Ultimate ONE ~第二十話~【ジャングラタウン】
~あれから、数日が経ちワイバーンはファイトナへ向かって飛行中であった。~
~リサ達はその間の時間をそれぞれ好きなように過ごしていたようだ~
~トノトの秘密基地~
トノト 「おっとっと~。酒をこぼすところだったよ。」
アイ 「トノト!飲みながらワープしないの。いきなり酔っ払いが現れたらびっくりするじゃない!」
トノト 「酒人は酔うことがないのだが、私は酔ったふりをするのが好きでね。演技上手いだろう?」
アイ 「で、今日の用事は何だい?用もないのに来る奴じゃないだろ?あんたは。」
トノト 「あ、そうだった。この前、新しい土地でいい酒を見つけてね。レオンと一緒に飲もうと思ったんだが。」
アイ 「そうか…残念だったね。あいにくレオンは依頼を受けて仕事中だよ。」
トノト 「しかたないな~。じゃ、アイとでも飲むか。」
アイ 「仕方ないとはなんだ、失礼な!」
リサ 「あ!トノトさん!お久しぶりです!」
トノト 「やあ、元気そうだね。ワープリングの複製は順調かい?」
リサ 「トノトさんがよく持って行ってしまうので、もう少しかかりそうです。」
トノト 「のんびり作った方がいいものができるしね!今日は暇だからウエピナへ行きたければ連れ行ってあげるよ?」
リサ 「う~ん。あそこはもう少しいいかな。」
アイ 「気持ちの整理を付けてからでいいさ…ウエピナもそれだけのことをリサにしてしまったんだから。」
リサ 「その代わりと言ってはなんだけど…ジャングラタウンに行ってみたいです!」
トノト 「ジャングラ?あそこはうっそうとした森しかないけど、研究の足しになるのかな…私はちょうどあの近くに用事があるけど。」
リサ 「この前、ワイバーンの巣に行ったときにすごく気分がすっきりしたんです!だから、森に行けば科学的に人体へ与える影響を研究できるかと思いまして。」
アイ 「天才の考えることは違うね~。」
トノト 「確かに森林浴は癒されるね。温度、湿度、光度、酸素量などが人体と合っているのかもね。」
リサ 「はい、でもそれ以外に別のエネルギーが存在しているように感じたので。」
トノト 「分かった。そういうことなら協力しよう! しかし、あそこには魔獣がいるので護衛が必要だな。」
アイ 「あんたは、護衛しないのかい!」
トノト 「ふむ。やったことはないが、やってみるかい?」
アイ 「すごく不安だわ…。」
バウンサー 「トノトは魔獣についていってしまうからな…逆効果だろう。」
トノト 「あ、バウンサー。」
アイ 「そういうことか…」
レヴナント 「私も森というところを見てみたいのですが。」
リサ 「レヴナントさんもウエピナ出身だから、砂漠しか見たことがないですよね!」
レヴナント 「はい!後は墓場とかですか。」
リサ 「墓場?」
レヴナント ≪あの場所は今はふせておくか≫
トノト 「ふむ…ウエピナ周辺が砂漠化した後か…ゾンビが出始めたのは。密林にはゾンビがいない…なかなかいいヒントにはなりそうだね。」
リサ 「確かに!すごいトノトさん!」
トノト 「科学の事は無知なので、あとはリサ君に任せよう!バウンサーとレヴナントさんがいれば護衛は必要ないね。」
バウンサー 「むろんだ。」
トノト 「私の助手を一人連れて行きたいのだが良いだろうか?」
リサ 「もちろんです!あと…ウェブさんもずっと引きこもってましたから、たまに外の空気を吸わせてあげないと。」
トノト 「なるほど!では簡易的な施設もワープさせますか。」
アイ 「お?本格的だね~住み込みかい?」
リサ 「え?いいんですか?それだとじっくり研究ができるのでありがたいんですけど。」
バウンサー 「トノトが動物を捕獲する際に使っていた施設か…懐かしいな。」
トノト 「そういうこと、足りないものはドイル君に持ってこさせるとして。」
レヴナント 「ゾンビと関係のある研究なら私も興味がありますね。」
トノト 「では、入りは15時として今日は夜に乾杯をしようではないか!」
アイ 「それが目的かい!」
バウンサー 「夜か…トノト。今回は何を狙っている。」
トノト 「さすが、バウンサー君!読みが鋭いね!」
バウンサー 「トノトには散々連れまわされたからな。」
トノト 「そういえば、グレイダーやボルドーもバウンサーに会いたがっていたぞ?」
バウンサー 「アイツらか…今の俺の姿を見たらなんと言われるか…。」
トノト 「ま、いつかは連れて来るが、奴らは研究の邪魔にしかならないし、また、今度な。」
バウンサー 「確かに…。」
トノト 「では準備があるので一度戻るよ。アイさん、この酒をレオンと会ったときに渡しておいてください。」
アイ 「はいよ。」
≪アイに酒を渡し消えるトノト≫
リサ 「じゃ~。もう少し時間があるからメタリカのハンバーガー屋さんに行こうかしら?」
レヴナント 「リサさん!そういう物ばかり食べていては、体を壊しますよ!」
アイ 「あそこのハンバーガーには添加物がたくさん入っているからね。」
リサ 「だって…好きなんだもん!添加物のみ除去する装置を作ろうかしら?」
アイ 「あ、それ、売れるかも?」
…
~時間は過ぎ、リサ達はジャングラタウンへ向かう~
レヴナント 「こ、これが森ですか!木は見たことはあるんですが、こんなに密集しているとは!」
リサ 「すごーーーーい!こんなの画像でも見たことがないです!」
トノト 「そうだろう!そしてあのとてつもなく大きな木の中は空洞になっていて街があるんだよ。」
リサ 「ホント!ウエピナごと入りそうな太い木!というか高い城壁みたいですね!」
トノト 「この辺は夜になると魔獣やモンスターが多く出てね。ここの人は昔から身を守るために木の中に住んでいるんだよ。」
バウンサー 「で、研究施設はどこに設置するつもりだ?」
トノト 「ここから3000キロ離れた川沿いに魔獣たちが水を飲みに来るサラ地がある。」
バウンサー 「魔獣のたまり場かよ。」
トノト 「ま、水を飲み来る魔獣もいれば、それを食いに来る魔獣もいるって感じかな。」
バウンサー 「そこに、リサや研究員を連れて行くつもりか?」
トノト 「シールドをかけるから施設を破壊されることはないだろう?あとはバウンサー、君が守るんだ。」
バウンサー 「リサも勝手にあちこち行きそうだし…責任重大だ。」
レヴナント 「街には寄らないのですか?」
トノト 「君たちは街で夜まで観光でもしていて大丈夫だよ。ここから、目的地までは少し危険なので私が施設を設置し終わったら向かいに行きます。」
レヴナント 「お手伝いは必要ないんですか?」
バウンサー 「ここは、トノトに任せておこう。ヤツは慣れているから心配はいらないだろう。」
リサ 「やっぱり、森独特のエネルギーみたいなものを感じますね!早く研究したいな!」
バウンサー 「急いては事を仕損じる。 まずは街の様子を見に行こう。」
リサ 「あの木も気になりますね!あ!ワープを繋いだからまた来れるか!やったぁ!」
レヴナント 「この木は直径どのくらいあるんだろうか?」
バウンサー 「外径だと620kmほどだと言われている。」
リサ 「あ、やっぱりウエピナより大きい。」
バウンサー 「門からは街まで20キロほど歩くがおまえたちなら問題ないだろう。」
リサ 「門…やっぱりあるんだ。」
バウンサー 「メタリカのことを思い出すか?ここは来るものは拒まずなので大丈夫だ。悪人以外はな。」
レヴナント 「私はゾンビですが大丈夫ですかね?」
バウンサー 「門番は精霊と言われるものが判断する。見た目は関係がないので大丈夫だろう。」
リサ 「精霊!」
バウンサー 「では、門の上に一人ずつ立つんだ。」
リサ 「この台の上かしら?」
≪台の上に乗るリサ≫
≪リサの前の幹がぼんやりと光る≫
バウンサー 「入ってよいぞ。光れば入ってよい証拠だ。」
リサ 「え?どこに?」
バウンサー 「光っているところから入ればよい。」
リサ 「へ~!分かりずらい!」
バウンサー 「外敵から身を守るためだ。」
リサ 「なるほど!」
リサ 「精霊ってどこかしら?」
バウンサー 「目には見えないだろう。」
レヴナント 「この大きな木が持っている思念のようなものだろうか。」
リサ 「魂…か。そういえば!レヴナントさんのオーラを調べさせて欲しいの!この前の冥人を倒す方法がわかるかもしれないし!」
バウンサー 「確かに厄介な相手ではあったわ。」
レヴナント 「私でよければいつでも協力しますよ。リサさんもやることがたくさんあって忙しいでしょうけど。」
リサ 「今日はとりあえず、ジャングラタウンでハンバーガー屋さんを探しましょう!」
バウンサー ≪さっき食べたんじゃ?≫
≪リサが幹に触れるとすり抜けることができた≫
…
レヴナント 「あ、あのう…バウンサーさん。私が先に行ってよいでしょうか?」
バウンサー 「かまわん。レヴナントが一人になり、拒絶され通りぬけられなかったら一人になってしまうからな。」
レヴナント 「図星です!」
≪レヴナントが台に乗り、幹は光りだした≫
レヴナント 「浄化されるかと思いましたが、大丈夫でしたね!」
バウンサー 「レヴナントも大変だな。」
≪レヴナントが幹を通る≫
バウンサー 「ん?待てよ?今の私はサイボーグだよな?生物じゃないものは通れるのか?」
≪バウンサーが台に乗り幹は光った≫
バウンサー 「お?いけるじゃん!」
~三人ともジャングラタウンへの通行許可が下り、街に向かうことができた~
~ジャングラタウンの門近くの木の上に小屋が立っていた~
門番 A 「三人とも通したぜ。これでいいのか?」
門番 B 「あの三人で間違えないだろう。トノトさんが言ってた三人と同じだ。」
門番 A 「この仕事、暇だけどわりと給料いいよな。」
門番 B 「魔獣に襲われる可能性はあるけど、大樹の周りにはほとんど近づかないし楽なもんよな。」
門番 A 「アポなしの奴はミツユビアーマードタイガーに食わせて終わりだし、俺たちは見て見ぬふりをすればいいだけだしよ。」
門番 B 「給料いいのはそのせいだと思うぜ?」
~リサ達は精霊がただの人だと知らずに街に入るのであった~