Ultimate ONE ~第二十二話~【レインボーレイク】

 

~大樹の下層にある湖を目指すことに決めたリサ達~

 

リサ 「んん~。ここからだと繋がっている道はなさそうですね。どうやって行くんだろう?」

 

レヴナント 「ワープの技術はなさそうだし、やはりエレベーターが何処かにあるのかな。」

 

バウンサー 「もしくは飛び降りるか。」

 

リサ 「バウンサーさんとレヴナントさんは大丈夫だと思いますけど。普通の人は死んじゃいますよ!もしかして、飛び降りたら何か起こるとか!?」

 

バウンサー 「まてまてまて!冗談にきまっているだろう。」

 

レヴナント 「案内人に聞けば教えてくれるんじゃないですかね?」

 

リサ 「えっ?聞いちゃうんですか?」

 

レヴナント 「自分で探したいとか?」

 

リサ 「その方が楽しいと思います!」

 

バウンサー 「それだと、まかり間違って上へ行ってしまうかもしれないしな。」

 

リサ 「その時は戻りましょう!」

 

≪何かを見つけるレヴナント≫

 

レヴナント 「展望台の方で人が並んでいますね。」

 

リサ 「あ!ほんとだ!!」

 

≪人が並んでいる方へ行くリサ≫

 

リサ 「あのう。私たち下へ降りたいんですけど、どうやって行けばよいか分からなくて…」

 

バウンサー 「人に聞いてるし…。」

 

観光客 「ああ、だったらこの展望台から気球で下の階まで送ってもらえますよ。」

 

リサ 「気球?」

 

観光客 「風船に籠が付いているような乗り物さ。」

 

バウンサー 「ウエピナには無かったか?」

 

リサ 「初めて聞く乗り物ですね!乗ってみたいです!」

 

レヴナント 「私も乗ったことがないな。」

 

バウンサー 「ウエピナは遊び心の少ない街だな。」

 

レヴナント 「教育国家なのであっても遊びをやるのは最下層の人間くらいか。」

 

観光客 「下へ降りるなら展望台のここからちょうど反対側ですよ。」

 

リサ 「ありがとうございます!行きましょう!みんな!」

 

バウンサー 「元気が良いな。リサ。」

 

レヴナント 「DQN社はブラック企業ですから休む間もなく働かされていたのでしょうね。こういうのは初めてなのでは?」

 

リサ 「研究は好きでやっていたところもありますし…でも!研究衣にレオタードを着せられるのってひどくありませんか!?」

 

バウンサー ≪やはり、不満だったのか。≫

 

リサ 「あ!あそこは搭乗口みたいですね。」

 

バウンサー 「しかし、気球とはな…遊び心たっぷりで俺にはこっちの方が向いているわ。」

 

リサ 「バウンサーさんやトノトさんのいた酒人の街はどんなところなんですか?」

 

バウンサー 「ああ…ドランクシティーのことか?杜氏か侍しかおらんぞ。」

 

レヴナント 「他の施設などはないんですか?」

 

バウンサー 「居酒屋やバーならあるけどな。ほかの施設は最低限という感じだ。中でも ”オールピース” という酒場があってな。そこではいかなるものも争いを起こさない場所となっている。」

 

リサ 「悪人も?」

 

バウンサー 「そうだ、今まで事件が起きたことがない。それを承知で来ているしな。」

 

レヴナント 「トラブルが起きないバーか…何かカラクリがありそうですね。」

 

バウンサー 「俺とトノトは国を追い出されたが、そこだけは立ち寄れる場所になっている。」

 

リサ 「前にレオンさんが意味深なことを言っていましたけど、何か事情があるんですよね?」

 

バウンサー 「そういうことだ。」

 

~搭乗口へ着くリサ達~

 

レヴナント 「ここかな? 搭乗口は。」

 

リサ 「気球、楽しみですね!」

 

バウンサー 「時刻表だともうそろそろ来るはずだが。」

 

~リサ達が少し待つと、大きな気球が下りてきた。~

 

リサ 「あ!あれですかね?」

 

バウンサー 「でかい気球だな。」

 

~気球は搭乗口で止まり、乗るための橋が搭乗口まで伸びてくる。リサ達はその橋を渡り気球に乗った~

 

気球の運転手 「どうも~。」

 

バウンサー 「ずいぶんフランクな運転手だな。」

 

リサ 「動力源は何かしら?」

 

気球の運転手 「君たち初めてかい? これはスカイジェリーフィッシュだよ。」

 

リサ 「ひょっとして生物?」

 

気球の運転手 「そうだな、ここには生息していない生物だが、ここの大気中に存在しているに微生物を捕食することでガスを発生し宙に浮く頃ができるんだ。」

 

バウンサー 「トノトが餌としてよく購入しているな。」

 

リサ 「餌?なんの餌?」

 

バウンサー 「スカイブルーアトランティクスだ。地上千メートル以上で気温は15度~18度、毎日スコールが発生しないと生息できず、スカイジュエリーフィッシュ以外のものは食べないので飼育は難しいらしい。」

 

リサ 「うん!普通の人は飼えない気がします。」

 

気球の運転手 「それじゃ、他に客がいないようなので降りていくよ。」

 

~気球はゆっくりと移動しながら高度を下げていく~

 

リサ 「私、ウエピナの技術がこの世でもトップクラスだと思っていましたが…おごりだったなぁ。」

 

バウンサー 「この世は広すぎるからな。」

 

~しばらくジャングラタウンの絶景を楽しみながら気球での旅を楽しむリサ達であった~

 

リサ 「3時間くらい乗ったかしら?トイレもあってよかった。」

 

レヴナント 「それにしても、樹の中にしてはここも明るいのですね。」

 

リサ 「夜はあるんでしょうか?」

 

気球の運転手 「大気中を漂う生物のおかげで明るく見えるが、時々睡眠をとるらしく、その時は暗くなるよ。」

 

リサ 「その生物は人間の体には影響ないのかしら?」

 

気球の運転手 「もちろんです、吸い込んでも問題はないですよ。」

 

リサ 「ここに限らず、大気中には様々な生物が漂っていますからね。それと同じか。」

 

気球の運転手 「さて、そろそろ着くよ。」

 

リサ 「湖へ行くのはどうしたらよいでしょうか?

 

気球の運転手 「リゾートへは送迎の無人バスが出ているから、それに乗るとよいよ。」

 

バウンサー 「たまに釣りでもしようか。」

 

リサ 「釣り?」

 

バウンサー 「ああ、水の多いところには魚という生き物がいて、餌などを食わせて捕まえる趣味だ。」

 

レヴナント 「それは面白そうですね!」

 

バウンサー 「ここの湖に魚がいるかわからないけどな。」

 

気球の運転手 「ほい!着きましたよ~。最終便なので上へ行くならまた明日!」

 

~気球を降り辺りを見渡すリサ~

 

リサ 「あれがバスでしょうか?ウエピナにあるものと似ていますね。」

 

バウンサー 「ここは様々な国の選ばれた人間たちが来るからな。わりと栄えてはいるようだ。」

 

レヴナント 「出発するかもしれないので早く乗りましょう。」

 

~バスに乗るリサ達、乗車している客は少ないようだ~

 

リサ 「上から見たら近そうだったけど、結構と遠いのかしら?」

 

バウンサー 「40 ~ 50 キロというところだろう。」

 

~何もない空間から人が急に現れる~

 

リサ 「きゃっ!」

 

トノト 「やあ、ここは…そうか、下へ降りたんだね。」

 

リサ 「トノトさん、びっくりした!」

 

トノト 「すまん、すまん、バウンサーをワープ先に設定していたのでね。」

 

バウンサー 「そういうことか。」

 

トノト 「ところで、研究施設は設置を完了したんだがもう少し遊んでいくかい?」

 

バウンサー 「トノトのターゲットの住処は見つけたのか?」

 

トノト 「セクシーアルマジロのことかい?」

 

リサ 「聞いただけでセクシー感がありますね。」

 

トノト 「ちょうどジャングラタウンで鳴き声を録音した人がいるという情報が入ってね。そこへ行くところだったのさ。」

 

バウンサー 「ほう。それは上層か?」

 

トノト 「いや、リゾート地だ。君たちは何処へ?」

 

リサ 「私たちも一緒です!」

 

トノト 「それは良かった。あと、リサさんに作ってもらいものがあります。」

 

リサ 「私でお力になれるのでしたら!どんなものでしょうか?」

 

トノト 「その魔獣の鳴き声を感知して知らせる道具なんですが、できそうですか?」

 

リサ 「施設さえあれば可能ですよ。」

 

トノト 「それはありがたい!足りないものがあればワープさせるので何でも言ってください。」

 

リサ 「分かりました。それよりあの可愛い鳴き声の魔獣さんはいないのですか?」

 

トノト 「気になるのかい?ノランは施設でドイル君の護衛をしているよ。」

 

リサ 「一度会わせてもらいますか?」

 

トノト 「もちろんだ。奴はよく人に慣れていてね、リサさんのことも気に入るだろう。」

 

リサ 「やった!」

 

トノト 「で、ここは無人バスみたいだがリゾート地へ向かっているのかい?」

 

レヴナント 「はい、私たちは湖で釣りをしようとしていたところです。」

 

トノト 「レインボーレイクか。鳴き声を録音した人もそのほとりのホテルで宿泊しているはずだ。」

 

レヴナント 「では、一緒に行きましょう!」

 

トノト 「彼が公開しているページからコンタクトは取っている。それと、レインボーレイクでの釣りは禁止されている。天然記念物が生息しているからね。」

 

バウンサー 「むむ…そうだったか。」

 

~リサ達はリゾート地へ向かい目当ての男と会う前にリゾート地のレストランで夕食をとる~

 

リサ 「残念だな~。ここならハンバーガー屋さんがあると思ったのに!」

 

レヴナント 「でも、さっきのレストランもすごく美味しかったですね。」

 

バウンサー 「いいな。おまえたちは、物が食べられて。」

 

トノト 「ハンバーガーならファイトナ辺りだとありそうだな。」

 

リサ 「え?ほんと!?」

 

トノト 「ええ。ファイトナのテレビジョン機能を見たことがあるけどそれらしい食べ物が映っていましたよ。」

 

リサ 「テレビジョン機能って、街の人が映像の通信をやっているものでしょうか。」

 

トノト 「知っているのかい?たぶんそのことですよ。」

 

レヴナント 「よかったですね!リサさん。ハンバーガー屋さんがありそうで。」

 

リサ 「はい!」

 

トノト 「では、ご飯も食べたし今日はリゾートのホテルで一泊して明日の朝、彼のもとへ行くとしますか。」

 

リサ 「あ!そうですね。ここ明るいからわからなかったけど、もう夜遅い時間か。」

 

バウンサー 「だからバスの人が少なかったのか。」

 

トノト 「ここの夜は数日に一回程度でランダムだからな。慣れるまで生活が大変だろう。」

 

リサ 「明るいと眠れなさそう。」

 

トノト 「建物の中にはダークライトも設置しているので大丈夫ですよ。」

 

バウンサー 「エレベーターのアレか。」

 

~そしてリサ達はホテルで一泊し、朝を迎える~

 

~ホテルのロビー~

 

トノト 「お!みんな来たか。では、早速だが彼のもとへ行きたい。ハンターたちに見つかる前にセクシーアルマジロを捕えておきたいのだよ。」

 

バウンサー 「おまえも生け捕り専門のハンターだけどな。」

 

リサ 「ダークライトを消すまで真っ暗だから朝って感じがしませんでした。少し遅れてしまってすみません。」

 

トノト 「ジャングラタウンあるあるですね。それじゃ、行きましょうか。」

 

~そしてトノトが言う人物と出会うことができたリサ達、しばらく会話をした後、例の鳴き声を聞かせてもらうこととなった~

 

トノト 「では、その鳴き声というものを聞かせていただけないでしょうか。」

 

男 「私の通信機で録画したものなんですが…これです。」

 

リサ 「あ、ちょっと待って!私もその音声を録音します!」

 

~道具を取り出すリサ~

 

~真っ暗な動画から音が聞こえる~

 

グララーーーーーオン

 

トノト 「…これか?」

 

男 「はい、この音だけですが…」

 

トノト 「ふむ…私も聞いたことがない鳴き声だが、確かに魔獣のようだ。」

 

レヴナント 「かなり遠くで鳴いているように聞こえますね。」

 

トノト 「リサさん、今の音声取れましたか?」

 

リサ 「はい!」

 

リサ ≪実は彼の携帯のデータごと抜き取っちゃったけど≫

 

トノト 「よし!では早速ですみませんが、研究施設へ行きましょう!」

 

リサ 「ノランちゃんと会える!」

 

トノト 「貴重な情報をありがとうございました。後でお礼を送っておきます。では。」

 

~研究施設へワープするリサ達であった~