今日は土曜日。慌ただしい、ただそれだけの一日が過ぎていった。

久しぶりに顔を合わせた店長だったが、彼は僕の前でただの患者として自分の身体の不調を訴えてきた。
ストレス、睡眠不足、夏バテ、それらが重なって循環器系の疾患のなり始めだったのでそれを伝え薬を教えた。

…てか奴さんは同じ症状の患者が僕のいない日に来たらどう診察してるのだろう?まさか他の従業員と同じように「週末や夕方来て下さい」って言ってるのだろうか?
だとしたら情けない。
けど僕に聞いてきたという事は、彼がそういった症状の患者を「診れない」ってのは残念ながら確定だ。

…まぁそうだよな。普通の薬屋の店長は「診察」できないもんな。あくまで『セルフメディケーションのお手伝い』でいい訳だから。
なので彼を責める気にはなれず、代わりに「お大事に」とだけ伝えた。
帰っていく時の彼の背中がちょっとだけ小さく見えたのは気のせいだろうか?とても寂しげでなんとなく気の毒にも思えてしまった。

本来なら「店の長」として居丈高に振る舞っていたいであろうに、自分の上をいく部下をもってしまったが故に頭があがらない上に、挙げ句の果てには開き直って自分の相談まで持ちかけてくるようになってしまうほどに降参な訳だ。

そんな現状を見ていると…僕はうっすら罪悪感まで覚えてしまう。
僕は店長の自信を奪いたい訳ではない。むしろ役に立ちたいと思っているのだが、やる気を出せば出すほど彼を引き離し傷つけてしまう。自信を奪ってしまう。

仕方がないと割りきってくれているのであろうが、僕は彼を傷付けたくはないのだ。

仕事は仕事。
いつか酒でも酌み交わし、ただの同い年の同僚として語り合ってみたい。

そんな事を思う…暇もないくらい、今日は忙しかったけどね❗(笑)