Ultimate ONE ~第十三話~【サイボーグ】

 

ブルーについていくリサ達、人通りのない裏路地へ入る。

ブルーはライオンのオブジェの口の中に手を入れて何かを探す。

と、その瞬間ブルーが消えた…

 

リサ 「あっ! 消えた? 食べられちゃったのかしら?」

 

バウンサー 「リサ殿が冗談を言うのは珍しいのう。」

 

リサ 「私だって、たまには冗談くらい言いますぅ!」

 

バウンサー 「あの消え方はおそらくワープリングじゃのう。」

 

リサ 「トノトさんですか? 根回しが良いですね。」

 

バウンサー 「ヤツは行動が遅いのことを嫌うのでな。早くブルー殿の後を追うことにしよう。」

 

レオン 「今は俺たちの存在に気が付いてるヤツは辺りにはまだいないぜ。」

 

バウンサー 「なるほど、それでトノト殿はワシらとレオン殿を会わせるために、あのようなところへワープさせたのか。」

 

レオン 「俺は、天気の良い朝は30分間日光浴をする習慣があってな。もう少し遅ければあそこにはいなかったが?」

 

リサ 「それで焦っていたのね。 トノトさん、乱暴な人かと思っちゃった。」

 

バウンサー 「それも外れではないがのう…」

 

リサ 「話は後にしましょう! 早くワープ先に行かなきゃ! ブルーさんも待っているだろうし。」

 

リサ 「バウンサーさんカバンに入っていてもらえますか?」

 

バウンサー 「バ、バウ!」

 

ライオンの口の中へ手を入れるリサ、そして消える…

 

リサ 「…ここは?」

 

ブルー 「ようこそ!ここは、アイさんの研究所です! 」

 

リサ 「なるほど! アイさんもいるのですね?」

 

ブルー 「はい! あそこに!」

 

バーのカウンターのようなところで男と何かを話しているようだ

男がリサ達に気が付く…

 

トノト 「よう! 遅かったじゃないか!? もう始めてましたよ。」

 

リサ 「お久しぶり?です! トノトさん。」

 

トノト 「この前は飛空艇ごとぶっ飛ばしちゃって。すみませんでした。万が一のことを考えて君たちのシェルターが欲しかったから。」

 

リサ 「あ? 鳥たちに襲われようとしたときの?」

 

トノト 「そういうこと。 でも飛空艇はモブさんたちにさらに良いものをプレゼントしておいたからね! 心配はしなくてよいよ。」

 

アイ 「ト~ノ~ト~! 私が味音痴だなんてひどいじゃない!」

 

リサ 「アイさん!お久しぶりです!」

 

アイ 「リサちゃん! 無事だったようだねぇ~」

 

トノト 「で、では。 私はワープリングを回収して、メタリカからしばらくとんずらするよ。 ブツが完成したら連絡よろしく!アイさん。」

 

アイ 「ちょっと! 話が終わってない~!」

 

トノト 「レオン…は…ついて来ているか分からないけど…ま、ヤツはどうにかするから大丈夫か。」

 

消えるトノト

 

リサ 「は、早い。」

 

アイ 「ホント! いたと思ったらすぐいなくなるのよ!あの人。」

 

レオン 「ま~、俺みたいなヤツだ。」

 

バウンサー 「いたんかい!」

 

リサ 「バウンサーさんも、トノトさんがいると無口ですよね。」

 

バウンサー 「それは…聞くな。」

 

アイ 「トノトがアルテモンをメタリカから買収してね。 研究所を安全なところにワープさせるから、こいつでなんか作ってくれって。」

 

リサ 「なんか?」

 

アイ 「そう、何を考えているのかしら、あの人。 自分もよく分からないからリサさんに聞いてくれって。」

 

リサ 「なるほど! そういうことね。」

 

アイ 「なるほど?」

 

リサ 「はい! 私はそこのバウンサーさんのコアで動くサイボーグを作りたいの!」

 

アイ 「サイボーグ? 私たちは特殊金属の加工しかできないけど?」

 

リサ 「そこは大丈夫です! 私の設計図通りに金属を加工していただければ。」

 

アイ 「ああ~。 そういうことかい。」

 

リサ 「でも、ここにサイボーグを作る施設があるのかしら?」

 

アイ 「そういえば、リサちゃんが来たら連れてってほしい部屋があるって言ってたような…」

 

リサ 「そこに連れて行ってくれますか?」

 

アイ 「うん。分かったよ。確かリサちゃんしか開けられない扉って言ってわ。」

 

リサ 「可能性があるならそこみたいですね。」

 

アイ 「じゃ、行ってみようか。 というかこの研究施設自体が何処にあるのかも分かってないけど。 ワープリング以外では外に出られなくて。」

 

レオン 「この研究施設にいるのは、俺、リサ、アイ、ブルー、あと二人いるな。それ以外は気配を全く感じない。」

 

アイ 「二人?私の助手はブルーだけだけど。 誰かしら?」

 

レオン 「心配するな、少なくとも俺たちの敵じゃない。」

 

アイ 「そうかい。に、しても声しかしないのは不気味だわ。」

 

レオン 「すまねぇな。ナチュラルな状態がこれなんだよ。」

 

バウンサー 「ワシは数に入っておらんようじゃが…」

 

レオン 「とりあえず、その部屋へ行ってみるしかないようだな。」

 

バウンサー 「スルーか…悲しいのう。」

 

アイ 「ブルー、私たちは行くからここの後片付けをお願い!」

 

ブルー 「残り物はいただいてよろしいんですか?」

 

アイ 「ああ、もったいないから食べちゃっていいよ。」

 

ブルー 「やった! あのサメ卵サンド! 一度食べてみたかったんだぁ~!」

 

シューーー

舌のようなものがサメ卵サンドめがけて伸びていき瞬時に奪い去っていく。

 

ブルー 「えええええ~~~~!」

 

レオン 「なるほどな。 確かにうめぇ~。」

 

ブルー 「ガーーーン! 後一つしかなかったのに!」

 

レオン 「すまねぇ事をした。 お詫びにリサ達が戻るまでにおまえのボディーガードをしてやろう。」

 

ブルー 「ここに、敵なんていないじゃないですか!!」

 

レオン 「では、殺したいヤツはいるか?」

 

ブルー 「いませんよ!」

 

バウンサー 「レオン殿はウイスキーという飲み物がすきなようじゃぞ。」

 

レオンの目線は余っているウイスキーの方を向いている

 

ブルー 「わ、分かりましたよ! 一緒に飲みましょう!レオンさん!」

 

レオン 「お? 物分かりが良いな。 おまえみたいのは嫌いじゃないぜ。」

 

ブルー 「アイさん!リサさん! 私はレオンさんもついているので、安心して行ってきてください!」

 

リサ 「わ、分かりました! 行きましょう! アイさん!」

 

バウンサー 「ワシは美女たちについていくかのう。」

 

アイ 「じゃ、あとよろしく。」

 

広間から去って聞くリサ達

それから、しばらくの時間がたつ

 

ブルー 「ヒック。 れ、レオンさんお酒強いですね。」

 

レオン 「酒人ほどじゃないがな。奴らはバケモンだ。」

 

ブルー 「確かトノトさんも酒人?って聞きましたけど。あ?というか、レオンさんさっきから透明になっていない。」

 

レオン 「俺は酒が好きなんだが…酒を飲むと気配を消せなくなる。さっきのサンドにも若干の酒が入っていた。」

 

ブルー 「メタリカではきっとお酒を飲めなかったですよね? それじゃ、飲みたい気持ちもわかります。」

 

レオン 「おまえ…ほんとにお人よしなんだな。」

 

ブルー 「でも、それとサメ卵サンドの話は別ですよ!」

 

レオン 「まだ根に持ってたか。 なんでも俺たちの住んでいるアルティメットのどこかには、海という場所があるらしい。 そこで獲れた食材を使った代物らしいぜ。」

 

ブルー 「知ってます! 海かぁ~!いったいどこにあるんでしょうね?」

 

レオン 「俺も場所までは分からねぇ~。なんでもそこを目指しても周りには街がなく、飛空艇では燃料が尽きてしまうらしいぜ。 おまけにその辺りには強いモンスターも、うじゃうじゃいるらしいって話だ。」

 

ブルー 「トノトさんはどうやって持ってきたんでしょう?」

 

レオン 「ワープリングだろうが…どうやって辿り着いたんだろうな。」

 

話が深まるブルーとレオン

レオンも久しぶりに気を許せるひと時を過ごしていた。

 

~研究所外れ~

アイ 「ここをもう少し行くとその扉があるところだわ。」

 

リサ 「ここの研究所、結構広いんですね。」

 

アイ 「最初は私達の研究施設だけだったんだけど。トノトがいじくったらしいね。」

 

リサ 「あ、ここかしら? いえ…たぶんここ。」

 

アイ 「そうよ。それよりも、なんか知ってる場所に来たって顔してたわよ? リサちゃん。」

 

 

リサ 「はい。この扉、間違えない。 ウエピナにある私の研究施設の扉よ。」

 

アイ 「あら! トノト、ワープリングの使いかたがすごく上手ね。」

 

リサ 「はは、ただの飲兵衛ではなさそうですね!」

 

機械に目をさらすリサ

扉が開く

部屋の中には起動している機械がたくさんある

 

研究員風の男 「り、リサさん! やはり生きていたのですか!」

 

リサ 「ウェブさん! ご無事だったんですね!」

 

ウェブ 「ええ、私は上層にいたので。」

 

リサ 「上層にいた人達はみんな大丈夫だったんですか?」

 

ウェブ 「はい!おおかたは大丈夫です。街もリサさんが開発してくれたスーパー超電導のおかげで未だ機能しています!」

 

リサ 「そっかぁ。 良かったです!上層の人たちだけでもご無事で!」

 

ウェブ 「ただ、シールドを発動してしまったので、外部との交流や、ウエピナからも街を出られるものがいません。」

 

リサ 「ウェブさんは何故ここに?」

 

ウェブ 「トノトさんという方に連れてこられて。 ワープリングを複製すれば街と行き来できるのでここで開発してくれと。 あとその前にリサさんに協力して欲しいと。」

 

リサ 「確かに…ワープリングを使えば街を行き来できるわね。でも、外部の情報すら遮断しているウエピナで開発してもポイントを作れないか…」

 

ウェブ 「はい。なので、トノトさんのワープリングを使って複製したワープリングでウエピナと他のポイントを繋いでもらう必要があります。」

 

リサ 「シールドすらも通り抜けるワープリング…さすがね。」

 

リサ 「で、ここは研究所として動かせるのかしら?」

 

ウェブ 「はい! 必要なものはトノトさんにウエピナから運んでもらいましたから。それにリサさんの研究施設はウエピナとは独立したスーパー超電導で動いておりますし。」

 

リサ 「良かったぁ~! 後でトノトさんにはお礼を言わなくちゃ!」

 

ウェブ 「ウエピナを復活させるためにも早くワープリングを複製しなければ。 その前にリサさんの用事は?」

 

リサ 「では早速作りましょうか! コアの思考を寸分の狂いもなく動作させることができるサイボーグを!」

 

バウンサー 「よいよ、ワシも戦えるのか! これで、リサ殿を守れる!」

 

リサ 「コアの情報を調査したいので協力してください、バウンサーさん!」

 

バウンサー 「もちろんでござる!」