Ultimate ONE ~第六話~【伝説の侍】
リッチ 「バウンサー、とな…聞かぬ名だ。刀を持つ者は”侍”といい、侍とはもともと酒人 (シュジン)と呼ばれる種族の戦士とは聞いたことならあるが」
リッチ 「刀を持ち “侍”?にでもなったつもりか!?」
バウンサー 「ふむ…なら、おまえが決めてくれ…俺の太刀筋が ”侍” のものであるかどうかを」
リッチ 「はははははは! 面白い!負け犬の遠吠えとはよく言ったものよ。お前はわしに対して怒りも持っておらんようだ、死も覚悟しているようだ」
バウンサーがリサに小声で話しかける
バウンサー 「少々、大きな攻撃を仕掛ける…ビッチは下がっていろ」
リサ 「!?わ、私、ビッチなんかじゃありません!」
バウンサー ≪さて、久しぶりに俺の愛刀 “オロチ” の切れ味を試すとするか…≫
ドン
未完成のワンド、オロチを抜きリッチよりも高く飛び上がるバウンサー
リサ「あ、あ~!そのワンドは~!」
バウンサー 「オロチよ!俺の覇気を刃にまとえ!」
刃先に神経を集中させるバウンサー
リッチ 「おろかな…刀で斬り付けようとも、実体を持たぬの私を傷つけることなどできんわ!」
バウンサー ≪ん!何!? 制御が効かん! す、全ての俺の覇気がオロチに吸い尽くされていく!≫
刀から発するエネルギーで辺りの大地が揺れ出す!
ゴゴゴゴゴ…
リッチ 「な、なんじゃ!この感覚は!身体が震えておる…」
リサ 「す、すごい生命のエネルギー!」
レヴナント 「…これは、不味い事になるぞ!」
バウンサー ≪くっ…俺の気をすべて…魂ごと吸い取られる…≫
バウンサー 「しかし! 魂が潰えても、この覇気はコボルド族を愚弄した、おまえにくれてやるぞ!」
バウンザー 「気斬(けざん)!!!」
刀に吸い取られたオーラの力をリッチに放つバウンサー
チーーーーン
一瞬で斬撃は放たれ、辺りは静寂する
バウンサー 「はぁ…はぁ…だ…大地ごと…斬ってしまったか…体が動かん…」
リッチ 「ははは!何が起きたというの…の…じ…ゃ…。」
実体のないリッチは真っ二つにされその身体は地面に落ちていく
レヴナント 「や、ヤツを…やったのか?」
とたん、大地が激しく揺れ出し城壁も崩れていく…
バウンサー 「何!?地面に放った覇気が跳ね返された!?」
どどどどどーーーーーーーん
大地からとてつもないエネルギーが跳ね返され、光に包まれていく…
レヴナント 「危ない!」
バウンサーを助けようと飛び出すレヴナント
跳ね返されたエネルギーに包まれていく…
リサ 「きゃーーーー!」
ドドドドーーーーーーン!
覇気を放たれた大地はそのエネルギーを跳ね返し
大きな溝ができ、静まっていく…
溝の辺りは崩れ去り、城壁も破壊されていた。
そして、跳ね返された光と共に消えていくレヴナント
リサ 「レ…レヴナントさんが…」
リサの前に何かが落ちてくる
ドサーーン
リサ 「キャーーー!」
落ちた来たものはワンドの刀と
バウンサーの頭部だった
バウンサー 「ケホッ…」
リサ 「ま、まだ生きているの?なんて生命力。 でも…もう…助からないわね…」
リサ「あ、彼の脳のデータを!」
バウンサーの頭部に機械を取り付けるリサ
…
ピピピピ…”データ移行10% もうしばらく お待ちください”
リサ ≪彼の脳が死ぬ前にデータを移さなきゃ≫
すると街の中央から大きな音が聞こえた
ドドドドドド…
リサ 「いけない!中央からエネルギーシールドを張ろうとしてるわ!最下層の人たちを見捨てる気?私は…どうすれば…」
シールドが張られ、リサの方にも近づいてくる
リサ 「もう、戻れないのね…。」
ブロロロロロロ…
という音がなり、シールド以外のものも近づいてきた
モブ 「リサーーー!」
拡声器から声が聞こえる、モブたちのキャッスルバギーだ
リサ 「モブさんが何故ここに?」
モブ 「お前が、悪い予感がするというから帰れなかっただろ!ハシゴを落とすから早く捕まえれ!」
リサ 「あ…ちょっと待って!」
機械 “データ移行92%“
モブ 「何してるんだ、早くしろ!」
助手 「も!モブさん!あそこ!」
リサの近くにゾンビの生き残りが近づいていた
ゾンビ 「ウゴオオオーーーー…」
リサ 「キャッ!」
リサに噛みつこうとした瞬間に動きが止まり、蒸発するように消えていくゾンビ
リサ 「え?今、何が起きたの?科学的に解析できるのかしら」
機械 “データ移行 完了しました”
リサ 「成功したのね!」
すぐに機械をバウンサーの頭から取り外し、はしごに捕まるリサ
モブ 「手を放すなよーーー!」
ブロロロロロ…
間一髪、エネルギーシールドからは逃れたリサ…
シールドは最下層以外の町を包み込んでいく…
…
~モブのキャッスルバギー内~
モブ 「おお~!リサ!無事上がってこられたようだな~」
リサ 「よいしょっと。はい!助けていただいてありがとうございます!」
モブ 「ひでぇ~目にあったってのに、相変わらずタフなお嬢さんだ。で~…おまえの手に持っている武器とか玉みたいのはなんだ?」
リサ 「これは~…DQNが開発した武器と、ある人の脳の情報を移行したロボットです」
モブ 「オッケー!聞いた俺が悪かったぜ、さっぱりわかんねぇ~」
モブ 「しかし~、飛空艇に乗せておいて言うのもなんだが…リサをウエピナまで帰すことが出来ないんだ」
助手 「リサさん!お久しぶりです!わたし、シャボンといいます!また会えてうれしいです!」
モブ 「おいおい、大事な話に割って入るなよ」
シャボン 「すみません!つい嬉しくて」
モブ 「で、リサ…俺らには、リサをウエピナに帰す手段、燃料、そして時間がない」
シャボン 「そうなんです。ウエピナで受け取ったワンドを依頼主に渡さなければいけないので、一刻も早く町に戻らなければいけないんですよ」
モブ 「すぐにリサを帰せればいいんだが…この状況じゃな」
リサ 「モブさんの町に帰れば依頼主さんはいらっしゃるんですか?」
モブ 「ああ、出発が遅れたので納期は若干遅れそうだが…待ってはくれるだろう」
リサ 「では、私も一緒に連れて行ってください!どうせウエピナには帰ることなんてできませんから!」
シャボン 「そうですね!その方が絶対いいですよ!私たちの町はのどかで安全ですし!」
モブ 「俺からも言わせてもらうが、リサにとっても、その方が良さそうだ。あの街(ウエピナ) はヤベェ」
リサ 「二人ともありがとうございます!これからの事はその町についてから考えます!」
モブ 「ああ…リサならどこに行ったって大丈夫だ!」
モブ 「では、帰るぞ!俺たちの町 “コマース” に!」
こうして、ウエピナで起きた事件の真相は謎のまま…一行は商業の町コマースへ向かう
果たしてその先には何が待ち構えているのか…リサの運命は?
そして、レヴナントの行方は…。
~事件後のウエピナ、最下層~
城壁が崩れ去ったことでゾンビが入り込み最下層は巣窟となっていた。
その中に一人の女性が歩いている…虹色の髪を持つ美しい女性であった。
ゾンビたちはその女性を見かけると一斉に襲い掛かる
だが、襲い掛かったゾンビたちはリサが襲われかけたときのように、蒸発し消え去る…
虹色の髪の女 「リッチ…なぜヤツは地上へ現れることが出来た…」
~今度こそ終わり~