私は引退会見をしている東京ドームホテルの一室でテレビを見ていた。
同じ建物内のどこかで、今イチローが話をしている。それだけで嬉しかった。
24時を過ぎているのに、父もなかなか寝ようとしない。すごいものを見たなと呟いて、イチローの会見を見ていた。
ふと、テーブルの上の袋が目に入る。
お弁当食べるの忘れてたっっっ
食べる暇がなかったとも言う。
あきゃーーーっ!私はいいけど父さんに食べさせてないなんてなんてこと
ごめんね父さん、ごめんよー。
あぁ、母さんに叱られちゃうな。
と、1人あたふたしてしまった
こんな時間から食べられないよねって言ったら、父は笑いながらおかずだけつまんでいた。私は胸がいっぱい過ぎてご飯どころじゃなかったんだけど、父に付き合ってほんの少しだけ口にしてみた。
イチローの会見の中から、印象的だった言葉をいくつか載せておこうと思う。
引退します。ではなく!引退することとなりました。なんだねと思った。
最初のこの一言に、自分の思いだけではどうにもならないイチローの気持ちが全部詰め込まれているような気がした。
イチロー
この言葉は我々、1番嬉しかったよ。
父さんのご飯を忘れても目が腫れても喉が潰れても手のひらが痛くなっても、あそこにいてよかったって思った。イチローにあんなものを見せられてよかった。
去年、シーズン半ばでロースターを外れて会長付特別補佐になるというニュースを聞いたときは

てなったけど、イチローは諦めていなかった。
選手としてまたグラウンドに戻る日を。
心折れそうなときもあっただろうに、トレーニングに手を抜くことはなかったのだろうなと身体が語っていた。
誰かに喜んでもらえることが1番の喜びであったというイチロー。私たちはいつもイチローが野球をしている姿を見て喜んできたから、イチローのことも喜ばせてあげることができたってことかな
私もイチローの野球を愛したことは一度も変わることはなかったぞ。
誰がひっそりと終わらせるというのよ。
自分のファンをナメちゃいかんよ。
イチローがそんな風に言ってくれて。
まぁ、そうしないけど、死んでもいいという気持ちはこういうことなのね。
えぇ、もちろん私も死なないけど。
イチローのメジャー生活を最初から最後まで見届けてくれた一弓。私が言うのもおかしいんだけど、ありがとう一弓。
先日、最近の一弓の様子がテレビに映っていた。本当にフラフラだった
これからはイチローと一緒にいる時間が増えるね。よかったね、一弓。
弓子も良かったね
←なぜか呼び捨て

この言葉は心に刺さったなぁ。スケールは天と地ほどの違いがあるけど、だから私の人生には後悔がたくさん転がっているのかしらと、はっ
とさせられた。
一流の野球選手になることを夢に見ていた小学生の自分に声をかけるとしたら?という質問に対する回答。
オリックスからドラフト4位で指名されたイチローの契約金は4,000万円。
うん、もらえなかったねぇ。
しかも半分は税金として徴収され、残りの半分はお父さんがイチローの退職金の先払いと思って貯金をしたらしい。
プロ野球選手になっても一生困らないほどのお金を稼ぐことができるのはほんの一握り。監督やコーチ、解説者などでその後の仕事に困らない選手も一握り。
だけどイチローの最高年俸額は、5年総額9,000万ドル。単年にすると1,800万ドル(日本円で18億円)


18億円て…、何回飲みに行けるくらい?

息子の将来を心配するお父さんを安心させてあげられたことは契約金1億円よりも価値のあることだったよね。
記者たちに対して、そして世界中のファンに対して、とても誠実で配慮を感じる記者会見だった。イチローらしい。
こんな可愛い一面も、きっとイチローの中では全て考えられたものだと思う。
自分の発言に反応を感じないと、記者にこの言葉を投げかけたイチロー。
ある記者が、聞き入ってしまって相槌を打つことも忘れていたと言っていた。
これ、今年の流行語大賞でいいよ

イチローの選手生活が終わった。
ものすごい喪失感とか虚無感に襲われること今も尚、という感じだけど。
でもやっぱりそれ以上にイチローにはありがとうを伝えたいと思う。
イチローを応援してこれて私はずーっと幸せだった。もちろんこれからのイチローのことも、全力で応援していくよ。
これからなにをしてもいい。
ただ自由に楽しく歩いて行ってほしい。
ありがとう、イチロー。








