アキはたくさんメールを送ってきてました。
私の異変にも気づいたのでしょう。
最後のメールはライブのお誘いでした。
アキ、何やってる人だったっけ…
ライブの誘いに乗ります。
日にちは1ヶ月後でした。
その前にまた、バーで会う約束をしてきました。
夕方、それとなく求人を眺めます。
遠くで働きたいな、なるだけなら寮とかあるといいな。
そう思い、つらつらと求人を眺めているとコレだというものを見つけます。
そしてバーが開き、アキも早々来ました。
深くは話せないものの、俯く私。
悟られてるように顔を上に向けられました。
「ほら、暗い!うららちゃんは笑ってないと。」
ほぇ?と、思いながら上を見たまま硬直。
私、笑ってなかったんだ…
自分の家にいずらい…
初めて切り出します。
何を思ったのかアキは二人分バーの精算を済ませて、手を引きます。
何事?
アキは言いました。
「とりあえずうちに居候しなさい、アナタは。」
…えぇーーー!?
荷物だってあるのに、どうしよう…
「ひとまず期間開けて帰る。そしたらまた状況変わるでしょーよ」
確かに…
トコトコと後ろをついていきます。
何駅来たかな…
気づけばアキの家へ通されました。
部屋にあるギター…
その時にギター弾きである事をちゃんと知りました。
部屋にはお酒の瓶もあります。
ギターを黙って引きだします。
アキの知らない姿を初めて見ます。
上手い……
元々ずっとギターを弾いてたと言うアキ。
黙々と弦と指が吸い付くようにしなやかに曲を奏でてます。
「上手いね」
私は言います。
「俺、天才ですし」
飄々としてます。
そんな姿に思わず笑います。
別々に眠ることにしましたが、
練習に励むアキ。
私、着の身着のままだった…
明日からどうしようかな…
携帯は電源を消して、バッグの奥底にしまい込みました。
「…よし、酒飲むか?」
寝ようとしてた私に声をかけてきます。
幸い明日は休みだから夜更かしでもいっか…と誘いにのって飲みます。
焼酎やらウイスキーやらある中でウイスキーをロックでまたチビチビ飲みます。
「前にさ、バーの生ライブあったじゃん?うまいって言ってたけど、あんなんふつーだし」
なんだか子供のように不貞腐れながらボヤいてます。
確かにアキの方が腕前は上でした。
アレンジ力、表現力、テクニック…全てにおいて素人の私でもわかるほどでした。
「…なんすか、褒めて欲しいんすか」
笑いながら言うと「テメー」と笑われてチョップを喰らいました。
互いにケラケラ笑って時を忘れて飲み続けました。