私もそうだった。
ママが死んだらいやだー
と、なんの脈絡もなく夜に泣いたり。
自分は何歳まで生きるの?
とか、祖母に尋ねたり。
そんなことを結構考えてた。
そんな時、不安と恐怖の私を、ゆっくり楽しく安心させてくれたのは、いつも同居する祖母だった。
あの幸せな心地良い時間は、いつまでも心の中にある。
けいとが去年の秋くらいから、似たような事を言ったり、聞いてきたり、寝る前に突然泣き出したりするようになった。
たまーに、だけど、何かの拍子で、色々考えちゃうんだと思う。
今日も、寝たと思ったらしくしく泣きながら起きてきた。
どうしたの?
おかあさんとはなれるのがいや
なんではなれるの?
お母さんがしんじゃったらはなれるからいやだ
そんな感じで泣いてた。
お母さんはね、この前教えてもらったから左後ろの人に。
92歳まで生きるんだよ、まだまだ長いんだよ、ほんと、うんざりするほどながーく生きるよお母さんは
そんな事を言っていると今度は、
おれが死んだらいつほねにされちゃうの?
とか聞いてきた。
だから、詳しく教えてあげた。
ほねになっておれがおばけになったらどこにいけばいいの?
と、不安げに泣くので、
はぁー。じゃあわかった。今約束しようか。あなたが死んだら、お母さんが迎えに行くから。誰が迎えに行くのかなーと思ってたけど、もう決めちゃおう、お母さんが迎えに来てあげるから。
そしたらうぅーーーとまた涙目に。
死んだらおれはどうなるの?
あのねぇ、死んだ後もね、やることやまほどあるんだよ。ほんと、死んですぐ修行しないといけないし、お母さんもみたことないしどうなるかわからないけど、きっと忙しいと思うよ。
そんなやりとりをした。けいとの疑問に、わかる範囲でゆっくり答えた。オレンジの明かりの部屋で。
なんかね、世間ではさ、死んだ後川を渡るみたいだよ。ボートで渡る人もいるし、泳ぐ人もいるし、豪華なフェリーで渡る人もいるみたいだね。でもね、お母さんが死んだひいじいじをお盆の日に迎えに行った場所はさ、川じゃなくて、トンネルだったんだよね。だから、もしかしたらトンネルなのかもしれないよ。
そんな話をしだした時から、けいとは泣くのをやめて、私の話を楽しそうに聞き出した。
きちんとのぼるために、この世で人を苦しませたり殺したりしちゃいけないよ。えんまさまに報告しないといけないからね。あのね、えんまさまって、絵本では怖い顔で大きな人で出てきたりするけど、お母さんえんまさまも見たかもしれないんだ。そしたらね、えんまさまって、普通のおじさんだったんだよね。部下みたいな男の人たちに囲まれて、ほんとに普通の会社の少しえらいおじさんみたいな、感じだったの。死んだ人を下と上とどっちにいくかきめるのも、
はいはい、そうですか、じゃああちらに並んでてくださいねー
って、普通の仕事してるおじさんだったわ。
けいとはそれを聞いてまた楽しそうに笑っていました。
でもね、自分で死んじゃう人もいるんだよ。だけど、それは一番いけない。命を頂いて、みんなここにいるの。それを自分で終わらせるのは、一番いけないよ。上にもいけないし、下にもいけない。死ぬ前と死んだ時の苦しみを永遠に繰り返すしかできなくなるの。それはとても苦しいよ。
おれね、絶対に自分でなんか死なないよ!
と言うので、
じゃあお母さんもそれは絶対にしないから、けいとも約束してね。
おれはぜったいしないよ!
だから君が今やることは、人に優しく、助けて、いやだ!とか、腹立つ!とか、この野郎!とかっていう感情で生きないで、ここ、心で生きていけば、大丈夫。
悪いことしたり、盗んだり殺したりする人は、ちゃんと持ってるはずの大切な心を忘れちゃった人なの。もしも悪いことしようとしても、心があるひとは、これはいけないって、心が止めてくれるの。だから、心を忘れちゃダメ。それだけ守って生きていってね。
わかった!
そして、寝ました。
他にも色々質問するので、もっとたくさん話してたなぁ。
けいとは途中話を聞きながら、
あ!わかった!けいとわかったわ!
と、目をキラキラさせた時がありました。
きっと泣いていた不安の答えが見つかったのかな?
最後はニコニコで安心してすぐにこてっと寝ました(^^)
死ぬことを理解しはじめて、そして、向き合う最初の時期って、幼稚園くらいなんじゃないかなと思いました。