私は家の押入れの中で1人で扉も閉めて暗闇にして遊ぶのが大好きでした。
布団の上に座り、毛布を肩にかけて、お姫様ごっこをするのが好きでした。
今思えばこの時期の私のお姫様ごっこは、洋風ドレスではなくもっぱら着物のお姫様をイメージしていました。
不思議。そんな時代でもなかったんだけどね。
そして、妄想の中で1人お姫様ごっこを堪能していました。
ある日もまたそんな遊びをしていました。
うちの押入れは、ドラえもんに出てくる押入れ横に2つ分くらいの、大きな押入れで、引き戸ではなく、折りたたみ式の白い洋風の扉が、4枚ついています。
遊んでいる途中、右側の広い空間の暗闇から、
たーちゃん
と、私を呼ぶ声が。
私は、母親が読んでいるんだと思い、
なに?
と聞き返すと、今度はすぐ耳元で大きくはっきり、
たーちゃん
と聞こえました。
それまで私は不思議な体験もした事ないし、幽霊やらなにやらの存在自体知りませんでした。それが怖い事かもまだわからなかったのですが、その声がした時はものすごい恐怖におそわれ、
ぎゃーーーーーー
と悲鳴のように泣いたのを覚えています。
すると、押入れ部屋から反対側にある一番遠くのトイレに入っていた母親が驚いて来てくれました。
その時、何か見えないものに対する恐怖というものをはじめて感じたように思います。
でもその声は、女性の、親しみのあるような、優しく呼ぶ声でした。
なんだったのかな。鮮明に覚えています。
ちなみにその時家にいたのは母親と私の2人だけでした。