Kapakahi Jug Band (1981)
ハワイの若者たちが結成したアマチュア・ジャグ・バンド(!)が1981年に制作した、たった一枚の自主制作盤。バンドの発祥は女性二人がバンジョーを弾き唄ったグループで、そこに他メンバーが流動的ながら合流して男女混成ジャグ・バンドの体裁に至ったようだ。オリジナルはアナログ盤で、内容の良さから好事家の間でのみ密かに愛聴されていたものが、2005年に本人達から正規のライセンスを得て日本のBuffalo Recordsというアメリカン・ルーツミュージックの専門レーベルから世界初CD化されたのが2005年のこと。
 
ジャグ・バンドの「ジャグ」とは、子供がふざけてやるように、瓶の口に息を吹き込むことでベース音を出して代替楽器として演奏するものに由来する。60年代のフォーク・リヴァイバルではアメリカ本土の若者たちが戦前のこうしたジャグ・バンドのスタイルを真似た楽団を結成する流行があったそうだが、何故にまたハワイで、やれニューロマンティックだ、ニューウェーブだと世界中で騒ぎ、肩パットがタップリ入った高級ブランドに身を包んではイケイケに浮かれていた1980年代に、という所が本盤のような作品の面白いところだ。
 
このハワイのアマチュア・ジャグ・バンドであったKapakahi Jug Bandももちろんバンド名ともなっているジャグはもちろん、洗濯桶に棒を立ててウッドベースに見立てたウオッシュタブ・ベース、ノコギリ(かつて日本では漫談で正月などになるとテレビで目にしたものものと言えばお分かりになるだろうか)、洗濯板とスプーン、など身近にあるものを楽器の代わりに駆使しつつ、ウクレレはもちろんギター、フィドル、カズー、バンジョー、トロンボーンやチューバといった本物の楽器も用いてカントリー調の音楽を演奏し、メンバーが持ち回りやコーラスでボーカルを取る。
 
ジャグ・バンド自体が戦前のスタイルなので、その雰囲気を再現したサウンドでありながら、一方でウクレレがフィーチャーされている事に加えて、ウクレレ定番ソングの2.や、ウクレレ・アイクも唄っていた7.、あるいは9.など選曲の面白さで実際は戦前には恐らく存在しなかったであろうハワイ産ジャグ・バンドとしての個性を発揮しているのが面白いところ。(その2.も7.も、お手本とされるジム・クウェスキン・ジャグバンドが60年代に演っている。)
 
1. Just Because
2. Ukulele Lady
3. I Wish I Were in Peoria
4. Your Feets' Too Big
5. The Sheik of Araby
6. Dr. Jazz
7. Somebody Stole My Gal
8. Any Old Time
9. Hula Love
10. Frankie and Johnnie
11. The Blues My Naughty Sweetie Gives to Me
12. Sweet Daddy, Hurry On Home

 
Artwork – Pan Wilson
Banjo, Vocals – Pan Wilson
Fiddle – Autumn Hancock
Guitar, Lap Steel Guitar, Ukulele, Vocals – Bart Potter
Saw – Jeremy T. Stewart
Trombone, Tuba – Don Sharp
Vocals, Spoons, Kazoo – Jan Killiam, Janice Hanley
Washboard, Jug, Spoons, Vocals – Pee Wee Drake
Washtub Bass, Kazoo, Vocals – Duane Preble