今のうちに私の生徒さんたちを紹介しておきます。

個人の特定を防ぐ目的とプライバシー保護のため、動物さん名で例えさせていただきます。

また国名もランダムなアルファベットで示します。

 

今一番長いお付き合いなのは、アルパカ君5年生(R3年度)。

生育:日本生まれ日本育ち

家庭:パパ日本人、ママZ国出身、歳の離れたお姉さん(察するにママの連れ子)がいるがZ国滞在中

言語:日本語、Z語。長い話、難しい話はZ語の方が楽そう。

性格:のんびりマイペースでナイーブ、実は周りをよく見ている

指導開始:2年生1月

 

一言でいうなら騒いだり大笑いすることもない「ほわーん」とした子。自閉症ぎみだと聞いているのですが、アグレッシブではなくすべてにおいて反応は薄めです。かなが定着していなさそうなこと、反応が少ないので言語的な問題もあるのかも、ということで指導の依頼があったのが2年生の1月末でした。

 

教科書を読んでいても改行にあうと行を飛ばしたり、また同じ行をよんだり、見失ったりしてしまいます。

よくありますよね

漢字は2年生レベルまではOKな感じですが、3年生レベルになると読めないものが増えてきます。なのでフリガナをつけさせようと鉛筆を持たせておくとほぼ必ず落とします。落とした鉛筆を拾うために下を向くと、机の反対側から筆箱や教科書が落ちます。教科書を拾うとまた鉛筆が落ちる…という。

学校の机は狭すぎる!

 

時々、好きな釣りの話、おばあちゃんのいるZ国の話、大好きな武器や戦車の話、youtubeで見た動画の話、飼い猫の話などを前触れもなくとつとつとしてくれます。自発的に話をすることが珍しいのでできる限り聞いてあげたい。という気持ちと、休みが多くて遅れがちなので早く単元進めたい、の板挟みです。

 

日本語ではおとなしく、教科書の説明文なども「分かってるかな大丈夫かな?」という感じ。でも彼の疑問質問は結構するどい。教科書で伊曽保(イソップ)物語の「はととありのこと」をやった時のこと。イソップ物語は紀元前6世紀にできたと言われている、という話の後、状況がよく分かるように、と絵本を見ながら読みました。と、アルパカ君、猟師を指さし

 

「…そんな昔に、長靴ってあったのかな…?」

 

挿絵の猟師が立派な黒い長靴を履いていたのです。

ホントだよ、安易に今風の猟師描いちゃダメですよ

 

最近分かってきたのはZ語になると彼はかなりの事を知っているようだ、ということ。高学年になるにつれ、彼の話の内容は高度になってきているのですが、日本語よりもZ語の方が楽なようです。私うりぷか、大学ではZ語専攻していたのですが、お恥ずかしながら「勉強したことない人よりは知ってるけど」というレベル。アルパカ君のZ語についていけていません。するっとアルパカ君のZ語を理解した上で、それは日本語でこういうよ、って教えてあげられたらいいのですけど。

 

アルパカ君、精神的にナイーブなところがあり、低学年のころは参観日があったりすると緊張して体調を崩してしまい、早退したり休んだりしていました。体もあまり丈夫とは言えない方で、特に冬場になると頭痛や熱でしょっちゅう休むし、学校に来ていても頭痛や腹痛で本調子でないこともたびたび。そんなときはいつもにも増して「ほわーん」度が高まり、「ああ、今日は何もためになることをしてあげられなかった…」「やっぱりやり方が間違ってるのかな。私役に立ってないなぁ」と私も落ち込んでしまいます。

 

でも体調がいいと一生懸命辞書を引こうとしたり、文を考えたり、漢字にかなをふったり、するどい質問をしてくれる。学年が上がるにつれしっかりしてきたな、と心の底から思います。彼は打って響くタイプではないし、今日教えて明日すぐ変わる、というような素晴らしい指導は私にはできません。それでももし、私と勉強する時間がアルパカ君にとってほっとする時間であるなら、それはそれで意味があることなのかな、とも思っています。