ラファエル・ホルツディッペ選手がお話されたことについて文章に起こすことができましたので掲載します(長いので数回に分けて掲載していきます)

 ここに掲載している内容は、アルティメットa.c.のコーチである木次谷(福島高専)が、ホルツディッペ選手本人から直接聞いたお話を翻訳したものです。(どこの書籍にも載っていないない内容です)

 私の翻訳能力にも限界がありますので、読みにくい点はご容赦ください。

 

(棒高跳クラブ Ultimate a.c.では参加者を募集しています。

問い合わせは      iwakipv@gmail.com     までお願いします。

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ラファエル・ホルツディッペ選手はドイツの棒高跳選手です(元世界ジュニア記録保持者・自己記録5m91)

  2008年 世界ジュニア選手権 金メダル(5m40)、

  2008年 北京オリンピック 第8位(5m60)

  2012年 ロンドンオリンピック 銅メダル(5m77)

  2013年 モスクワ世界陸上 金メダル(5m89)

    2015年 北京世界陸上 銀メダル(5m90)

  

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7 ヨーロッパジュニア選手権での失敗

 世界ジュニア選手権が終わり、2007年の室内シーズンでも5m30前後を跳ぶことができ、2007年の屋外シーズンでは、5m50にまで自己記録を伸ばしていた。

 2007年はヨーロッパジュニア選手権が開催される年で、私はその大会をとても楽しみにしていた。楽しみにして臨んだヨーロッパジュニア選手権であったが、結果は非常に残念なものとなった。

 (屋外競技場にあるピット。マットは3か所に設置されており、バックストレートにあるマットは風向きによってどちら側からでも跳べるようになっている)

 

 今でもなぜかよくわからないのだが、私はその試合中とてもナーバスになっていた。

 私は競技場に入るとすぐに、自分でもどうしていいかわからないような状態になり、頭が真っ白になってしまった。

 結局、予選で最初の高さを3回失敗して記録なしになり、予選落ちをしてしまった。

 当時の私の自己記録は5m50であったので、その試合では当然メダルも狙っていた。

 そんな中で大きな失敗をしてしまい、私はとても落ち込んでしまった。

 

 ヨーロッパジュニア選手権が終わり、ドイツに戻ったが、私はまだヨーロッパジュニア選手権の失敗のことが頭から離れなかった。

 その後も、ドイツジュニア選手権やほかの試合にも出場したのだが、実際のところ私は、あまり競技に集中できていなかった。早く試合シーズンを終え、競技のことを忘れたいと思っていた。

 試合シーズンの後、私は4週間ほど競技から離れ、次のシーズンへ向けて心身ともにリフレッシュすることにした。

 

8 次のシーズンに向けて

 2008年のシーズンにむけてトレーニングが始まった。

 2008年のシーズンにむけたトレーニングは、技術よりも身体能力の向上を重視し、走トレーニングやジャンプトレーニング、ウェイトリフティングを重視することにした。

 

 2008年より前は、10月から1月の準備期でハムストリグスなどのケガをすることもあったのだが、このようなやりかたでトレーニングに取り組んだの結果、2008年の室内シーズンへ向けた準備期ではほとんどケガをすることもなく、とてもよい状態でトレーニングを行うことができた。そして、トレーニングが順調にいくにしたがって、室内競技会にむけて気持ちも高まっていった。

 

    

(練習器具は必ずしも最新のものがそろっているわけではないが、どれも細かい工夫がこらされていた)

 

 当時のドイツ室内ジュニア記録は5m52であった。

 私はその年の最初の室内競技会で5m60を跳び、ドイツジュニア室内記録を更新した。

 私自身としては、当時5m70ぐらいは跳べると思っていた。

 5m70を跳べばイタリアで開催されるヨーロッパ室内選手権に出場できるし、室内世界ジュニア記録を更新することになる。

 私は5m70を跳ぼうと非常に気合が入っていた。

 しかし、あまりにも5m70を意識し過ぎたせいか、その時期の私の試合での記録は5m50~60ばかりで、5m70はなかなか跳べなかった。

 

 その年、私は初めてドイツ室内選手権に出場した。

 結果は5m60を跳んで5位だった。

 私は自己ベストが5m60のジュニア選手であり、ドイツ室内選手権も初出場の選手であった。今考えると、そのような選手の結果としては上出来とも言える。

 しかし、当時の私は目標である5m70が跳べず、ヨーロッパ室内選手権の代表にも選ばれなかったことから、とても落ち込んでしまっていた。

 

 

(続く)