2.5 (1999) / Pure Heart
1999年、Four Strings Productionsよりリリースされた大人気グループ"Pure Heart"の三作目にして最後の作品はクリスマス・アルバムだった。
Hawaii Music Awards (2000年度) Best Seasonal Album受賞。プロデュースは本作でも引き続きTracey Y.Terada。
 
アルバム・タイトルを『3』とせずに敢えて『2.5』とした意図には、この後に『3』を制作することを念頭に置いての事であったろう。しかし、ボーカル担当のジョン・ヤマサトが学業に専念するためグループを脱退し、グループの顔であるボーカルを失ったグループは人気絶頂にありながら解散してしまう。彼らが模範としたカアウ・クレーターボーイズともよく似た流れに因縁めいたものを感じてしまうが、本職でなくとも名を知られて息の長い地道な活動を続けている兼業ミュージシャンも多いせいか、意外とハワイの人はプロとしての活動にそれほど執着しない所があるのかもしれないが。残ったジェイクとロパカの二人はこの後、プロ活動の継続を決め新グループを結成する事になる。
 
1,At Christmas Time
2,Rudolph…
3,Rudolph,The Red Nosed Reindeer
4,Day After Winter
5,Christmas Lu'au
6,Let It Snow !Let It Snow ! Let It Snow!
7,My Christmas Angel
8,Grandma Got Run Over By A Reindeer!
9,Kewalo Christmas
10,An Island Christmas
11,The Twelve Days Of Christmas Hawaiian Style
12,Jingle Bells
13,Have Yourself A Merry Little Christmas
14,Seasons Greetings From Pure Heart

 
さて本作であるが、クリスマス・アルバムという事で軽視される向きもあるかもしれないが、音楽的にはグループとして充実した時期にありなかなかの傑作である。そもそもクリスマス・ソングというのは良い曲が数多く、力量のある音楽家が演奏したものは聴きごたえのある良作になるものであるが、本盤もそのひとつだろう。ジェイク・シマブクロのウクレレはますます冴えているが、クリスマスソング集のためいつも以上にスインギンでリラックスしたウクレレ演奏で、ジェイク作の9.ではパーカッションのロパカと共に素晴らしい演奏を聴かせている。ジョン・ヤマサトは前作『2』でボーカリストとして成長を遂げたが、自作の4.ではジェイクの向こうを張って、なかなか見事なスラッキーギターも聴かせている(特にセッション・ミュージシャン参加のクレジットは無いので、恐らく本人による演奏だろう)。

素晴らしい歌声を聴かせながら、ジョンの胸中には既にグループを離れる葛藤があったかもしれないと思うと、切ない面もあるが、今のリスナーは本作よりずっと後、大人になった3人が邂逅を果たし揃って笑顔でステージに立つ事を知っているのだから、これも今やハワイを代表する音楽家である3人にとっては、まだ若き日の青春の一ページといった所だったろうか。