『ここは今から倫理です』の感想② 「最大多数の最大幸福」 | お茶の間老婆の戯言

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真央ちゃん(浅田真央)とマリちゃん(元アイドル)を自己中に見守るお茶の間族

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クラス全員のグループチャットのコミュニケーションが

クラスのチームワークを支えている3年4組。

このグループチャットを退会したことで、

いち子はクラスで孤立し、チャット内で悪口を書かれるようになった。

それでもいち子はそれほど気にしてはいない様子。

だが自分はグループチャットに戻るべきなのかどうか考えている。

同じクラスの香緒里と恭一は、いち子のそんな状態を心配して高柳に相談する。

そこで高柳はこの問題を倫理の最後の授業で話し合うことにした。

 

いち子はグループチャットに戻るべきかどうか。

 

これまで授業で習ったことを考えながらみんなで討論して欲しいと。

この授業は選択科目なので、クラスが違う11人の生徒が集まっている。

クール系女子、ジェンダーレス男子、喋らない男子、リストカット歴のある女子、など、

それぞれが思い思いに発言していく。

 

「好きにすれば良い」

「本人は特に気にしてなくて困ってはいない」

 

ここで話が終わりそうになるが、恭一が話し始めた。

クラスは自分のような陰キャ男子にも仲良くしてくれてとても良い感じだったけど、

いち子が抜けて変な感じになった。

いち子が悪いわけではないけど、クラスの皆はビックリして

仲間だと思ってたのに裏切られた気持ちになってちょっと煽っている感じだと。

いち子が、体育祭で盛り上がっている時に抜けたのはちょっと悪かったかなと思ったと言うと、

いち子が戻ってくれば全部元通りになると恭一は言った。

 

それに対して疑問をぶつける生徒。

元通りになんてなれない。

いち子がハブられている時点で、元々仲が良いクラスだったとは言えない。

グループチャットが仲良いという幻想を作っていただけだと。

すると恭一は、幻想なんかじゃない、本当にみんな良い人たちで、

自分はすごく嬉しかったと反論した。

そこでいち子は言った。

 

「グループに戻って謝って仲良くする」

 

すると喋ることをしない優等生の男子が黒板にこう書いた。

 

「最大多数の最大幸福

そのためにたった一人の犠牲は容認されるのか」

 

これは前回の授業で習ったベンサムの言葉だった。

そこからまた討論が始まる。

 

グループに戻りたくないのに戻るのは犠牲。

自分はグループ通知を切って、たまにスタンプを押すだけで乗り切っている。

そしてある生徒が恭一に問う。

いち子を虐めてた人のことを許せるのか?

いち子が戻っても、みんながいち子を虐めてたという事実はなくならない。

 

恭一は言った。

虐めじゃなくて、一部の人が過激に反応しているだけ。

その他の人たちは本当に良い人たちだけど、

今はちょっと意見を言いにくい感じになっているだけ。

 

そこでまたいろんな意見が出る。

ノーコメントはイエスと同じ。

通知切ってグループに戻るのは取り合えずの妥協策でしかなく、

回りに流されて虐めをノーカンにする。

根本的な解決にはならない。

 

あくまでもみんなは悪くないと言いたい恭一だが、

自分が虐められていたとして、それはちょっとした過激な反応だと言われたら、

自分が納得できるのかと問われ、

 

「できない・・・ 何言ってんだろう・・」

 

今まで友達もいなかった恭一が、仲間に入れてもらえてクラスで楽しめていたことで

それを守ろうとするあまり、いち子の気持ちをきちんと考えてなかったことに気付いたようだった。

 

自分は回りに流されて痛い目に合ったから、わざわざしょうもない連中の中に戻らないで

いち子はここで踏ん張れば良いと言う生徒。

しかしそれに対して、リストカット歴がある生徒がこんなことを言った。

 

「他人から見てどんな些細なことでも、

本人にとっては死ぬのに十分な理由になったりするから、

簡単に踏ん張れとは言えない」

 

「私、大丈夫だよ」と言ういち子。

 

そこからまたいろんな意見が出される。

誰が加害者で誰が被害者とか考えちゃいけないんじゃないか、

いじめっ子でも虐められることはある。

みんな違うんだから必ず誰かの敵になるでしょ。

居場所は1つではない。

流されているだけの人もいるかもしれない。

全員のことを想像して和解していくなんてキリがない。

キリがないから想像して耐えるなんて、そこまで強くなる必要はない。

そしてある生徒が言う。

 

「これって結論出るんですか?」

 

高柳が語り出す。

 

「結論、どうしましょう。

皆さんの話が素晴らしくて、何も考えてなかった。

1人1人が正直に飾らず話してくれて、それがとても心地良かった。

もっと聴きたかったけど、時間もありませんしね。

『逢沢さんはグループチャットに戻るべきか』

この問いに僕は明確な結論は出せません。

1人1人に意見があって、それ全てに一理ある。

共同体を維持するために誰かに我慢を強いて良いのか、

正しさを守るために人を傷つけて良いのか、

自分の意志は他人の意志より尊重されるべきか、

たった今、この教室に渦巻く葛藤は、世界中に渦巻いている。

この教室は狭く閉ざされた空間ですが、しっかりと世界と繋がっている。

あなたたちの思考によって」

 

ここで、パスカルの「人間は考える葦である」という言葉を引用し、

いろんな国や立場の人、過去に生きてきた人、未来に生きる人について

思考し続けて下さいと語り、最後にいち子に質問した。

 

「逢沢さん、どうしますか?みんなの意見を聞いて」

 

「どうもしない。やっぱりほっとく。

友達ならみんながいるもん」

 

授業が終わった後、恭一と香緒里はいち子に一緒にお弁当を食べようと言う。

他のクラスの生徒も、学食にいるからと声を掛ける。

 

その後も悪口を言う生徒はいたが、

目が合えば微笑みかける生徒もいて、いち子は勉強を頑張って大学に合格する。

卒業式の日に、高柳に告白するが断られる。

ここもなかなか良いシーンだったけど、恋愛にはあまり興味ないので省く(笑)

 

最後のいち子の言葉

 

「いろんな人がいる。

私にとって正しいことが、他の人には間違ったことで、

他の人が気持ち良くなるために、私は嫌な思いをしたりする。

同じ世界に生きてても、同じものが見えているとは限らなくて、

同じものを見て同じように考えていても、私たちは同じ人間じゃない。

私は私で、君は君で、その点はすれ違ったり、

近づいたりすることはあっも、1つになることはない。

空に浮かぶ星みたいに、人間って寂しいね。

生きるって、何て独りぼっちなんだろう。

だから少しでも傍にいたい。

分かり合えなくても、1つになれなくても、

体温や息使いを感じるところまで近づきたい。

独りぼっち同士、傍にいようよ」

 

 

私もいち子と同じ経験がある。

昔、ある共通項のある掲示板で知り合ったネット仲間たち。

最初は楽しい言葉のやり取りで、まるで学生時代に戻ったような気分だった。

ところが人数が増えていくことで、ちょっと苦手だなと思う人も現れ^^;

誰かのコメントに誰かが傷ついたとか、朝の挨拶やらお休みの挨拶やら、

いちいちそれに反応するのが面倒くさく感じるようになり、抜けた(笑)

でも私がいち子と違うのは、きちんと理由を言ってから抜けたのだ。

私はやっぱり個人個人で連絡し合うのが性に合っている、

こういう多人数でのネット上での会話はどうも苦手なのだと。

メンバー全員の気持ちを推し量りながらコメントするのも疲れる。

心配してメールしてくれる仲間もいたが、私の性格を知っているので、

しつこく戻れとは言われなかったし、

その中でも特に気の合う仲間とは今でも連絡したり会ったりしている。

 

私の場合は普段は生活圏が違うネット上の仲間だったので、それほど問題ではないけれど、

クラスのグループチャットというのはなかなか面倒なことだよね。

私の時代にはそんなのはなかったけど、今はきっとどこでもあるんだろうな~

いち子のように1人だけ退会するというのは勇気のいることだけど、

正直に「こういうノリについていけない」と話したら、

香緒里のように同じように感じているクラスメイトが意外に何人もいるかもしれないよね。

 

集団主義は決して悪いことではなく、むしろ必要なことだし

個人主義よりも楽しく生きやすいと思う。

ただ、「みんな揃って」という考えに固執すると、それに違和感を抱く人も出てくる。

そういう人をみんなで攻撃するのは良くない。

「みんなが一丸となって」というのと「みんな揃って」というのは違う気がする。

個人主義者も共同体の中ではできる限り協力すべきだと思う。

いち子の場合は、チャットには参加しなくても体育祭の準備を進んでやるとか、

別の形でクラスメイトと上手くやれたのではないかと思う。

それといきなりの無断退会は確かにグループの雰囲気を悪くするよね^^;

でもそこでなぜ誰一人として「何で退会したの?」と

直接本人に聞く人がいなくて、いきなり虐めに発展したんだろう。

元々いち子がクラスからちょっと浮いた存在だったから?

例えばクラスのボス的な存在の生徒が退会したら、

他の皆も一斉に退会したかもしれないね~・・・

 

あれ?どこぞのアイドルグループも、

ちょっとしたグループメール退会騒動があったような?^^;;;;;

まぁ外野がどうこう言うことではないし、仲が良ければ元に戻るし、

いろんな経験すれば良いのよ(笑)

 

最後のいち子の言葉にあるように、好みや価値観の相違、それは当たり前にある。

それを前提として、どのように他人と関わっていくのか。

いち子が「近づきたい」と思うのは、全ての人を指しているのだろうか。

そろそろ終活をしていこうと思っている私は、人間関係の断捨離もする。

もちろんこれからもいろんな出会いがあって、そこから学ぶことはたくさんあるだろう。

それを否定するということではなく、お互いに「無理して付き合う」必要がないと感じたら、さよならする。

苦手なタイプの人とも仲良くお付き合いしていくという気力はないし、

そもそも昔から私はそういう人間ではない^^;

広く浅くではなく、深い付き合いができる友人が数人いれば良い。

 

生徒が発した「みんな違うんだから必ず誰かの敵になる」という言葉が印象に残った。

それはいつも私が思っていることだからだ。

ABC-Zの塚田君が、「嫌いな人なんていないもん」と言った時に、

あ~この人ならそうだろうな、と思った。 見るからに「良い人」だもんね^^

そういう人を本当に尊敬している。

私はいつもクラスの中に1人か2人は、苦手な人、嫌いな人がいた。

逆に私のことが嫌いな人もいたはずで、結構多いかも?^^;

そういう人とは、お互いになるべく関わらないようにすることで平穏を保つのだ。

 

私だって価値観や好みが違う友達がいるし、そういう人でも好きになることはある。

マリちゃんなんて、「好み」という点ではまるで私とは正反対だと思う^^;

私が1番苦手な色はマリちゃんが大好きなピンクだし、

マリちゃんが料理に入れるニンニクなんてこの世で1番嫌いだし(笑)

だからと言って、マリちゃんのことが大好きなのは変わらないし、

マリちゃんが好きだからといって同じように好きになるということもない。

私はただ、苦手なもの、嫌いなものを、なるべく自分から遠ざけるようにしているだけ。

それを「敵」として攻撃しないようにするにはそれが1番良い手段だと思うから。

 

 

ドラマは終了したが、来週は毎回視聴者に問いかけられた言葉について、

「ぺこぱ」と共に考える企画があるらしい。

これも興味があるから予約録画しておこう。