足りないながら、足りないながら一心不乱に精進しておりました結果、更新がなかなかできずブログを万が一楽しみのしていただいている方がいましたら、大変に申し訳ございません。
 
二兎追う流
今月の京都南座の顔見世では、皆様の有難いご理解の中でガッチリやらせていただきました。
 
『末広がり』は何と歌舞伎の本興行にかかるのは安政元年の3月とつまり江戸時代以来!すごくないですか?先人達の繋いできたバトンというよりは、必然的にこれは新作に近いもので、藤間の御宗家の振付によってとても華やかに!軽妙に!楽しい舞踊劇として、作っていただき、演らせていただきました!
 
この太郎冠者を如何に軽妙に、面白くも憎めない形に、日々米吉丈演じる僕のご主人である女大名のご機嫌に触れながら、ある時は鈍感に、またある時は図々しくも、探ぐりながら、ぶつける日々でした!先人達の引き継いだものがほとんどない分、感情の表現を指先爪先に詰めることにたくさん余白がある感じで、、、た、楽しい!!
 
最初は女大名を図らずも怒らせるんです、図らずも怒らせてしまう、もしかしたら僕と修平の普段の関係と似てる!?笑
しかも酔っ払ってるなんて!なんてぴったりなんでしょう!たくさん修平には酔っ払って怒られてるな、、、あれ、もしかしたら僕らの前世のことなんじゃないの?末広がり!!
でも優しい修平はむくれながらも結局僕と踊ってくれる!のです。
なんと幸せな僕、太郎冠者!
 
この舞踊劇がこれからまた興行にかかるような演目、願わくば後世にしっかり残るよう2人で日々精進いたしました。
また絶対一緒に踊ろう!!修平!!またたくさん怒らせると思うけど絶対付き合って下さい!ってLINE送っとこう。
 
そして『吉田屋』。今回は幸四郎のお兄さんをはじめ皆様のご厚意を受け、タテ唄(メインボーカル)を演らせていただきました。
 
二刀流?片手間でやりやがって!って?
 
僕は生まれてからずーっと清元を誰よりも身近に聴いてきた自信があるし、役者さんが清元を習うように、その逆で歌舞伎役者をやることによりその台詞回しや心情の機微を捉えるといった理解は清元専任の人以上、そして受け継がれた喉と耳と、ずーっと、役者目線でも清元目線でも捉えてきた誰にもない経験と!僕の持っている武器はあまりにも多い!!
 
と言い聞かせてはみましたが、、、
やはりもういろんな意味でズタボロです。毎回そう。この前述した自信は確かにあったんです、今でもかろうじてあるといえばある。
しかし知っているということとやるということは別で。
 
例えば走るのが大好きで脚力も人並みにある。長距離走の走り方、理論、レースの駆け引きはたくさん見ているし、知っている。でも実際にマラソンや駅伝のレースを走ったことはない状態と言いましょうか。
今までは完走目標だったけど、タテ唄をやることはチームを勝利に導かなくてはいけない状態と言いましょうか。
 
う〜ん例えがうまくいかない、、、。
 
幸四郎のお兄さんと壱太郎のお兄さんと一緒に唄う、語ることははっきり言ってめちゃくちゃ楽しいのです。語っている最中はまさにランナーズハイ。情景や夕霧、伊左衛門の気持ちを語り、第三の役者として僕はそこにいます。
物質としてそこにはいないのですが、音として、空気として確実に舞台の最前線に存在する。時には伊左衛門の体に纏わり、時には夕霧の体に纏わり、そしてある時は俯瞰した状態で舞台上に僕はいます。身体から抜け出し、舞台上にもわんと、シュシュっと存在しているのです。
 
語る際に役者を見すぎてはいけない、と言います。これは唄を役者の動きに合わせてしまうからと言いますが、その点は僕は大丈夫です!ここだけは自信がある。僕は役者の目線でそこにいられるし、感じられます!不遜ではありますが、不遜だからこそ合わせるのではなく、きちんとぶつけてセッションさせていただきます!僕の伊左衛門や夕霧を、幸四郎のお兄さんや壱太郎のお兄さんにぶつけさせてもらうのです。ある意味見なくても見過ぎなほど感じられると言ってもいいかもしれません。

もちろんそこに間違いやミスはあります、そして技術や、持久力のなさからの失敗も多々あります。
 
でも舞台上で、お客様と役者さんに感じてもらう心地よさを誰よりも僕は知っている、なんて思っています。
 
知っている分、そして経験を積む分、自分の技術と持久力のなさが辛い、、、。
日々のケアの仕方一つもまったくもってやっぱり、自分の身体をいまだ捉えきれないでいます。

自分の思う目標や理想の姿は、回を重ねるごとに遠く遥か彼方に離れていくような感覚です。これが経験を積むということでしょうか。
 
途方もない道のりに暗澹としますし、逆に常にたくさんのハードルを見つけられて、幸せだとも感じます。
 
僕は歌舞伎を愛しているので、清元も役者も同じ歌舞伎なので、全く苦ではありません。歌舞伎をすることを、違う味わい方でできる幸せを享受させていただきました。
 
今回もお許しいただいた皆様に感謝しております。
 
二刀流はじゃあ許そうか、でもバラエティやミュージカル、歌の仕事と、お前は一体何をやりたいんだと思っている方もいますかね。
 
歌舞伎です、全部。たくさんの道が通じているのです!
 
他のお仕事が決して歌舞伎の練習台とかではありません。
 
その一つ一つのお仕事にはもちろん全力で挑みます。全力で楽しみます。歌舞伎だってバラエティだってなんだって、その場にいる全てのスタッフさん演者さん観客の皆さんとのセッションです。みんな真剣に、求められるものに一生懸命応えたいんです。それがたまたま全て歌舞伎につながってしまうのだから、歌舞伎の奥深さを感じます。

いつかそんな話もしたいけど、そういえばいろんな分野に離見の見を持っている方がいるんですよ、そんな人たちから、たくさん学べて、たくさん刺激されて、もちろん恥もかいて、やってます。(どんな恥ずかしい姿晒しても舞台の上でカッコよければいいと信じてます!)
 
ハードルをバタバタとなぎ倒しながら無理やり進んだ一年でした。
 
そんな経験を経て今年の集大成がいよいよ12月24、25日に『研の會』Christmas Partyとしてやってきます!
このような状況下ではありますが、このような状況下だからこそ、皆様が楽しめるような、心豊かになっていただけるような、研の會外伝に今の僕の全てをぶつけてお見せするつもりでいます!
 
尾上右近自主公演『研の會』Christmas Party
【日時】
12月24日(木)≪夜の部≫17:30開演
12月25日(金)≪昼の部≫12:00開演
      ≪夜の部≫17:00開演
【会場】
セルリアンタワー能楽堂
 【料金】9,000円(全席指定)
※最前列のお客様に関しては、お貸出しするフェイスシールドをご着用(マスク併用)頂きますので予めご了承くださいませ。 
【一般発売】
11月22日(日)10:00~
(尾上右近事務所)10:00~18:00 
TEL:080-4862-5858  FAX:050-3588-3790
(e+イープラス) 
“研の會”の公演検索結果 – イープラス (eplus.jp) 
 
そして会場に来られない or何度でもいろんな角度で研の會を楽しみたい!というお客様のために!
『研の會』Christmas Party配信のお知らせです!!
◆配信期間:2021年1月1日(金)10:00~1月14日(木)20:59
◆チケット販売:2020年12月25日(金)10:00~2021年1月14日(木)18:00
◆購入先:ストリーミングプラス http://eplus.jp/onoeukon


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◆料金:2,500円
◆配信特典:『梅の春』
 
生でも、配信でもそこにしかないたくさん趣向を凝らしていくつもりです!マニアックな趣向かも知れないけれど、なんとか皆さんを楽しませてあげたい!!
 
頑張ります!!来てね!明日のみ当日券も数枚ご用意しております!
配信も観てね!!お正月休みに観てね!清元のお正月の踊りも特典で付けてるから!!
 
よろしくお願い申し上げます!!