餅つき | ウキウキ宇久じまん会のブログ

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2009年4月発足した宇久島応援団「宇久じまん会」は島の言葉で宇久島のという意味で、島を自慢し、島の活性化に寄与していきたいとの願いからできた会です。会のお知らせや宇久情報を発信します。

今日は穏やかな、いい天気。
朝からマンション自治会主催の餅つき大会でした。

子供の頃を思い出します。
親戚が集まり、大人たちが庭や台所や土間を行きかい、忙しそうに動く中を
私もあちこちと動き回って
普段と違うお祭り騒ぎを楽しみました。

かまどの前にかがみこんで、薪を入れる母の顔に炎が映る様子や、
煙が立ち上る様子、
もち米を蒸す匂いや
水蒸気が釜から噴出す様子を眺めていました。
しゃきしゃきと動き回っては、小豆の鍋の蓋をとり、あんこの出来具合を確かめている元気だった祖母の手元も思い出します。

父やおじさんたちが掛け声をかけながら石臼を土間にすえて、蒸しあがった餅米を入れ杵でこねます。
ここが出番と、祖母が水にぬらした手で、臼と餅の間に手を入れ、くるりと回し、撫でるように触って均します。
掛け声をかけながら杵を振り上げ、振り下ろし、見る見るうちにつきあがっていきます。
子供の私は、祖母の頭に杵があたらないかと
ハラハラしながら、そのリズミカルな動きを見つめていました。

板の間に戸板を敷いて、とり粉をまき、女たちが餅を丸めていきます。
最初につきあがった餅で、祖母がお正月のお鏡餅をつくっていました。
床の間の餅、仏壇のお供え、お寺に供える餅、座敷の神棚の餅、荒神様のお供え、釜場の神棚のお供え、親戚の分と指を折りながら毎年確認していました。
こんもりと丸い形に仕上げるために、良くつきあがった餅を小柄な体で覆うようにして、両腕ですばやく丸めると、親戚のおじさん達がきまって、「こりゃーりっぱじゃ」と誉め、祖母も誇らしげに笑っていました。

子供たちの役割は、セイロにつめた出来上がった餅を、表の座敷に作られた餅棚に並べる事。
竹のスノコで作られた何段にもなる棚に一つ一つ間隔を取って並べていきます。
並べ終わって空になったセイロを抱えると、競い合って戻り、
また餅を詰めて運びます。
何度も何度も繰り返して、
この年末の行事に役立ったことを子供ながらに喜びました。

何も心配事のなかった子供時代の幸せな風景が、後から後からながれてきます。

そして今日、私は杵を振り上げました。
娘と、居合わせたマンションの見知らぬ住人と、三人で
木臼を囲み
子供時代の父やおじさんと同じように
学生時代の剣道の素振りのように
腹の底から
「イチ、二、サン」と
掛け声を出してね。

伝統的な行事には、
手間や段取りの煩わしさの向こうに、
人の心の、
他に替えの利かない確かな想いや、
思い出が宿っているのでしょうね。