Ultimate ONE ~第三十話~【リサの思惑】

 

~ “オールピース” から戻ったリサ達は、ひとまず一日基地で休んでから出発することにした~

 

~モブがショーコのバーで誰かと飲みながら話をしている~

 

モブ 「ひぇ~~!今、ウエピナはそんなことになってんのか?」

 

ウェブ 「はい。ワープリングの複製が完成したので、早速ウエピナへ行ってみたのですが…。」

 

≪一人の女性がバーに近づいてくる≫

 

アイ 「おい!モブ!あんたまだ飲んでるの?何時だと思ってるんだい!」

 

モブ 「ああ、ショーコさんはもう疲れて寝ているし、心配すんなって。」

 

アイ 「店員いないのに飲んでるのかい、あんたは。」

 

ウェブ 「いや~、私もさっき仕事が終わったところで、モブさんに付き合ってもらって良かったです。」

 

アイ 「ウェブさん!あんた、生きてたのか!」

 

ウェブ 「確かに研究ばかりで、会うことは少なかったですが、勝手に殺さないでくださいね。」

 

モブ 「おい、失礼だろ!アイ。」

 

アイ 「わ、悪かったわ、冗談に決まってるじゃない。」

 

モブ 「なんでも、ワープリングが完成したんだとよ。」

 

アイ 「あら、良かったわね!これでウエピナの人たちを避難させられるわ。」

 

モブ 「ところが、今にも危ない状態らしくてよ。」

 

≪誰かが興味深そうに近寄ってきた≫

リサ 「おはようございます!ウエピナがどうかしたんですか?」

 

アイ 「あ、リサ。おはよう。」

 

ウェブ 「リサさん。ワープリングが完成したのでウエピナに行ってきたんですが…」

 

リサ 「ホント?良かったです。で、ウエピナは大丈夫なんですか?トノトさんからは聞いているんですけど。」

 

ウェブ 「それが…バウンサーさんが大地を斬った後、大溝ができてしまい、ウエピナが落ちそうになっているんです。」

 

リサ 「あら!たいへん!シールドは張られているんですよね?なら、シールドを浮遊させるしかないから。」

 

ウェブ 「シールドを浮遊?その発想はありませんでした。さすがリサさん!」

 

リサ 「私は大したことができないですけど、ウェブさんはまだ DQN の社員なので頑張ってくださいね!」

 

ウェブ 「リサさんはこのままでいいんですか?」

 

リサ 「うん。この地にはウエピナより進んでいる化学や医療もあるみたいだし、私はいろいろな土地を訪れて勉強したいの。ウエピナにいると規制されてそれができないし。」

 

ウェブ 「そうですね!リサさんにはそれがいいと思います!応援しています!」

 

アイ 「ウェブさんは秘密基地が研究所になっているけど、ウエピナ的に問題はないのかしら?」

 

ウェブ 「はい、もともとワープリングの開発のため、特別に許可を貰っていましたが、その後もここにいてよいみたいです。」

 

アイ 「ああ…なんだかんだ言って、ウエピナもリサを手放したくはないのか…。」

 

ウェブ 「ははは。そうかもしれませんね。」

 

ルー 「皆さんおはようございます!あんな寝心地の良い寝具は初めてでした。」

 

リサ 「ルーさん。おはようございます。」

 

ルー 「今日は皆さんと、ファイトナからブレイブシティに行けますね。」

 

モブ 「俺は行かないけど、その業者ってのと話はついているのか?」

 

ルー 「はい。後三時間後に待ち合わせています。」

 

リサ 「いけない!支度をしなきゃ!」

 

ぐおおおおおおおおおおーーーーーーー!

 

≪遠くから叫び声が聞こえた≫

 

リサ 「あれ?タケルさん?」

 

~秘密基地のトレーニングルーム~

 

宇宙人 ≪だから言ったじゃない!普通の人は気を失っているわよ!≫

 

タケル 「こ、こりゃ。思った以上にやべえ~な。」

 

≪トレーニングルームに入るリサ達≫

 

リサ 「だ、大丈夫ですか?タケルさん!」

 

タケル 「あ…り、リサ。」

 

ルー 「変身しているみたいですが、敵でも現れたんですか?」

 

タケル 「いや…違うんだけど。変身後の能力に全身複雑骨折と同じ激痛を与える機能を付けたんだけど、修行不足だから思った以上にきつくて。あはは。」

 

ルー 「それは…能力…ではないですよね。」

 

リサ 「激痛だけでも人に悪い影響を与えてしまうので、無理しないでくださいね。」

 

宇宙人 ≪タケルのバカ…また心配させたじゃないの。≫

 

タケル 「すまない。もう…泣き言は言わないから。」

 

宇宙人 ≪そういう事じゃなくて…いい加減、変身解きなさい≫

 

≪元に戻るタケル≫

 

タケル 「うおおおおお!なんだ!このみなぎるパワーは!」

 

リサ 「普通は逆なんですけどね。」

 

ルー 「ふぅ。びっくりしましたよ。とりあえず無事でよかった。」

 

タケル 「あ、そろそろ行く時間か?」

 

ルー 「そうですね。後はバウンサーさんが。」

 

タケル 「レオンはまだバーアイランドにいるのか?」

 

リサ 「そうだった。トノトさんも連れていきたいのですけど。」

 

タケル 「リサが連絡してみるしかなさそうだな。」

 

リサ 「そうね。レオンさんはいつも居留守を使うけど、トノトさんなら即返してくれるし。」

 

≪通信機を立ち上げるリサ≫

 

リサ 「トノトさんにつないで?」

 

通信機 「本人と送信側の認証を完了しました。発信します。」

 

ピピ

 

リサ 「トノトさんいますか?」

 

通信機 「現在睡眠をしておりません。このままつなぎます。」

 

トノト 「やあ。リサさん。レオンと飲んでいたよ。」

 

リサ 「え?まだ?」

 

トノト 「さすがのレオンもかなり酔っているみたいだ。ブルーさんはブルーになっているよ。」

 

リサ 「私たち、ブレイブシティとファンタシアに向かうことになって、ワープを開きたいのでトノトさんにも来てほしいのですが。」

 

トノト 「なるほど、二か所とも行ったことがない街だ。こちらこそよろしく頼むよ。」

 

リサ 「後三時間後にはファイトナへ行かなければならないのですが、大丈夫でしょうか?」

 

トノト 「あ、すまない。今行きます。」

 

 

リサ 「あ、切れちゃった。」

 

タケル 「で、来てくれそうなのか?」

 

リサ 「今来るみたいです。」

 

タケル 「トノトさんのことだから、バーの方かな?」

 

リサ 「そうね。戻りましょう。」

 

~バーへ向かうリサ達、するとすでににぎわっていた~

 

レオン 「くそう。これじゃ、狙える的も狙えねぇ。」

 

トノト 「レオン君、きみ、赤くなっているよ?婚姻色か?」

 

レオン 「警戒色だ!」

 

モブ 「ぶはぁ!酔っているだけだろうが!がはは。」

 

アイ 「あんたたち!だらしがないわよ!私も飲もうかしら?」

 

リサ 「あ…あのう…あと三時間で。」

 

トノト 「リサさん。すまない。私は大丈夫なんですが、レオンは置いていく。」

 

リサ 「わ、分かりました。」

 

トノト 「アイさん。ブルーさんの介抱をよろしくお願いします。」

 

アイ 「トノト。二日酔い専門の医者でも雇いなさいよ!」

 

トノト 「ほう!それはいい案ですね!」

 

タケル 「で、バウンサーは何をやっているんだ?」

 

トノト 「散歩じゃないだろうか?普通の犬は連れて行かないと散歩はできないんですが、コボルド族は知能が高いので一人で散歩するんですよ。」

 

レオン 「犬だからそのうち戻ってくるだろうよ。」

 

トノト 「これは習性なので、サイボーグになっても変わらないではないだろうか。」

 

リサ 「あ…あのう…後三時間で…。」

 

ルー ≪この人たち、自由すぎる≫

 

~そうしてしばらくの時間が経ち、バウンサーも戻ってきた…そしてファイトナへ向かう~

 

タケル 「ルーさん。ファイトナって言うけどどの辺りなんだろう?」

 

ルー 「スラム街です。」

 

リサ 「あら、ひょっとして怖いところかしら?」

 

トノト 「では。わたしは飲む用事があるので帰るとしますか。」

 

バウンサー 「おい。リサでも行こうとしているんだぞ?トノトが帰ってどうする。」

 

タケル 「トノトさん。俺の近くにいれば大丈夫です。この町で喧嘩を売ってくるのはカウローイくらいだから。」

 

バウンサー 「確かに。タケルを知っていて喧嘩を売ってくるやつはいないだろうな。」

 

タケル 「俺よりすげぇヤツ。この前いたけどな。」

 

バウンサー 「ワイズマンか?」

 

タケル 「ワイズマンさんも確かに強い。でも、あの中に十年ほど前から姿を消した、ファイトナで無敗の闘士がいたぜ。」

 

バウンサー 「ほう?」

 

タケル 「ジーク・フリード…あの方は初出場から数年間一度も負けなし。ファイトナでも伝説になっている。」

 

リサ 「ファイトナの試合って。どのくらいの頻度でやるんですか?」

 

タケル 「怪我がなければ、ほぼ毎日だな。」

 

リサ 「それで数年間も?す、すごい!」

 

タケル 「だろ?彼を見たとき、さすがにビビっちまったぜ。」

 

バウンサー 「スレンのヤツ…どうやって、あの連中を集めたんだ。」

 

トノト 「ああ…あいつは可哀想だね。」

 

バウンサー 「どういうことだ?」

 

トノト 「スレンが人を殺す理由…と、言ったところか。」

 

バウンサー 「わからん。」

 

ピピ

 

謎の男 「盾の方…そこの路地を右に曲がってください…そして、黄色いドアの中へ。」

 

ルー 「分かりました。」

 

バウンサー 「業者から連絡が取れたか?」

 

ルー 「はい!もう少しです。」

 

~そうして、リサ達はルーの誘導で待ち合わせ場所に付く~

 

謎の男 「ひ…ふ…み…。5人ですか…。」

 

ルー 「はい。」

 

謎の男 「場所はブレイブシティでお間違えがないですか?」

 

トノト 「他にはどこがあるんだい?」

 

バウンサー 「まさか。他のところにも行こうとしてないよな?」

 

謎の男 「お答えはしかねます。」

 

ルー 「では、ブレイブシティーまで頼む。」

 

謎の男 「かしこまりました。 一人2000万円なので五名ですと1億円になります。」

 

ルー 「えっ?金を取るの?」

 

タケル 「おい。社会的に言って当たり前だろう?」

 

バウンサー 「まさか、金がないとか。」

 

リサ 「大丈夫よ。想定していたから。」

 

ルー 「こっちに来たときは、お金がかからなかったのに!ヌァザさんが出してくれていたのか。」

 

タケル 「つか、2000万円とか俺のファイトマネーみたいだな。」

 

ルー 「た、タケルさ~ん!」

 

タケル 「心配すんな!全部寄付してるから俺はすっからかん。」

 

ルー 「ぴ、ピンチじゃないですか。」

 

トノト 「では、私を一人お願いするよ。」

 

謎の男 「他のお方は?」

 

トノト 「すまない。私は方向音痴でね。付き添いをしてもらった。目印の盾の男もいただろう?」

 

謎の男 「…確かに。しかし、このことは内密にお願いします。」

 

バウンサー 「誰かに命でも狙われているのか?」

 

謎の男 「いえ…私の街では違法なので。」

 

トノト 「君には後で話がある…悪いようにはしない。が、周りが急いでいるようなのでとりあえず私のワープをお願いします。」

 

≪トノトはカードを差し出した≫

 

謎の男 「こ、これは…かしこまりました。お送りいたします。」

 

トノト 「悪いが、君たちは基地へ戻っていてくれないか?」

 

リサ 「分かりました!トノトさん!」

 

ルー 「え?いいんですか?」

 

バウンサー 「ここは、トノトとリサにの言うとおりにした方がよさそうだ。」

 

≪というと、トノトは謎の男と一緒に消えてしまった≫

 

リサ 「さ!戻りましょう!あ、ついでにハンバーガー屋さんに寄っていいですか?トノトさんがハンバーガー屋さんにワープポイントを設定してくれたの!」

 

~そうして残ったリサ達は秘密基地へ戻るのであった~