久方ぶりの更新になります。
皆様お変わりありませんか?
僕は今「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」という舞台のお稽古をしています。
清元の名跡を襲名したと思ったら、翻訳劇に挑戦してみたり
一体全体僕はどこに行こうとしているのかと思う方もいるかも知れません。
もしくは二足の草鞋を履くということに全く真剣に取り組んでいないと思われる方もいるのではと思っています。
初めての現代劇、翻訳劇の現場に入って感じていること。
まず、手をどこに置いたらいいか、悩んでいます。そしてどこを向いて喋ったら良いかすら分かりません。
立ち稽古が始まったばかりのときは、従姉役の南沢奈央さんの隣に並んでずっと客席に向かって話していたので、演出のG2さんに「漫才してるみたいに見える」って言われてしまいました、、、。笑
歌舞伎の中で僕は沢山守られてきました。
先日猿之助のお兄さんが僕が現代劇に初めて出るということで、対談をさせていただきました(猿之助お兄さんはブラックペアンの撮影の最中でした。お忙しいところ本当に有難かったです、、、西崎教授のインパクトファクター!インパクトすごかった!!)。
その際に「たとえば立ち位置なんかも、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら決めていく。面白いなと思うのは、最終的に決まったそれが、歌舞伎でやっている立ち位置だったりすること。歌舞伎の場合は昔から決まっていて、僕らは最初からポンとそこに立つ。でも、なぜその位置がいいのかとか、そこに決まった過程を知らない。だから、現代劇の稽古は、それを知ることができる時間でもあるんですよね。」と仰ってました。
歌舞伎は一挙手一投足、台詞の一言一句全ての細部の中に、先人の築き上げた、美しく迫力のある
人を感動させるために洗練された「表現」が詰まってます。
それを目の前で体現される先輩や、教えて下さる師がいらっしゃいます。
今回のお芝居において、僕のお役をなさったことのある先輩は日本にいません。
教えて下さる先生もいません。
もちろん沢山のスタッフさん、共演者さんに囲まれ
日々アドバイスやアイデアをいただくことは出来ますが、息づかいから手の置き方一つまでは教えていただけません。
歌舞伎の先輩や先生から何かを教わる時、なぜこの表現でなければならないのか、今まで自分なりに考えを深める作業はしていても、今回のように一から練り上げるなんてことはしたことがありませんでした。
猿之助のお兄さんとの対談で、僕は「最初にお兄さんが、いろんな経験をすることは人として豊かになるとも仰ってました。僕も今つくづくそう思っています。歌舞伎役者と清元を両立することも、清元が歌舞伎の何に役立つかわからないし、役者をすることが清元の何に役立つかまったくわからないけど、両方やることが自分の人生に広がりがあると思うからやらせてもらっています。現代劇をやることも、その意味を求められるとわからないですけど、ただただ自分の広がりがほしいという気持ちだけなんです」
と言いました。
現代劇をやることも、その意味を今考えるとすれば、、、
考えるというか改めて感じていることとしては
やはり歌舞伎の凄さ。
歌舞伎に詰まっている全てのものが色々な思いを表現することにシェイプアップされまくっているということ。
これから先、色々な演目の色々なお役をさせていただく際もその練り上げられた意味をもっと深く理解したい。そういう気持ちがどんどん湧いています。
夏には研の會を筆頭に様々な舞台に出させていただきます。
その姿勢が常に問われているかどうか、、、そんなことは関係なくとも、
今以上に突き詰めて歌舞伎に向かう、向かいたい。
もしかしたらこれが現代劇のお稽古をやって最初に気付いたことかも知れません。
なんにもせよ
この「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」のエリオットというお役は今、一から尾上右近型が作られている最中です。
エリオットは
戸惑いや迷いの中で自分なりの答えを見つけ出していく青年です。そんな彼の姿に僕自身重なる部分は沢山感じています。
もし劇場に来ていただければ、願わくば初日の方から観ていただければ、少しづつでも型がシェイプアップさせられる姿を観ていただけるかもと思ってます!
チケットは
まだまだあるそうです!
だからいっぱい観に来てください!笑
尾上右近型エリオットを完成させます!
いつか、エリオットやるなら右近型を勉強しなさいと言われるように。
そして研の會を筆頭としたこれからの僕の歌舞伎の挑戦と変化も見て欲しい!
そしてそして
今後も沢山批評してください!
良い評も悪い評も全て僕の力にさせていただきます!!!!
「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル」
~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~
作 :キアラ・アレグリア・ヒュディス
翻訳・演出 :G2
出演 :尾上右近 篠井英介 南沢奈央 葛山信吾 鈴木壮麻
村川絵梨/陰山 泰
期 間 :紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 2018年7月6日(金)~2018年7月22日(日):OSAKA◆サンケイホールブリーゼ 2018年8月4日(土) 13:00開演
第四回「研の會」
【日時】
2018年8月26日(日)夜の部のみ
2018年8月27日(月)昼の部、夜の部
【会場】
国立劇場 小劇場
どうぞ宜しくお願いします!