Ultimate ONE ~第十話~【ヌァザ】
 
リサ 「結構歩きましたけど、運動になりましたね!バウンサーさん!」
 
バウンサー 「レオンのおかげでたどり着けたな」
 
リサ 「早速街に入りたいのですが…警備員がいますね。入れるかしら?」
 
バウンサー 「とりあえず、行ってみようか」
 
メタリカの門で検問をしている警備員に話しかけるリサ達…
 
リサ 「あ、あのう…警備員さん!門を通してほしいのですがどうすれば?」
 
警備員 「通してあげたいのだが、あいにく今は反社会勢力が街を脅かしていてな。危険なので通すわけにはいかないのだよ。というか、君たちはよくここまで陸地からたどり着けたものだな」
 
バウンサー 「ここで追い返す方が危険だろうが」
 
警備員 「なんだ?この浮いている玉は言葉を話すのか?」
 
リサ 「はいこの技術をメタリカの金属加工の技術と合わせて共同研究したいと思い訪れました!」
 
警備員 「難しい話だな。それなら、許可証を持っているはずだが…」
 
リサ 「それが…急に来てしまったものでメタリカのエンジニアにも相談をしたいのですが」
 
警備員 「うう~ん…やはり、私の判断ではここを通すわけにはいかないな…」
 
リサ 「そうですか…」
 
どこからか、声が聞こえた
 
レオン 「おい、そこの盆暗やろう…俺がこいつ等を連れて通りたいんだよ」
 
リサ 「レオン…さん?」
 
警備員 「レオン様だと? 少しお待ちください」
 
警備員が目に機械を取り付ける
 
機械 認証完了
 
警備員 「は!レオン様!どうぞお通りください!こちらの方もご一緒でよろしいのですね?」
 
レオン 「撃ち殺されるか、通すかのどちらかだ」
 
警備員 「か、かしこまりました!」
 
門を開ける警備員
 
リサ達はメタリカの街に入ることができた
 
バウンサー 「それにしても、あの警備員の反応…レオンがメタリカとどういうつながりがあるのか…」
 
リサ 「レオンさんってそんなに有名人なのですか?」
 
バウンサー 「確かに殺し屋としては伝説になるほど有名だがな…だが、ヤツは死んでいることになっているため、存在を知るものは少ないはずだ」
 
バウンサー 「誰かの紹介を受けたのか…」
 
リサ 「何故私たちを助けてくれたのか知りませんけど、お礼はしませんとね!」
 
レオン 「染みるぜぃ…」
 
リサ 「あ、いたのですね!つい、いるのを忘れてしまっていました!すみません」
 
レオン 「俺の存在はあってないようなもんだ。問題はない」
 
バウンサー 「で、リサ…アテはあるのか?」
 
リサ 「はい!ワンドを作る際に協力してくださった研究者がいます」
 
バウンサー 「ならば、まずはそこを訪ねるとしよう」
 
リサ 「彼女の会社は中央に位置している場所にあるはずです。乗り物を使いたいのですが、トノトさんのカードは役に立つのかしら…」
 
レオン 「駅近くのターミナルにいけば運び屋がたくさんいる。カードも使えるだろう」
 
リサ 「レオンさん!いつも声しかしないからびっくりしますよ!」
 
レオン 「この街では俺の存在を知っている奴がいると、厄介なんでな」
 
バウンサー 「反社会勢力との絡みか」
 
レオン 「まぁ、それが今の俺の仕事だ」
 
バウンサー 「街に雇われた暗殺者って訳か で、足はつかめたのか?」
 
レオン 「ふっ…ここで言うかよ」
 
リサ達は最寄りの駅のターミナルへ向かう…広場があり、そこを抜けるとターミナルだ
 
広間で誰かが演説している
 
男 「この国に足りないものは、電子技術! 金属加工の技術だけでは需要が足りない!我が国は赤字が続き今にも街が破産しそうなのだよ!」
 
男 「いかに硬い金属を生成できようとも、それを生活に生かすことができなければ我が街はいずれ滅びる! それは、我が街の金属技術をほかの街では扱うことができないからだ!…」
 
リサ 「選挙でもあるのかしら?」
 
広間ではたくさんの人が集まり子供たちも遊んでいる…政治家の話に耳を傾ける人も多く演説の周りは人でにぎわっていた…
 
そこに銃声がなった
 
ドーーーーーン!
 
広間にいた子供の一人がいきなり撃ち殺される
 
辺りはざわつく
 
リサ 「え?今のは…レオンさん?」
 
バウンサー 「ヤツ…だろうな」
 
リサ 「罪もない、子供を撃つの?」
 
声がする…
 
レオン 「罪は、起こしてからじゃおせぇ~んだよ。どのみちその子は殺さるだろう…ガキの懐を見な」
 
リサが撃たれた子供に駆け寄り調べる
 
リサ「こ、これは? 超小型爆弾! これが発動したらこの当たりの人は全て死に、建物も崩壊させる威力の爆弾だわ!スイッチは本人が押すシステムらしいわね」
 
レオン 「そこいら全員の命と、洗脳された子供の命…どっちが大事なんだ?」
 
バウンサー 「相手は民間人に紛れ込んでいる様だな…それでレオンが雇われたのか」
 
レオン 「政府は民間人を殺すわけにいかないからな…事件を起こす前にはよ」
 
バウンサー 「適任というわけか…とはいえ、お主がこの街の用心棒になったのも不思議だ…死んだとされるお主の情報をメタリカが持っているとは思えん」
 
レオン 「それは…お前がよく知っているヤツの紹介だぜ」
 
バウンサー 「…やはりな…トノトはそのことも知ってあの場所へ飛ばしたのか」
 
レオン 「やれやれ、力になれ!もしくは面倒をみろ!のどちらかだな」
 
とある建物の中…
 
車椅子の男 「子供に爆弾を使わせ、テロを決行しようとしましたが子供は何者かに殺され、阻止されました」
 
スーツを着た男 「はぁ~~?またかよ!誰が俺らの邪魔をしている!?」
 
車椅子の男  「分かりません。ただ…DQNの研究員らしきものが撃ち殺された子供に駆け付けた情報があります」
 
スーツを着た男 「DQN? ウエピナの研究員が何故ここに?」
 
スーツを着た男 「とりあえず、その研究員は抹殺対象から外せ。情報を聞き出したい」
 
車椅子の男 「拉致しますか?」
 
スーツを着た男 「DQNの研究員ともなると街と契約を結んでいるに違いない…消えると街も気が付くだろう。今は放置しよう。それにウエピナの人間にはチップが植え込まれている。場所も特定されかねない」
 
スーツを着た男 「それよりも、今は世界最強の金属、”アルテモン” を盗み出すのだ! あれは唯一無二の金属!この世界で最強の強度を持つ…今後生成されることはなく、今回輸入されるので最後だろう、それを盗み他国へ売りつければ国も相当な痛手だろうな」
 
車椅子の男 「まぁ、それを加工できる技術はなくても、欲しがる街はあるでしょう」
 
スーツを着た男 「アルテモンは聖国ファンタシアの国宝だ。国交の証と贈呈したそれが盗まれたとなれば、戦が起きることも考えられる。それを実行するために他国に売られたという事実が欲しい」
 
車椅子の男 「私はヘルから気がつたらこの地上にいました。あてもなく彷徨っておりましたが、あなたのような方に出会えてよかった」
 
スーツを着た男 「君はいろいろと使いどころがある。この街は腐っているから、潰してやりたいのだ」
 
車椅子の男 「まぁ~、あなたの行いたい行為であれば、好きなように行動してください」
 
場所は変わりメタリカのとある高い建物の屋上
男が音を出す機械に何かを話しかけている
 
男 「ヌァザ様!ファンタシアは特に問題ありません!メタリカの方は大丈夫でしょうか?」
 

 
ヌァザ 「ルー、こちらはテロ集団が街を脅かしている。先ほども広間で子供が一人撃ち殺された」

 


 
ルー 「子供を!? なんて酷い連中だ!アルテモンも狙っていると聞きます!気を付けてください!」
 
ヌァザ 「金属加工に優れた街だ…私たち剣の街とは友好を結びたいが、アルテモンが盗まれると、その話も無くなるかもしれない。非常に不味い事態だな」
 
ルー 「アルテモンの贈呈はもう済んでいますよね?」
 
ヌァザ 「まぁ~そうなのだが、だからと言ってわが街の国宝を盗まれてはどうなるのか。それに、その反社会組織の集団にはスレンが加わっていると聞く」
 
ヌァザ 「我が国の人間が他国に迷惑をかけることは許さぬ!奴に勝てるものはメタリカにはいない。我が手で止めるしかないだろう」
 
ルー 「ヌァザ様の右腕を奪ったスレン!ヤツを許すわけにはいかない!」
 
ヌァザ 「ま~、私は腕などなくとも剣技には支障がないけどな」
 
ヌァザ 「今回の俺の仕事は反社会組織の撲滅だ。しばらくはファンタシアを頼むぞ! ルーよ」
 
ルー 「任せてください!」
 
ヌァザ 「スレンの居場所がわかるまでは、しばらく様子を見るつもりだ」