Ultimate ONE ~第二十九話~【スレンの仲間達】

 

~トノトのペットであるロップを含めしばし時間をつぶしていたリサ達だったが、そろそろ “オールピース” へ行く時間のようだ~

 

タケル 「それじゃ行くか~!楽しみだなぁ~!」

 

レヴナント 「“オールピース” は酒を飲まない人間の立ち入りはできない。タケルさんは大丈夫なんですか?」

 

タケル 「ああ。トレーニングの邪魔になるから飲まないだけで、付き合い程度なら飲めるぜ。」

 

レヴナント 「よかった。タケルさんがいないとスレンの仲間たちを解析できませんからね。」

 

ルー 「あのう…私も同行してよいのでしょうか?一応、お酒は飲めます。」

 

バウンサー 「ルー…ギリ、未成年ではないな。」

 

ルー 「え?分かるんですか?」

 

バウンサー 「俺も、若いころ “オールピース” で未成年の入店を阻止するバイトをしていてな。それでついた名前がバウンサーさ。」

 

ルー 「そうだったんですね!」

 

リサ 「ノランちゃんはお酒飲めないわよね?」

 

ノラン 「くぴぃ!」

 

ロップ 「飲めないって言ってるぞ!」

 

リサ 「凄い!翻訳機でも解析できないのに、ロップちゃんはノランの言うことがわかるのね?」

 

ロップ 「マブダチだからな!」

 

リサ 「じゃ、ノランちゃんはお留守番お願いね。」

 

ノラン 「クピ!」

 

アイ 「私たちはお邪魔よね。」

 

タケル 「何言ってるんだよ!行ったもん勝ちだろ?」

 

ブルー 「私たち、メタリカを離れてからほとんど働いていないし、ニートみたい。」

 

レオン 「政府からバウンサーのメンテナンスを依頼されているだろう。」

 

リサ 「え?そうなの?」

 

バウンサー 「知らなかったのか?俺とレオンはメタリカの反社会組織にいたメンバーを全て捕える、場合によっては駆除を頼まれている。」

 

アイ 「駆除って…その言い方。」

 

レオン 「俺もまだ完全に報酬を貰っていねぇしな。」

 

リサ 「そうだったんだ。」

 

ルー 「では、僕たちと目的は同じですね!合わせたい人がいます!」

 

レオン 「おう、話は後で聞くぜ、今はドランクシティーに行くぞ。」

 

ルー 「はい!」

 

~そして、秘密基地の皆はドランクシティーのはずれの孤島にそこにそびえ立つ “オールピース” へ向かうのであった~

 

レヴナント 「ここがワープ地点です。すでに “オールピース” の敷地内ではありますが、店の入り口までには 10 分程度歩くとか。」

 

タケル 「あれのことだろ?あのでかい城みたいな建物。それ以外に何もないしな。」

 

リサ 「100階以上はありそうね。この建物…全部酒場なのかしら?」

 

バウンサー 「ああ。宿泊施設はない。飲みすぎて寝るなよ?」

 

リサ 「あ?バウンサーさん!ところでお酒は飲めるの?」

 

バウンサー 「問題ない。サイボーグになっても飲むことはできる。味が分からないだけだ。」

 

レオン 「垂れ流しておけ。」

 

ロップ 「俺ここに来るのは初めてだぞ!楽しみだ!」

 

リサ 「ロップちゃんもお酒好きなんだ?」

 

ロップ 「人参焼酎お湯割りな!」

 

アイ 「さすがトノトのペットね。」

 

レヴナント 「では、入り口まで行きましょうか?」

 

レオン 「これだけ人が多いと人の気配も鈍るな。」

 

~しばらく歩き入口までたどり着くリサ達~

 

アイ 「はあ~。やっと着いたぁ。」

 

ブルー 「アイさん。運動不足過ぎますよ?」

 

タケル 「ファイトナのトレーニングジムで無料体験してみないか?」

 

アイ 「断る!」

 

≪入口らしきところにタキシードを着た男がいるのをリサが見つけた≫

 

リサ 「あそこに立っているのは店員さんですよね?聞いてみれば入れるのかしら?」

 

≪店員に近寄るレヴナント≫

 

レヴナント 「店員さん、すみません。確か 20 名のトノトで予約をしているはずなんですが…」

 

 

店員 「トノト様ですね。7 階になりますので、誘導ボールにしたがってついて行ってください。」

 

≪というと、自動販売機のような機械から宙に浮かぶボールが出てきた≫

 

誘導ボール 「いらっしゃいませ。まずは私にお客様情報をスキャンさせてください。」

 

リサ 「どうやればいいのかな?」

 

誘導ボール 「一人ずつ私の前に立っていただければ大丈夫です。その後は店の誘導ボールに管理され、迷っていれば席までご案内いたしますし、注文も承ります。」

 

タケル 「すげぇ!俺、トイレの後に迷子になるか心配だったから助かる!」

 

~そうして、一人ずつ誘導ボールにスキャンさせ店の中に入るリサ達だった~

 

~ 3 階程度までは吹き抜けになっており、大きなテーブルやカウンター席がいたるところに配置してあった~

 

レヴナント 「これはすごい。ウエピナのバーでも見たことがありませんね。」

 

アイ 「カジノっぽいイメージをしてたけど、余計なものは一切なし。すべて酒場って感じね。」

 

ブルー 「こんなに大きいのに席がほとんど埋まっていますよ。」

 

タケル 「どんだけいろんなところから人が集まってきているんだろ。」

 

レヴナント 「よく見ると、見たことのない人種や魔獣みたいな者もいますね。」

 

バウンサー 「それがここさ。」

 

誘導ボール 「7 階まではエスカレーターを使いますのでついてきてくださいませ。」

 

タケル 「エレベーターじゃないんだな。」

 

バウンサー 「リバースするヤツがいるからだろう。10 階まではエスカレーターだ。」

 

タケル 「こっちの方が事故りそうだぜ。」

 

ブルー 「レオンさん、今日は透明じゃないんですね。」

 

レオン 「揉め事が起きないここでは無意味だからな。」

 

バウンサー 「さっきまで、飲んでいたからだろうが。」

 

ブルー 「あ、そうだった。」

 

レオン 「おい、おまえら俺の思いついた言い訳を透かしてんじゃねぇ~よ。」

 

タケル 「じゃ~!久しぶりに飲むか!」

 

~そしてトノトが予約した席に誘導されたリサ達だが何人かすでに人が集まっていた~

 

イケメンな猫 「遅いにゃ~」

 

バウンサー 「グレイダーか!久しぶりだな!」

 

 

グレイダー 「トノトから聞いてるよ。おまえも散々だったにゃ。」

 

バウンサー 「すまん。油断して死んでしまった。」

 

グレイダー 「まぁ、気にすんなって!人生、一度や二度、死んだからって、にゃーーー?死んだのかにゃ!」

 

バウンサー 「事実上はそうなる。おまえとの勝負も決着がついていなかったのに。」

 

グレイダー 「ああ…残念だけど…しゃ~ないか。」

 

リサ 「こ、この方は?」

 

バウンサー 「トノトのペットで俺のライバルでもあるグレイダーだ。」

 

リサ 「生前のバウンサーと互角だったってこと?」

 

バウンサー 「まあ、そうなるな。」

 

リサ 「おどろきっ!」

 

グレイダー 「申し遅れて失礼いたしました。俺はグレイダーと申しますにゃ。」

 

タケル 「ぐ、グレイダー様! 一回でいいから、お、俺と戦ってくれませんか!」

 

バウンサー 「なんで敬語?」

 

グレイダー 「わかったにゃ。でも今は酒を楽しみたいし、気が向いたらそのうちでよいかなにゃ?」

 

タケル 「は、はい!ありがとういございます!」

 

リサ 「よかったですね!タケルさん!」

 

タケル 「あんな強そうな人と、めっちゃうれしいぜ!」

 

バウンサー 「あいつ、約束をすぐ忘れるからあまり期待するなよ。」

 

タケル 「何回でも頼むっす!」

 

~グレイダーに寄っていくロップ~

 

ロップ 「グレイダーの膝に座っていいか?」

 

グレイダー 「ああ、もちろんだロップ、こっちへおいで!」

 

ロップ 「やったぜ!」

 

リサ 「いいなぁ~仲が良いのね。私もトノトさんのペットになろうかしら。」

 

バウンサー 「冗談だろ?」

 

リサ 「えへ。」

 

トノト 「君たちも来たか。まぁ、楽しんで飲みましょう!」

 

ルー 「ところで、スレン達はどこに来るのでしょうか?」

 

トノト 「ああ、それなら私たちの隣のテーブルだよ。」

 

ルー 「近っ!」

 

リサ 「だから 7 階なんですね!トノトさんのことだから最上階だと思った。」

 

トノト 「実は私も 10 階までしか行ったことがなくてね。権力がないと上には上がれないのだよ。」

 

リサ 「え?トノトさんでも 10 階まで?」

 

トノト 「上がどうなっているか気にはなるけどね。まあ、とりあえずここで飲みながら待ちましょう!」

 

パイボールドの女 「酒が足りないわ!酒が!」

 

トノト 「ボルドー!君だけ特別に飲み放題にしておけば良かったかな?」

 

リサ 「この方は?」

 

トノト 「こいつも私のペット、ボルドーだ。普段は山ほどデカい蛇の魔獣です。ある村で悪さをして退治させられそうなところを私が助けた。」

 

アイ 「そういうのを助けちゃいかんだろう?」

 

バウンサー 「死にそうな魔獣を見ると善悪関係なしに助けてしまうのさ。トノトはな。」

 

リサ 「そんな大きな魔獣をよくこの人型の姿にできましたね!どういう技術かしら?」

 

トノト 「いや、技術っていうより、無理やり人型にしたから普通の生き物は死んでしまうんですが、ボルドーはほぼ不死身でね。」

 

レヴナント 「不死身!他人とは思えない!」

 

トノト 「私は断ったんだが連れていかないと殺すって言うことを聞かなくて。」

 

リサ 「ペットの世話をするのもたいへんそうなのが、なんとなくわかってきました。」

 

モブ 「ようリサ!おまえたちもさっさと注文して、おっぱじめようぜ!」

 

シャボン 「皆さん!また会いましたね!」

 

バウンサー 「モブ達もちょいちょい連れて来られるな。」

 

モブ 「ああ、新型のフライングキャッスルバギーの専属運転手にならないかとスカウトされているのさ。」

 

リサ 「あ、そのことなんだけど、私、ちょっと考えがあるの。」

 

レオン 「会話の途中すまないが、そろそろ、やつらが来るぜ…ヤバい気配がする。」

 

~トノトたちの席の隣に集団が近づいきた~

 

誘導ボール 「こちらのお席なります。」

 

≪ハンサムだがどこか影のある男が先に座った≫

 

スレン 「おまえたちも座れ。」

 

タケル 「出番だぞ、宇宙人!」

 

宇宙人 ≪分かっているわ≫

 

虹色の髪の女 「さて、久しぶりにワインでも飲もうかしら。」

 

リサ 「る、ルシファーさん!」

 

ルシファー 「あら、リサお久しぶりね。」

 

≪集団が席に座るとルーが立ち上がった≫

 

ルー 「スレン!」

 

スレン 「ルーか、あの時は世話になったな。こんなところで会うとは意外たぜ。」

 

ルー 「あの時の借りはそのうち返しますよ。」

 

スレン 「ああ分かっている。今は美味い酒を飲もうじゃないか。」

 

ルー 「…仕方がない。」

 

≪席に座るルー≫

 

アイ 「あら、ほんとに揉め事が起きないのね。」

 

豚のような大男 「スカイ島のウイスキーもあるようだな。スリーフィンガーだ。」

 

レヴナント 「オーク!」

 

タケル 「あ…あいつ…ヤバいほど強いな。」

 

宇宙人 ≪彼はセト、通称ワイズマンと呼ばれているわ…オークマンから出現した突然変異だけど強さの桁が違うわね。≫

 

鎧を着たイケメン 「さすがに凄い品揃えだな…スレン!高い酒を頼んでも文句を言うなよ?」

 

スレン 「ああ、文句は言わないさ、ここではな。」

 

宇宙人 ≪あれはドラゴン専門のハンター ジーク・フリード≫

 

タケル 「ドラゴン専門?ドラゴンより強いってことか!」

 

宇宙人 ≪そうなるわね。密漁により今はあらゆる街で指名手配されているけど、彼を捕えられる人間はいないわね≫

 

角が生えた人間 「ここで面接とは、スレンも気が利くじゃないか。ここなら負の感情に捕らわれることなく気持ちよく飲める。」

 

タケル 「あいつは?」

 

宇宙人 ≪ラセツ…変身が得意で知人になりすまし容赦なく人を殺し食べる鬼人よ。人間を主食としているわ≫

 

タケル 「知人に変身されたら、宇宙人やレオンがいないと厄介な相手だろうな。」

 

緑の髪の美女 「いい店ね。ここなら落ち着けそうだわ。今日は倒れるまで飲もうかしら。」

 

タケル 「ああ。あの美女はマークから外そう。」

 

宇宙人 ≪彼女は壊人、カーリー。あらゆるものを取り込み破壊してしまう恐ろしい人種よ。彼女に破壊された街もあるわ≫

 

タケル 「げっ。甘く見てた。」

 

レオン 「タケル…解析は出来たのか。」

 

宇宙人 ≪オーディンとまだ来ていない一人を除いては完了はしているわ。おそらく今回新しく仲間になる人間≫

 

タケル 「オーディンって奴とこれから来る新人以外は解析が出来ているってよ。」

 

バウンサー 「オーディンがなぜいない?」

 

レオン 「酒が飲めないんだろう?」

 

≪ルシファーがこちらに気が付き席に寄って来る≫

 

ルシファー 「あなたがトノトさんかしら?」

 

トノト 「そうですが。」

 

ルシファー 「ご一緒してもよろしいかしら?」

 

トノト 「君のような美女が、私に用はないだろう?」

 

アイ 「ダメだ…それじゃモテんだろう。トノト。」

 

ルシファー 「ごめんなさい。隣に座らせてもらうわね。」

 

アイ ≪つよっ!≫

 

モブ 「くそ!なんで俺じゃなくトノトさんなんだ!?」

 

トノト 「それで?私に頼み事でもあるのかい?」

 

ルシファー 「ダメよ?私はあなたと飲みたいだけなんだから。」

 

トノト 「レオン?」

 

レオン 「無理だ。俺は気配しか読めないからな。思考まではわからねぇ。」

 

ルシファー 「そう…信用ないのね。」

 

トノト 「君が思っていることを言うまではな。」

 

タケル 「トノトさん、大丈夫か?」

 

宇宙人 ≪彼女はルシファー、天人だったけど神人との戦争で負けヘルに飛ばされた過去を持つわね。ヘルでは王となったけど自らの命を落として今は転生しているみたいよ≫

 

タケル 「す、すげぇな。おまえの解析。」

 

宇宙人 ≪え?私のことを褒めたの?脳内の情報を採取しているだけよ≫

 

タケル 「そういうことか。」

 

≪グレイダーが不満そうにしてルシファーに話しかけた≫

 

グレイダー 「そこのおまえ…よく分からないけど、トノトの前で嘘や隠し事したら嫌われるにゃ。」

 

ロップ 「そうだよ!だからトノトは魔獣意外と仲良くなれないんだぜ!」

 

トノト 「き、君たち。」

 

ルシファー 「あら、そう?素敵な方なのね?みくびっていたわ。」

 

トノト 「そういうことだ。本心を聞かせてくれないか?」

 

ルシファー 「駆け引きは必要なさそうね。」

 

ロップ 「さっさと言っちまいなよ!」

 

ルシファー 「…オーディンを…助けてほしいの。」

 

トノト 「オーディン?メタリカを襲った冥人の?」

 

ルシファー 「そうよ。彼は辛い過去に捕らわれて苦しんでいるの…今は人を憎むことしかできないでいる。」

 

トノト 「なるほど…それは大変だね。」

 

ルシファー 「彼を苦しみから救う事ができるのは、あなたしかいないのよ。」

 

トノト 「そういうことか…」

 

バウンサー 「ちっ。」

 

トノト 「わかった…できる限りのことはしよう。」

 

ルシファー 「ありがとう!あなたならそういうと思っていたわ!」

 

トノト 「そういうことなら…」

 

≪杯を差し出すトノト≫

 

チンッ

 

≪グラスを合わせるトノトとルシファー≫

 

レオン 「また、面倒をしょいこみやがって。」

 

ルシファー 「この恩は絶対に返すわ!だから…死なないでね。」

 

≪席へ戻るルシファー≫

 

スレン 「ふん。早速寝返ったのか?ルシファー。」

 

ルシファー 「いえ?敵としてきた場合は、全力で倒すわ。」

 

カーリー 「同じ女としても…読めないわね。あなた。」

 

リサ 「タケルさん…さっきからそわそわしてるけど、大丈夫?」

 

タケル 「あ?俺?あ~あ…やっぱ、行ってくる!」

 

≪そういうとビールを片手にワイズマンの方へ行くタケル≫

 

ワイズマン 「?」

 

タケル 「す、すみません!」

 

ワイズマン 「謝れるようなことはしていないが。」

 

タケル 「こ、今度会ったときは…お、俺と戦ってくれませんか?」

 

リサ 「た、タケルさん!」

 

ワイズマン 「何故おまえと?義理はねぇ。断る。」

 

タケル 「く…くそっ。俺に実力がないからですか?」

 

ワイズマン 「いや、俺はファイターじゃない。傭兵だ…利益のない戦いはしない。」

 

タケル 「じ…じゃ~…お金を払うから俺と戦ってください!」

 

バウンサー 「マジか!」

 

グレイダー 「シャーーー!面白い奴だにゃ~!」

 

アイ 「トノト…タケルにお金渡したらダメよ。」

 

リサ 「タケルさん…」

 

タケル 「俺…頑張ってお金を貯めるから!」

 

ワイズマン 「おまえごときが払える額じゃないぞ…それに…。」

 

タケル 「それに?」

 

ワイズマン 「おまえが飲んでる酒だ…俺の好きな酒じゃねぇ。」

 

タケル 「な、何でも飲みます!」

 

ジーク 「おい、ワイズマン!可哀想だろ?そのくらいにしておけ。」

 

ワイズマン 「こいつにボウモドのロック、スリーフィンガー…持ってこい。」

 

誘導ボール 「かしこまりました。」

 

タケル 「それって!あ、ありがとうございます!」

 

ワイズマン 「早まるな。まずは、味を分かれ…敵のな。」

 

バウンサー 「タケルにせよ、トノトにせよ…相手は敵だぞ。」

 

タケル・トノト 「わかってるさ。」

 

レオン 「敵も味方も頭いかれちまってるぜ。」

 

ロップ 「おまえもな!」

 

アイ 「政府が絡んでるのに、私たちはどうしたらよいのさ。オーディンを助けるとか。」

 

ブルー 「なすがまま…ですかね?」

 

≪そうして時には杯を交わし、スレン達と飲むリサ達だった≫

 

≪スレンを気にした様子で近づくトノト≫

 

トノト 「気になったんだが…いいかね?」

 

≪というとスレンにボトルを持っていくトノト≫

 

スレン 「なんだ?」

 

トノト 「座らせてもらうよ。」

 

スレン 「その酒は?」

 

トノト 「血酒 (ちざけ) という」

 

スレン 「ほう?いいだろう。」

 

≪スレンがそう言うとトノトはスレンの隣に座り、血酒を注ぎだす≫

 

トノト 「ありがとう。」

 

ラセツ 「血の酒か…旨そうだな。」

 

スレン 「ラセツ…すまんが俺に注がれた杯だ。」

 

≪口するスレン≫

 

スレン 「これは?…人の血?」

 

トノト 「そうさ…君の主食だろう?」

 

スレン 「まあまあの味だな…」

 

トノト 「…君は…人をたくさん殺しているようだが、栄養不足に見える…どうしてなんだい?」

 

スレン 「…おまえに言う筋合いはない。」

 

トノト 「そうか…私の杯を飲んでくれて嬉しかったよ。では…。」

 

≪自席に戻るトノト≫

 

ラセツ 「なんだアイツ?変な奴だな。」

 

スレン 「…」

 

カーリー 「それより、面接はまだかい?」

 

ジーク 「そろそろ、来るはずだ。」

 

≪誘導ボールが近づいてくる≫

 

誘導ボール 「お席はこちらになります。」

 

近代的な姿の男 「なるほど、おまえらが俺を雇い入れた奴らか。」

 

ラセツ 「こいつ、新人にしては態度大きくはないか?」

 

スレン 「おまえらも同じだっただろう?」

 

ジーク 「違いない。」

 

謎の男 「俺を雇うのか?早くしろ。」

 

宇宙人 ≪あいつは!≫

 

タケル 「知ってるのか?」

 

宇宙人 ≪彼の名前はサイド…私たちの兵器を狙って星を滅ぼした張本人よ。≫

 

タケル 「マジか!兵器ってどんな兵器だよ!」

 

宇宙人 ≪こら!あなたがトレーニング用にしか使っていない、希望を具現化する兵器よ!≫

 

タケル 「でも、その兵器って俺に譲ったんだよな?どうなるんだろう?」

 

宇宙人 ≪私は彼に兵器を奪われることを回避するためにこの地へ来たの、そしてあなたに託した…≫

 

タケル 「つまり?」

 

宇宙人 ≪サイドが次に狙うのはあなたってことよ。≫

 

タケル 「マジか!俺が狙われるってことか?」

 

宇宙人 ≪そうなるわね。≫

 

タケル 「面白くなってきやがったぜ~!」

 

宇宙人 ≪はっきりと言わせてもらうわ…今までの解析の結果…あなたたちが力を合わせても到底敵う相手ではない。≫

 

タケル 「ああ…それは俺も感じていた。ますます燃えてきたぜ!」

 

宇宙人 ≪ふぅ~。どうしてあなたってそうなの?≫

 

タケル 「すまないな…他に理由はない…ただ…好きなんだよ、強い奴が。」

 

宇宙人 ≪もう…私はあなたのことを好きでいてくれる人を悲しませたくないの≫

 

タケル 「なんだよ。それ…」

 

宇宙人 ≪もう!いいわ!≫

 

≪返事がなくなった宇宙人≫

 

レオン 「独り言はすんだようだな…振られたか。」

 

タケル 「なんかすねたみたいだわ。」

 

トノト 「ここでは揉め事を起こせないはずだが?」

 

リサ 「たぶん…自分自身の葛藤と認識されているのではないでしょうか?」

 

トノト 「私はここをどうも好きにはなれない…不自然だ。レオン!場所を変えようか?」

 

リサ 「え?二人で飲みに行くの?」

 

トノト 「あ、あとブルーさん!海の幸が食べられるお店があるんですがレオンと一緒に行きませんか?」

 

ブルー 「え?私?」

 

レオン 「トノト…この前話した事を覚えていてくれたのか。」

 

トノト 「サメ卵丼でも食べながら3 人で一杯やりましょう!」

 

アイ 「相変わらずマイペースね!私を連れて行かないなんて!」

 

グレイダー 「アイさんには俺がいるにゃ。」

 

アイ 「そうね!イケメン猫と飲んでいた方が楽しいわ!」

 

バウンサー 「グレイダー俺はお前を尊敬するぞ。」

 

ボルドー 「私たちはこのまま飲んでいていいのよね?お願い!スポリタス樽で!」

 

誘導ボール 「かしこまりました。」

 

モブ 「おい、…引火したら爆発するやつだぞ。そんなのもう樽で10 杯は飲んでやがる。」

 

リサ 「私たち…楽しめたのよね?」

 

バウンサー 「敵の調査にしては充分楽しめただろう。」

 

タケル 「俺はめっちゃ楽しかった!」

 

トノト 「では、私たちは場所を変えるよ。君たちはまだ楽しんでいてください。後からドイル君がグレイダー達を迎えに来るので。」

 

アイ 「そのうちパークも行きたいわね。」

 

バウンサー 「死ぬからやめとけ。」

 

リサ 「あ…ルーさん、喋らないけど大丈夫かしら?」

 

ルー 「具合が悪い。」

 

アイ 「あら飲みすぎたかい、静かだと思ったら。」

 

モブ 「まだ若いからな!」

 

≪そんな中スレン達の会話が聞こえてきた≫

 

ジーク 「おい。これだけのメンツ集めておいて居場所はどうするんだよ。みんな政府に狙われているだろう?」

 

ラセツ 「ここにずっといるわけにもいかないしな。」

 

スレン 「そのことも考えてはいる…ブレイブシティーの近くに湖があり、その水底に魔力をかけられた城があると聞いた…そこを当たってみるつもりだ。」

 

カーリー 「ブレイブシティー?あそこは不味いんじゃないのかい?屈強な剣士たちが多く、街同士の連携も強い。」

 

ラセツ 「俺たちがいれば全滅をさせられるだろう?」

 

カーリー 「そりゃそうだけど…」

 

ジーク 「メディシティーからはかなり遠いが、戦争になれば遠い方が好都合か。」

 

ラセツ 「確かにアジトは責めにくい。」

 

カーリー 「それにしても…そんな城だれが作ったの?」

 

スレン 「魔人だ。」

 

カーリー 「絶滅しちゃってる種族か…仲間にしたかったわね。」

 

スレン 「その城が存在しているかも定かではないが、行ってみる価値はありそうだ。」

 

 

~そうして夜はふけた…リサ達は酔いつぶれる前に秘密基地へ戻ってきたようだ~

 

モブ 「いや~おまえら、帰ってきてその場所にもバーがあるって最高じゃないかよ!」

 

リサ 「モブさん、まだ飲むの?」

 

ショーコ 「皆さん、かなり飲んできたみたいですね!」

 

モブ 「あ、あんたは!カクテルコンクールで優勝したショーコさんじゃないのか?」

 

ショーコ 「そうですけど?」

 

モブ 「ホントか?お、俺には振って…くれないよな?」

 

ショーコ 「もちろんいいですよ!」

 

モブ 「ま…マジか…。」

 

アイ 「運転手確定ね。」

 

≪カウンターに座るモブ≫

 

リサ 「あ…タケルさん!」

 

タケル 「なんだ?」

 

リサ 「もし…よければ、カウローイさんともう一度会わせてくれないかしら?」

 

タケル 「カウローイに惚れた?」

 

アイ、バウンサー 「タケル!」

 

リサ 「いえ…そうじゃなくて…彼の瞬間移動のワンドを調べたいの。」

 

タケル 「そういう事か。もちろんいいぜ。」

 

リサ 「もし、解析ができればフライングキャッスルバギーの機能して使えるかもしれない。」

 

宇宙人 ≪私も手伝いましょうか?≫

 

タケル 「宇宙人も手伝うって言ってるけど。」

 

リサ 「ホント!?じゃお願い!後2~3日で宇宙人さんの話もみんなで聞けるようにできそうですから。」

 

宇宙人 ≪素晴らしい科学者ね。簡単そうで難しいのよ≫

 

リサ 「そういえば、スレンさんたち、ブレイブシティーの近くにアジトを作るって言っていた気がします。」

 

バウンサー 「俺も聞こえたぞ。」

 

タケル 「なんでも、戦争をおっぱじめるつもりらしいな。」

 

ルー 「ブレイブシティーか…ファンタシアの近くですね。奴の狙いはファンタシアとメディシティーの両方ってことか。」

 

バウンサー 「行く手立てはあるのか?」

 

ルー 「ブレイブシティーなら行けるのですが、近くに城あるって聞いたことがない。ヌァザさんなら知っているかな。」

 

リサ 「どなたですか?」

 

ルー 「ファンタシアの王です!とても立派な人ですよ!」

 

タケル 「でも、俺たちって今スレン達と戦っても勝てないよな。ダメ元で戦ってみる?」

 

宇宙人 ≪なぜそういう考えになるのですか≫

 

ルー 「ヌァザさんはかなり強いですけど。それでもダメなのかな。」

 

タケル 「それは実際に闘ってみるまでは分からないだろ?」

 

バウンサー 「いずれにしろ、戦力は多い方がよいだろう。」

 

リサ 「ルーさん、そのヌァザさんというお方と私たちを会わせてもらえないでしょうか?」

 

ルー 「こちらこそ!喜んで!」

 

バウンサー 「決まったな。で、行先は?」

 

ルー 「まずはブレイブシティーへ!転送してくれる業者も知っています。」

 

バウンサー 「その業者は?」

 

ルー 「ファイトナにいます!」

 

リサ 「ルーさんがファイトナにいたのもそういうことだったのね。」

 

タケル 「あそこ、裏稼業多いからなぁ~。税金ないし。」

 

リサ、アイ 「そうなの!?」

 

ルー 「ただ、ブレイブシティーには怪事件があって、罪人たちが精気を吸われているようです。罪人ではないあなたたちには関係がないかもしれませんが一応気を付けてくださいね。」

 

バウンサー 「心配するな。サイボーグである俺には精気などない。」

 

アイ 「そこ?」

 

~トノトやレオンがいない間にブレイブシティーへ行く予定を決めたリサ達であった~