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原作 : キャラクターデザイン 神酒 とのと
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Ultimate ONE ~第三十八話~【ダッジの工場】

 

~秘密基地にリサとタケルは戻ってきた~

 

モブ「それでよう!ショーコさん!そのダッジってのが美味いんだが、どうも俺には甘くて…なんかいいカクテルにはできないもんかと。」

 

ショーコ「そうですね。ウイスキービーというカクテルならあるので、ウイスキーやさらに炭酸水などで割るとよいかもです。」

 

モブ「なるほど!是非、ショーコさんに作ってもらいたい!」

 

リサ「あれ?モブさん!トノトさん達は?」

 

モブ「やあ!リサじゃねぇ~か!社長なら今頃ホークビーの巣穴だぜ。」

 

シャボン「私たちは、足手まといになるので。今日のお仕事は終わりなんですよ。」

 

リサ「あ、そういう事ですか。危険そうですもんね。」

 

ハロウィン「今頃レオン達と楽しくやっているんだろうな。」

 

バウンサー「楽しんでいるはトノトだけだろうよ。」

 

モブ「そういえば、ハロウィンは酒好きなのか?」

 

ハロウィン「う~ん…どうだろ?飲めるけど、どちらでもないかな。」

 

モブ「へぇ~?酒が飲めるのに好物ではないんだ。珍しいな。」

 

シャボン「モブさん。自分と感覚が違う人を珍しいと思う癖、良くありませんよ!」

 

モブ「違いねぇ。」

 

タケル「じゃ、俺たちも負けじと行きますか!」

 

ハロウィン「師匠がファイトナのスラム街にある裏路地に行けば…とか言ってたかな。」

 

リサ「あそこね!」

 

タケル「ま、俺も行くから不良たちに顔パスでたどり着けるぜ。」

 

レヴナント「私は留守番なので掃除でもしておきます。」

 

モブ「あ、社長がスティックタウンでレヴナントも入れてみんなで飲み会していいってよ!」

 

レヴナント「ほんとですか!?」

 

バウンサー「トノトは縛るのも縛られるのも嫌いだからな。」

 

シャボン「ショーコさんにも来ていただいてダッジを使ったカクテルのレシピを作ってほしいとか言ってましたね。」

 

ショーコ「それが私のお仕事ですからね!」

 

ハロウィン「じゃー、ここは誰もいなくなるのか。」

 

リサ「ノランちゃんならいますけど。」

 

タケル「そういえば、リサ、ノランをあまり連れ歩かないな。」

 

リサ「だって、危険なところに行かせたくありませんもの!」

 

モブ「リサらしいぜ。」

 

タケル「ま、ここは俺たち以外は入れないし安全だろ。」

 

リサ「ここ…不思議なフィールドよね。」

 

モブ「じゃー、俺はアイとブルーを呼んでくるぜ。」

 

バウンサー「俺たちは先に行ってるぞ。」

 

シャボン「お土産買ってきてくださいね!」

 

リサ「クレイジーの名産品は何かしら?調べてみますね!」

 

バウンサー「旅行気分で楽しめる街だと良いけどな。」

 

ハロウィン「私。あまりいろいろなところに行ったことがないから楽しみだわ!」

 

リサ「私も!」

 

バウンサー「俺とタケルがいればおまえたちに危険が及ぶことはない。楽しめるうちに楽しんでおけ。」

 

リサ「では!ファイトナに行きましょう!」

 

~ファイトナに向かったリサ達~

 

 

~秘密基地の奥地…モブは迷ってしまったようだ~

 

モブ「いかん。秘密基地も意外と広いな。迷路みたいになっているし。シャボンも連れてくれば良かったぜ。」

 

モブ「ん?ここに部屋らしきものがあるな?」

 

表札には “モルガン” と書いてある。

 

モブ「たぶん、ここじゃねぇ~な。一体どこなんだよ!」

 

 

~スティックタウン~

 

ウィーーーーーン

 

レオン「下に着くまでにわりと時間がかかるな。」

 

ルー「もう、そろそろで着きますよ!」

 

トノト「あまり、急激に下がると人体にも影響がありますしね。」

 

レオン「俺は低所恐怖症なんだが。」

 

ルー「なんですかそれ?初めて聞きましたよ。そんな人。」

 

トノト「レオンは高山系だからな。しかも通常は木から降りることがないし。」

 

ルー「そうだったんですね。」

 

レオン「まぁ、自分で言うのもなんだが身体が弱くて俺の種族が絶滅するのも分かる気がするぜ。」

 

トノト「レオンの部屋の環境には金がかかっているからな。そうでなければ数年で落ちるだろう。」

 

ルー「落ちるとか…。」

 

レオン「まぁ。魔獣ってもんは強そうに見えて環境にナーバスなヤツも多い。そういうもんだ。」

 

ルー「へぇ~。我が国には魔獣がいないので、勉強になりました!」

 

トノト「ん?このエレベーター…地下に入ったな。」

 

レオン「まさか、巣に直結か?」

 

トノト「なるほど、その方が効率的だ。よくできている。」

 

ルー「それにしても、よくエレベーターを貸してくれましたね。」

 

トノト「前に一度、街中のダッジを買い占めたことがあったからな。見学したいと言ったら快く貸してくれたよ。」

 

ルー「お得意様でしたか。」

 

ドーーーーン

 

レオン「着いたようだぜ。」

 

トノト「気配は?」

 

レオン「数千ってところか。」

 

ルー「ひえ~~!」

 

トノト「この時期のホークビーは卵を温めるためにその場所から動かない…そして、暖めた親が餓死するころに卵が孵化する。」

 

ルー「ホークビーも大変なんですね。」

 

ウィーーーーン

 

エレベーターの扉が開くとそこには近代的な工場のいようなものが広がっていた

 

レオン「巣の中に工場を?」

 

トノト「おそらく、ダッジを瓶詰めしてから運ぶのだろう。」

 

ルー「ホークビーの卵はどこに?」

 

レオン「工場の外だ。」

 

ルー「げ!やはりそうなるか。」

 

~トノトたちは工場内を見学しながらしばらく歩いた~

 

トノト「あっちのデカい扉が工場の出口らしい、行きましょう。」

 

ルー「あの扉、開けられるんでしょうか?」

 

トノト「認証を通せば大丈夫だ。」

 

ルー「許可はされているんですね?」

 

トノト「いや、開錠マシーンがあるからこの街のセキュリティーであれば外せる。」

 

ルー「えええ~~?それ、ダメなのでは?」

 

トノト「君は親や先生に言われたことは素直に守る性格かい?」

 

ルー「も、もちろんですよ!」

 

トノト「素晴らしい!君はそのままでいいよ。私は違うけどね。」

 

レオン「付いて行くしかねぇ~ぞ…ルー。」

 

ルー「悪いことなんてしたくないんですが…」

 

トノト「悪いことだと思わなければいい。」

 

ルー≪ダメだ…この人には効かない≫

 

トノトは開錠マシーンをセキュリティーの部品にかざした

 

ピピ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

レオン「ここからが本番だぜ。」

 

トノト「シークレットモード」

 

トノトは消えた

 

レオン「俺も気配を消す」

 

レオンも消えた

 

ルー「…え?」

 

トノト「君は強いから大丈夫です。しかし、ホークビーを傷つけては街の者に気が付かれるので控えるように。」

 

ルー「無茶ですよ!」

 

トノト「いざというときは、私が君をワープさせるから心配はいらないさ。」

 

ルー「た、頼みますよ!」

 

トノト「では進みましょう。」

 

~しばらくトノトたちは巣の奥へと進んだ~

 

ルー「ホークビーがいました!」

 

レオン「しっかりと卵を抱いていやがるな。どうする?トノト。」

 

トノト「今卵を抱いているのは兵隊蜂だ、他のホークビーより強く、寿命も長い。」

 

ルー「これじゃ、取るのが難しそうですね。」

 

トノト「取りやすいのがないか、探そう。」

 

ルー「ホークビーは卵を抱いている間、食事もしないんですよね。巣から離れるのを待つのもダメか…」

 

トノト「その通り、ホークビーは死ぬまで卵を暖め続ける…そして死んだ親を卵から孵った幼虫が食べて栄養を補うのです。」

 

ルー「凄まじい生態だ。」

 

 

トノトたちはしばらくホークビーの巣を歩き続けた。そして行き止まりにも近くなってしまったようだ

 

ルー「あれ?そろそろ行き止まりですね。」

 

レオン「トノト…おまえ…まさか?」

 

ルー「あっちにホークビーがいます!そして、卵が一つはみ出ていますが。」

 

トノト「あの卵はこのままだと孵らないだろうな。」

 

ルー「では、あの卵を!あって良かった~!」

 

トノト「いや、この先に小さな穴があるだろう?あそこに入ってみましょう。」

 

行き止まりの壁に人がやっと通れるほどの小さな穴があった

 

ルー「そ、その先に何があるんですか?」

 

トノト「行けばわかるよ。ミラクルが起きていると良いが。」

 

穴の中に入るトノト

 

ルー「トノトさん…僕には見えないけど穴の中に入ったのでしょうか?」

 

レオン「ああ…俺たちも行くしかないようだ。」

 

ルー「その先にはいったい何が?」

 

ルーが穴を通り抜けるととても大きな空洞になっていた

 

トノト「ビンゴ!ついてる!」

 

ルー「あ…あれは!」

 

レオン「で、でけぇ。」

 

そこには卵を守っている女王蜂がいた

 

ルー「まさか!あれを?」

 

トノト「ああ、半分諦めていたが…来てみてよかった。」

 

レオン「女王蜂の卵は取ったらヤバイんじゃねぇ~のか?」

 

トノト「よく見たまえ。」

 

ルー「卵…二つありますね。」

 

トノト「さすがルー君!」

 

ルー「アレを?」

 

トノト「女王蜂は通常一つしか卵を産まない…しかし、たまにあるのだよ。双子を産むことが。」

 

ルー「女王蜂が二匹になった場合はどうなるんですか?」

 

トノト「いや、女王蜂が二匹になることはない…なぜなら、先に孵った方がもう片方の卵を殺すからだ。」

 

ルー「では、卵は二ついらない?」

 

トノト「そうなる。女王蜂の双子が生まれるのは百年に一度あるかどうか…。」

 

レオン「…おい!」

 

ルー「でも、あの女王蜂の目を盗んでどうやって卵を?」

 

 

返事がない

 

ルー「あれ?トノトさん?」

 

レオン「もう行ってるぜ。」

 

ルー「嘘でしょう?」

 

女王蜂「グロロロロロロ…」

 

トノト「ふむ。湿度73%、温度は28度か…」

 

ルー「何をしているんですか!トノトさん!」

 

トノト「念のため、女王蜂の体温を計るか。」

 

ルー「嘘でしょう?」

 

トノト「くそ。透明で自分の手が見えない…シークレットモードを解除。」

 

現れたトノト、ルーが見た光景はトノトが女王蜂の暖めているお腹の中に入ろうとしている姿であった

 

トノト「やはり数値だけではなく、一度自分でも体験しておかなくてはな。」

 

ルー「ちょっと!トノトさん早く戻ってきてください!」

 

トノト「ルー君!わりとふわふわしていて気持ちいいぞ!恒温昆虫自体珍しいからな!」

 

女王蜂「グギャァァァァァァァァーーー!」

 

トノト「や、やばい!気が付かれたか!」

 

ルー「当たり前ですよ!」

 

トノト「では卵をっと。」

 

女王蜂はトノトを襲おうとしている

 

レオン「ちっ!間に合わない!仕留めるぞ!」

 

ルー「待って!引き寄せる!」

 

 

トノトはルーのもとに引き寄せられた

 

トノト「よし!では早速孵卵器をセットしよう。」

 

ルー「そんな場合じゃないですって早く逃げましょう!」

 

女王蜂は尻から毒針を飛ばそうとしている

 

トノト「なんと!女王蜂は毒針を飛ばせるのか?」

 

レオン「毒針は落としてもいいよな?」

 

ルー「トノトさんたら早く!」

 

トノト「ああ、そうだったね。」

 

シュン

 

トノトたちは消えた

 

 

ルー「…はっ!ここは?」

 

トノト「スティックタウンさ。」

 

ルー「良かった~!助かった!でも、トノトさん!私が引き寄せなければ殺されていたかもしれませんよ!」

 

トノト「ふっ…計算通りだ。」

 

レオン「嘘だろうが!」

 

トノト「それにしても助かったよ。ありがとうルー君。」

 

ルー「い、いえ。人助けは騎士として当たり前のことですから。」

 

ルー≪ん?でも…なんか腑に落ちないな…≫

 

トノト「よし!孵卵器もセットしたし、一杯飲んでからファンタシアに向かいますか!」

 

レオン「次は俺も飲んで良いん…だよな?」

 

トノト「ファンタシアの王は強いと聞きますよ?レオンも飲んでいこう。」

 

ルー≪この人…王に守ってもらおうとしている…≫

 

レオン「それにしても、その孵卵器を背負ったままで行くのか?」

 

トノト「ああ、少し重いけどね。孵った時に餌を与えた人間に懐くらしい。」

 

ルー「あれ?親の死体を食べるのであれば襲われる可能性があるのでは?」

 

トノト「餌を与えなければね。」

 

ルー≪ダメだ…この人を一人にはさせておけない…≫

 

トノト「ルー君も飲みましょう!君の王的にはオッケーなのかい?」

 

ルー「王的にはオッケーでもトノトさん的に…」

 

トノト「もちろん私的にもオッケーだ!今日は大物が取れて縁起が良い酒だぞ!ぱ~っとやろうじゃないか!」

 

ルー≪うっ…飲むべきか飲まざるべきか…私の騎士道が…≫

 

トノト「通信機、モブさんと繋いでくれ。」

 

通信機「対象者は応答可能な状態です。繋ぎます。」

 

モブ「社長か?無事だったのか?」

 

トノト「ああ。モブさん!今どこで飲んでいる?」

 

モブ「飲んでいる前提かよ!いや、飲んでるけどさ。スティックタウンだ。」

 

トノト「わかった。これから打ち上げに参加させてもらう。」

 

モブ「レオン達も一緒なんだな?よし!盛り上がろうぜ!」

 

~そしてトノトは無事ホークビーの卵を捕獲しモブたちと祝杯を挙げるのであった~