Ultimate ONE ~第二十七話~【カウローイ】
~タケルが仲間になった後リサ達はしばらくファイトナの観光をしていた~
~ファイトナの街~
タケル 「トノトさんにはいろいろしてもらって、スタジアムにもすぐに行けるようになったし、何かお礼がしたいんだけど。」
レオン 「奴には酒だろうな。」
タケル 「酒か~、ここは鍛えてる奴らばっかりだから酒は弱いな。」
リサ 「トノトさんが飲んだことがないお酒をプレゼントすれば喜びそうね!」
バウンサー 「となると、あいつが行ったことがない土地の酒になるが。」
レオン 「ワイバーンで探すしかないんじゃないか?」
リサ 「あれ?珍しくレオンさんも他人に対して積極的ですね。」
バウンサー 「こいつも酒が飲みたいだけだろうよ。」
タケル 「ああ…なんだ。」
バウンサー 「どうした?」
タケル 「俺のお礼だし。普段行けないようなヤバい奴らがいるところの酒とかどうだろう?」
レオン 「却下だな。」
バウンサー 「俺は賛成だぞ?」
リサ 「例えば?」
タケル 「狂人の街。クレイジー」
レオン 「それはどこにあるんだ?」
タケル 「空に広がる海の底にあるって言われてるな。」
リサ 「空に海が?素敵ね!」
レオン 「そこにはいい酒があるのかよ。」
タケル 「よくわかんないけど。この前犯罪を犯して捕まった狂人が言ってたぜ。故郷にはいい酒があるのにここでは飲めないのでやったと。」
バウンサー 「そいつは何をやらかしたんだ?」
タケル 「ああ~スタジアムの選手を一人殺した。」
リサ 「え?ファイトナのスタジアムの選手を?」
タケル 「おうよ!ワクワクしないか?」
レオン 「ワクワクはしねぇ~な。」
タケル 「狂人の街ってよ。皆いかれちまってるから、俺やバウンサーじゃないとすぐに殺されてしまうと思うんだ。」
バウンサー 「なるほど…それならトノトも行っていないかもな。」
レオン 「おまえら行く気じゃないだろうな?」
バウンサー 「で、場所は知っているのか?」
レオン 「マジか。」
タケル 「空が海になっているところってどこなんだろうな。」
リサ 「重力がおかくなっているわね。そういう場所を探しておくわ!」
レオン 「リサまで…。」
リサ 「だって。トノトさんをびっくりさせたいじゃない!」
バウンサー 「タケル…狂人が捕まった時に何か武器は使用していたのか?」
タケル 「素手ではなかったな?確か鋭利に研ぎ澄まされた、細長いマチェット。」
バウンサー 「なるほど、ヒドラに形状が似ている。」
レオン 「その武器は押収されたのか?」
タケル 「いや、盗まれたらしい。おそらく狂人の仲間だろう。」
バウンサー 「当たってみる価値はありそうだな。」
リサ 「5日ほど待ってもらってよいでしょうか?場所を特定してみます。」
レオン 「その犯人に聞けば早いんじゃないのか?」
タケル 「それは俺がやってみる。」
リサ 「タケルさんて結構顔が利くのね。」
タケル 「まぁ、ファイトナではガーディアンみたいな仕事もバイトでしているしな。」
バウンサー 「さすがトップクラスのファイターだ。」
タケル 「ところで俺はこれからカウローイって奴の見舞いに行きたんだけどおまえたちも来るか?」
リサ 「知らない私たちが行ってもよいのかしら?」
タケル 「あいつならそういうのは気にしないと思うぜ。」
レオン 「俺はパスだ、おまえたちで行ってこい。」
リサ 「カウローイさんて現在のチャンピオンよね?私は行ってみようかしら。」
バウンサー 「タケルの上がいるってことがファイトナの恐ろしいところだ。」
リサ 「レオンさんはこれからどうするの?」
レオン 「仕事がないか情報屋を当たってみる。」
タケル 「スラム街にいるはずだけど、ヤバい奴らばかりだから気を付けた方がいいぜ。」
バウンサー 「それに、どうやって情報屋を探すんだ?」
レオン 「気配を探ればすぐにわかるぜ。」
リサ 「さすが、プロって感じですね。」
タケル 「あとで秘密基地に集まって今後の予定をみんなで決めようぜ。」
レオン 「わかった。」
~そしてレオンとわかれ、カウローイの見舞いに行ったタケル達であった~
リサ 「ここは、病院というよりトレーニングジムみたいですね。」
タケル 「ああ、入院中も鍛えられるとこは強化しておかなきゃいけないからな。」
≪部屋に入るタケル達≫
タケル 「よ!カウローイ!怪我の具合はどうだ?」
カウローイ 「おまえがやっておいて、よく言うぜ。」
タケル 「次の大会には出られそうか?」
カウローイ 「リハビリがてら、出てみるさ。」
タケル 「おい。体調を万全にしてからじゃないと、また怪我するぜ。」
カウローイ 「ま、怖いのはタケルくらいだけどな。おまえも出るだろう?」
タケル 「あ、俺旅に出るからしばらく試合には出ないつもりだ。」
カウローイ 「マジか!旅ってどこに行くんだよ。」
タケル 「いろいろだな、実際の戦闘ができるらしくてさ。面白そうじゃないか?」
カウローイ 「実戦か…俺も行きたいくらいだが、ワンドの件で試合には出なきゃいけないしな。」
リサ 「え?ワンド?ファイトナとは契約をしていないんだけど、ウエピナ以外にもワンドを開発しているところがあるのかしら?」
カウローイ 「こちらの可愛い女性は?」
タケル 「リサっていうんだ。ウエピナっていう街の研究員だったらしい。」
カウローイ 「ウエピナ?聞いたことがない街だな。」
リサ 「私たちもワンドの研究をしていて…そのワンドって今、どこにあるのかしら?」
カウローイ 「俺の膝の中だぜ。」
リサ 「体内にワンドを埋め込んでいるの?」
タケル 「カウローイは前に膝を粉々にされて、貧乏だったから手術代もなかったんだけど、それを肩代わりするかわりにワンドの性能を調査するモニターになっているんだ。」
カウローイ 「ま~、そういうことで試合には出なきゃいけないわけだ。」
リサ 「ちょっと気になる話ではありますね。」
カウローイ 「おっと!そろそろリハビリの時間だぜ、わるいな。」
タケル 「ああ、怪我が完全に治った時はまたやろうぜ!」
~病院を後にするタケルたち~
リサ 「ファイトナの人たちって気さくな人が多いですよね?」
タケル 「そっか?あまり気にしたことがないけど。」
リサ 「それより、バウンサーさん、さっきから無口だけど何かありましたか?」
バウンサー 「あ、ああ、すまない。ヒドラのことを考えていてな。」
タケル 「狂人が使っていたのがバウンサーの言うヒドラって刀かはわからないけど、何か情報が入ればいいけどな。」
ピピピピピ
≪リサの通信機が鳴る≫
リサ 「あ、トノトさんだ。共有して。」
通信機 ≪かしこまりました≫
リサ 「トノトさんこんにちは。」
トノト “やあ、君たちが戦ったオーディンと思われる人物の情報が入ってね”
バウンサー 「あいつ、今何をしている?」
トノト “スレンが率いる組織に入ったらしい”
バウンサー 「スレンか…奴らは何を?」
トノト “組織を大きくするために、仲間を集めているらしい”
バウンサー 「アジトはつかめているのか?」
トノト “アジトらしき場所はまだ見つかっていないな。裏ルートで人材を募集して ” オールピース” で落ち合っているらしい”
バウンサー 「ドランクシティーか。あそこじゃこの辺の政府も入り込めないか。」
リサ 「トノトさんの故郷?」
トノト “そういうことになる。”
バウンサー 「仲間を集めているということは、何かをおっぱじめるつもりか。」
≪両手に盾を持った騎士らしき男が話に割ってきた≫
盾の男 「たまたま今の話を聞かせていただきましたが、スレンという人物の所在を知っているのですか?」
タケル 「ん?おまえはファイトナの人間じゃないな。」
リサ 「あ!気が付かなかったけどオーラの反応がある。」
バウンサー 「オーラ使いか!」
ルー 「名乗らず失礼いたしました。私はファンタシアのルーといいます。」
リサ 「ああ!アルテモンをメタリカに献上した街ですね!」
ルー 「はい!よくご存じで!」
ルー 「げ!というか、そのサイボーグみたいな方の身体はアルテモンではないですか!」
バウンサー 「ああ、このボディーはメタリカの技術者に作ってもらった。」
ルー 「アルテモン使用したということは、政府公認ですか。」
バウンサー 「そういうことだ。」
ルー 「それにしてもすごい!」
ルー 「それより、スレンの行方を追っているのですが。」
バウンサー 「やつはファンタシアの王の腕を切り落として逃走したらしいな。」
ルー 「はい!奴を許すわけにはいきません!」
トノト “ドランクシティはファイトナからワイバーンで半年くらいの場所にある。”
リサ 「遠い…」
ルー 「ワイバーンと言いますと?」
バウンサー 「飛空艇の3倍は早い。」
ルー 「くっ、やつらこの短期間に…どうやってそんな遠くに」
トノト “移動手段はわかっていないが、ワンドのようなものを使用している可能性があるな。”
リサ 「ワンドのようなもの…か。」
タケル 「ひょっとして、カウローイの?」
バウンサー 「つながりがある可能性は考えられるな。」
ルー 「くそー!せっかく有用な情報を得たのにそこへ行けないとは!」
トノト “ドランクシティは私がワープを開いていますよ”
ルー 「ワープ?」
バウンサー 「ああ、一瞬で行けるってことだ。」
タケル 「これは、人助けするって流れだな。」
リサ 「そうね。次の行先はドランクシティーに変更!」
トノト “変更ってことはどこかに行く予定だったのかい?”
リサ 「トノトさんには内緒ですぅ!」
バウンサー 「では決まりだな。一度基地へ戻ろう、レオンにも伝えなければ。」
ルー 「え?ど、どういうことですか?」
タケル 「ルーも一緒に来るってことだぜ。」
そして一行はルーを連れ基地へ戻るのであった。