「うんこ」と「ちんこ」

のミュージカル衛生

 


ミュージカル衛生です。

 


普段綺麗なものに触れている方にとっては、もしかするとかなりどぎつい内容です

うんことかちんことかしっかり言います

もっと言えば「うんこ」や「ちんこ」が出てきます!

けっこうびっくりすると思う。

もちろんいろいろなお芝居に触れ、ちゃんと免疫がある人もいらっしゃるかとも思います

ただ、以前に新作歌舞伎の上演の際、途中で退席した人がいたという話を思い出すと少し心配になりましたもので、、、。

 


歌舞伎にもどぎつい内容のお芝居が数多く存在します。

そもそも歌舞伎とは、歌舞伎役者は士農工商から外れた人たちが作ったものってのはみなさんご存じですよね。

お能やお狂言が武士のものならば、歌舞伎は市井の人が市井の人のためにつくったものです。

 

 

昭和の一時期、これも歌舞伎が生き残るために、崇高な芸術として捉えられるような表現にかなり変換されてきました。

ある一定の教養を持った人こそより楽しめるような、美しい表現に特化し、秘事はみなまで言わない、上品な作り。

 


その反動とはまた別のところかもしれませんが、昭和後期から現在までそれこそ猿翁のおじさんや、勘三郎のおじさんが旗手となって、新しい、市井の人みんなが楽しめる歌舞伎が今もどんどん生まれています。

 


でも本当に、本来は、そして常に、歌舞伎は賛否両論ありつつ、貴賎なく色々な方が楽しめるエンターテイメントです。

セックスや暴力が直接的ではなく形として、きれいなものとして、そして隠された表現として古典の中に散りばめられています。

各演目色々なものを勉強すると、その都度、ここはこんなにもエロ心情だっただ、こんなにも酷い内容なんだということに改めて気付かされます。

遊郭で身持を崩す=風俗にハマって狂っちゃう!なんて歌舞伎の定番だし、横恋慕やお金、お宝のために殺人、身分(忠義)ゆえの殺人。こんな話がある意味多くの部分を占めているのかな?

殺人や嫉妬や浮気やなんだかんだで、また恨まれたり、祟られたり、因果にはめられたり、、、

もう本当暴力とセックスに溢れて

 


今回の衛生の台本を読むとそれがストレートな言葉で表現されているだけで、

つまり、実は歌舞伎でも普段からあるような内容です。

 


ただもう一点、別の角度として、

ご存知の方もいるかも知れませんが、今回は汲み取り業者の話です。

江戸時代の士農工商の身分制度から外れた歌舞伎役者が、時代のスターに上り詰めるように、

戦後間もなくの騒乱期、汲み取り業の親子がストレートに言えば職業差別マックスの中で、金持ちになっていく感じが第一幕でしょうか。

コンプレックスを持ちつつ成り上がる。

 


コンプライアンスの網目がどんどん小さくなっているこの時代エンターテインメントの中でタブーを描くには、たぐい稀なる技術とセンスを持ったじゃないと容易にすり抜けられなくなっていると思います

古田新太さんは、それを舞台という場所でとことんやりたいと仰っていました。

 


テレビではできないし、一般社会でも今はこうった話がしにくい感じになって

でも根源的にある、現代社会の人間が秘めてしまった、「汚い」とされている部分。

 


「衛生」は言うなれば、人間をストレートに書いてある内容なんです。

 


皆さんどうですか?観たくなりますか?観たくなくなりましたか?

 


今回はこの内容をさらに音楽に乗せて、ミュージカルとしてやるです!

「汚いミュージカルをやろう」

古田さんと作演出の福原さんがこの言葉を胸に企画した作品「衛生」

東宝さんのミュージカルや宝塚の流麗なミュージカルに慣れた方がびっくりしてしまうような、、、

 


ミュージカルってある意味、あからさまな非現実の不思議な空間ですよね。

「普通にしゃべっていたと思ったら、いきなり歌い出すのがおかしい」

世に結構あるミュージカル観。これを逆手に取ったかのような、

いきなり歌い出すおかしさをそのまま笑ってもらえるような感じです!

 


ストレートな汚い表現の中になぜだか迫力やカッコ良さがが見える楽曲!

 


あ〜笑っていただきたいな〜

 


もしかしたら

その空間も耐えられないような方は万が一いらっしゃるかもしれません。

でもよく観てもらうと、ああ、すごいなって。人間って、汚くて、美しいだなって、歌舞伎を見るのと似たような感想になるじゃないかなと、僕は思います

 

 

現在素晴らしい先輩達と共にお稽古に集中しています!

 


皆さんのお稽古場でのアイデアや発想が飛び交い僕は感心するばかり、

僕は器用ではないので、一歩一歩、大(まさる)というお役の芯を、この初日近くなった今も、いまだに追っています。

なんでこんな発想ができるのって、ずっと一緒にいる古田新太さんには毎日驚愕。

六角精児さんの色気、カッコ良さ、ギャップに驚愕。

咲妃さんともさかさんが汚い言葉の中で美しく、また楽しそうにキラキラとお芝居をされる姿に驚愕!

 


石田さんなんて、芸人さんなのに、、、

なんか本当に役者の自分が自信なくなりそうになるくらいお芝居も流れもしっかり作って、引っ張ってもらっちゃってます

 


出演者みんなが、本当に芸達者

菊三呂さんも歌って踊って大奮闘しています笑

 


あとスタッフさん達、音楽や演出、美術、振り付け、etc...

ああ、こうやって新しい物が生まれていくのだなと、日々興味津々。

素晴らしいクリエイターさんの中に囲まれ、いろいろ吸収したい!という思いと、なんとか自分も皆様に追いつきたいという焦りと。

 


また今回もハードルにぶつかりまくっていますが、、、。

 


殴り殴られ、踏んで蹴って、殺る、飲む、ヤル!

擦った、揉んだ、吐いて、捨てて!

一糸纏わぬあられもない姿を曝け出し!

エログロなんでもございの舞台でございます!

 


舞台だからこそできる表現、舞台だからこそ楽しめる空間!

僕自身、見たこともやったこともないことが溢れて溢れて

きっと洪水のように客席に向かいます!

 


賛否両論な反応を心から楽しみにしています!
SNSでどうぞ賛否両論繰り広げてもらえたら、、、

めちゃくちゃ嬉しいです!

 


どうか千穐楽まで無事に幕が開きますように、どうか皆様が無事に劇場に来られますように!


劇場でお会いできますことを、心より楽しみにしております!