないのを見たことがないですけど。では、お願いします!」

 

通信機「かしこまりました。対象者、トノトとお繋ぎします。」

 

ピピ

 

 

女の声「誰?」

 

リサ「女性の声?誰かしら?」

 

アスカ「えっと~アスカ。」

 

ハロウィン「う…女と遊んでいるとは…」

 

リサ「トノトさんを呼び出したつもりでしたが…間違ることって通信機はあるのかしら。」

 

アスカ「トノトならお手洗いの最中に連絡が来たら変な音が聞こえて恥ずかしいし、もし連絡が来た場合は出ておいてくれって。」

 

タケル「ぷっ!どんな理由だよ。」

 

アスカ「あ!トノトさ~ん!」

 

トノト「なんだい?ひょっとして誰からか連絡が来たとか?」

 

アスカ「いや、ファヨモヒートをもう一杯お願い!」

 

ハロウィン「いや、じゃねぇ~よ。」

 

トノト「あ、ハロウィンじゃないないか?そっちはどうだい?」

 

ハロウィン「今着いたところ~。ここが一番安全そうだからトノトにワープを登録してもらおうと思って。」

 

トノト「あ、分かった!バウンサーもいるんだね。今行く!店員さん。ファヨモヒート3つお願いします!」

 

店員「はーーい!」

 

トノト「では、注文した酒が来るまでに帰ってきます!」

 

アスカ「いってらっしゃい!」

 

シュン

 

~クレイジーの街~

 

シュン

 

トノト「うい~。この酒精強化ビールはたまんね~な!」

 

バウンサー「すでに、ビール瓶を持っている。つまり、飲みながらようを足していたな。」

 

トノト「うっせ~な!飲みたいときに飲むんだよ!」

 

リサ「あれ、いつものトノトさんらくない。」

 

ハロウィン「とりあえず、ワープを登録してほしいんだけど。」

 

トノト「ざけんなよ!登録すりゃいいんだろ!」

 

 

トノト「これでいつでも飛びに来れるぜ!お前らもぶっ飛ばしてやる!」

 

リサ「あ…ハロウィン!」

 

ハロウィン「トノトだから大丈夫だと思ってた!あんたが飛びなさいよ!テレポート!」

 

シュン

 

タケル「ふぅ…なんか危なかった気がするぜ。トノトさんに悪いことしちゃったな。」

 

リサ「でも、テレポートを使わなくても…」

 

バウンサー「あれって、どこに飛ぶか分からないんだろ?」

 

ハロウィン「うん。」

 

タケル「マジか…。」

 

リサ「あら、助けに行かなくて大丈夫かしら?」

 

バウンサー「すぐに死ぬようなところじゃなければ、ワープで戻ってくるだろうよ。そのくらいのことはできる男だ。」

 

ハロウィン「とっさの事だったからワープつながりでつい、やっちまった。ごめん。」

 

リサ「まぁ、トノトさんと会えた時に謝りましょう?」

 

バウンサー「それでいいさ。」

 

若い女「ぎゃーーーー!助けてぇ~~!」

 

~女が何かに追われているように叫びながらこっちに来る~

 

バウンサー「今度は何だ?」

 

追いかける男「待てこら!何もしてないのに挨拶してきやがって!」

 

リサ「追われている理由、それ?」

 

タケル「なら、助けてやらなきゃ不味いだろ?」

 

リサ「あのう、もしもし?あ、名前を何て呼べば?」

 

バウンサー「名前を聞いてる場合か。」

 

若い女「カ…ッサン!19 歳!A型!よろしく~!」

 

 

と言いながら走りすぎて行った。

 

ハロウィン「通り過ぎながら自己紹介されたのは初めてじゃね?」

 

タケル「名前しか聞いてないけどな。」

 

追いかけている男「ちくしょう、逃げ足の速い奴だ。疲れたぜ…帰って寝るわ。」

 

そういうと男は去っていった

 

タケル「これもハロウィン?」

 

ハロウィン「そう。」

 

すると若い女が戻って来た

 

カッサン「はぁ…はぁ…危なく殺されるところだった。よくわかんないけど、ありがとうございます!」

 

リサ「挨拶をしただけで追われるなんて、大変でしたね?」

 

カッサン「そうなの!何もしていないのに、いつもこうなの!みんな、おかしいよね?」

 

バウンサー「おまえもここの人間だろう?そうなることが分かっていて何故、挨拶なんかしたんだ?」

 

カッサン「それは~そこに人がいたから!」

 

リサ≪あら、素敵な人≫

 

ハロウィン「なんで、カッツンはこの土地でも平常心でいられるの?」

 

カッサン「平常心?でも、おかしいのは私のほうだってみんな言うよ?」

 

バウンサー「しかし、おまえも周りがおかしいとは思っているんだろ?」

 

カッサン「だってさ!この前友達になった人に、細長い切れ味良さそうな大きなナイフで殺されそうになったし!酷くない?」

 

バウンサー「それを友達というのか…それより、細長い切れ味良さそうなナイフだと?その刀身は何色だった?」

 

カッサン「黒だったね!マチェットみたいに刃の逆側はノコギリみたいになってたよ。」

 

バウンサー「ヒドラ…なのか?その持ち主はどこにいる?」

 

カッサン「知ってるけど…今…暇だし私に勝ったら教えてあげるよ!」

 

タケル「いや、おまえ…か弱そうじゃないか。」

 

リサ「カッサンさん。勝ったらって、何に勝ったら教えてくれるのかしら?」

 

カッサン「最近コミュニケーターで発売されたビックタイトルのゲーム!対戦しても弱い人しかいなくてさ。暇してたんだ。」

 

タケル「ゲームってなんだ?なんか面白そうじゃねぇ~か!その勝負乗ったぜ!」

 

ハロウィン「タケル…相変わらず軽いわね。」

 

~到着早々ヒドラの情報を得たリサ達、そしてトノトの運命は~