ケンタウルスとのデートの話 | Fuck and Shit

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朝起きて、顔をあらって、ご飯を食べて、仕事して、お風呂につかって、次の日のためにベッドで眠る。

そんな日常が、うれしかったり、さみしかったり、悲しかったり、退屈だったり、愛おしかったり。

実は昨日は久しぶりにデートだったのだ。



既婚で小学生の子どもも2人いる男性と渋谷で待ち合わせて食事をしただけだから、果たしてそれがデートと言って良いものかはよく分からんが、


「デート」の定義を「男女が時間を合わせて2人で出かけること」としてるあたしとしては、それはまぁ、デートなんだと思う。


彼は高校の同級生の職場の同僚で、去年の夏にライジングフェスティバルで出会った。


「友達連れていってもいーぃ?」と彼女が、言い、「どうもー!」と元気にテントで焼きそばを焼いてくれたのが、昨日のデートの相手、31歳のKさんである。



Kさんは、31歳なのに、あたしの友人からは「おじさん」と呼ばれていて、子どもも2人いるせいか、なんとなくおじさんキャラだった。


けれど、身体もスラリと細めで、身長もそこそこ高く、顔も切れ長の二重で、「イケメン」の部類だと思う。


瞳が茶色い。


人の顔をじっとみるクセがある、あたしは、初めて明るい場所で話したときにそう思い、


「目ぇ、ちゃいろいね」と言うと、「そうなの、茶色いのよ」と言ってたので、やっぱり茶色いんだな、と思った。




その人が、1月にその友人の結婚式で会ったときに「3月東京行くから、メシでも食べよう」と誘ってもらったのだ。


「いいよー!」と明るく返答したんだけど、あたしは若干緊張していた。




なぜかと言うと、彼は、下半身のクセが、すこぶる悪かった。




友人の話では、「すっごくイイヒトなんだけど、結婚してるのに女に関しては理性が働かなくなる」らしく、うそみたいなホントの話がいくつもあって、


U子の番号きーてもいい?ってKさんに言われたんだけど…、と友人があたしに電話をよこしてきた日に、「いいよ、別に全然。」とあっさり答えると、


「あんた妊娠に注意しなよ、まじで、まじで、注意したほうがいい。」と釘を刺されたほどだ。



上半身は超イイヒトなのに、下半身は暴れ馬。


上半身と下半身が別人!!


ケンタウルスみたい!!



なんて友人とわははは、とあだ名つけたりしてたくらいの、生涯現役選手が、彼。




そんな人とふたりでデートするには、誰だって少し緊張する。


慢性物理的欲求不満に陥ってるあたしだって、そういうのは求めてないのだ。




そんなわけで、昨日、あたしたちは渋谷で待ち合わせ、あたしはまたしても少し時間に遅れ、


行きの東急東横線の中で「なんか今日はもんじゃがお好み焼きが食べたい」とぼんやり思い、ツイッターでつぶやいたりしていた。


彼は前に見たカジュアルな服装とは少し違って、スーツを来て、革靴を履いて、コートを着ていた。


あたしに北海道名産オニオンスープのおみやげをくれた。


ありがとう、遅れてごめん、なんて言いながら、相変わらず目が茶色くて、じっと見てしまった。



東京さみーな!


さみーでしょ!やんなっちゃうよねぇ


なんて渋谷の交差点に並びながら、


なにたべたい?なんでもいーよ、あたし渋谷とかお店あんまり知らないよ、まー適当に居酒屋入る?うん、お好み焼きとかもんじゃが食べたい、みたいな会話をしていると、


交差点目の前スターバックス横には、でかでかと「もんじゃ」と書かれた看板が掲げられており、


彼はその看板を人差し指を出して、低いところで指しながら、「お。俺もそう思ってた。あれ、見て、粉もんくいてーなって思った」とぼそっと言った。



おー、奇遇だねぇ、そしたらお好み焼きかもんじゃ食べよう、けどあんな目の前にあるところにすぐ入るの、なんか癪じゃない?なんて言いながら、


大学時代に「渋谷が庭」と堂々と公言し、最近は渋谷のど真ん中にマンションを借りた友人に電話をして店の情報を得ようとすると「渋谷にうまいもんじゃは無い。」と言う。


「じゃ、月島までタクシーで行ったらどんくらいかかる?」とたずねると「分からんけど、5000円くらいじゃん?遠いから電車でいきなよ、おとなしく」とアドバイスをもらった。


携帯で月島までの電車を調べると、永田町乗換えでだいたい20分。


うっ!いけるじゃん!乗り換えひとつならあたしでも迷わずいける!!



「どーする?月島いっちゃう?」


「いいね!俺、月島行ってみたかったのよ」


「いこっか!月島!おいしいもんじゃ食べよう!せっかくだから!」



あたしたちは思わぬ状況にテンションが上がりながら、メトロを乗り継ぎ、月島に行った。もんじゃを食べに。


月島はね~、なんかすんごい網走の町並みに似てるよ


えー?まじ?


まじまじ。おにーちゃんが来たときにもそうやって言ってたもん


へぇー



なんていいながら月島に無事到着し、左右もんじゃ店だらけの通りをてくてく歩きながら、はしゃいで入る店を探した。


ほんともんじゃばっかりだな!どこが美味いんだ?


もん吉ってところは、ブラピも来た名店らしくて、有名みたいよ、芸能人のサインいーっぱい張ってあるんの


へぇ~、じゃ、そこにすっか?


うーん、けど他もたくさんお客さん入ってるところあるねぇ


ハシゴする?


イイネ!ハシゴしよ!もんじゃハシゴしよう!3軒くらい行こう!




もんじゃを食べ、お好み焼きを食べ、ビールを飲み、くだらない話をして、ゲラゲラと笑い、油くせー!なんて言いながら別の店に入り、またもんじゃを注文し、ビールを飲み、


これが子持ちのケンタウルスとのデートじゃなくて、ふつーの人だったら、全然超たのしいデートなのに…、とあたしは思った。



そうして口ほどにもなく、もんじゃ2人前とお好み焼き1人前と、きのこのバター焼き1人前であたしたちは腹がきつくなり、


そうしてるうちに店じまいのところが増えてきたので、あぶらくさい服で、渋谷方面の地下鉄に乗った。


「せっかくだから」と表参道で地下鉄を歩いて、青山通りをコーヒー片手にプラプラと歩いて、またくだらない話をして、渋谷へ向かう道で、


どうしよう、時間が実に中途半端(11時)だけど、飲み足りない感じがするけども、もしもう一軒行ったら終電のがしてお泊りコース?それ、ちょっと、どうなの、それって、


などと別に口説かれてもいないのに、なんだかそれを前提に考えてる自分を少し恥ずかしく思ったけれども、


なんせ相手はケンタウルス。あたしの排卵日は過ぎ去ったけど、とにかくそういう問題じゃない。




渋谷駅近くになり、「あたし、もうすぐ終電あるから、かえるね!」と言うと、彼は「おぅ。そっか。」とだけ言って、駅まで送ってくれた。


別れるとき「また、ごはん行こうね!今日遅れてごめんね」と言うと、「おぅ!今日はありがとね」と彼はにこっと笑い、振り返って手を振ってくれた。



電車の中で、あー、何にもなかったのに、なんとなく警戒して悪かったなー、そうだよね、そんなんじゃないよね、などと安堵し、


だがしかしどことなく残念で、


帰宅してから、まだ飲み足りなかったことと、超楽しかったよ!なんて内容のお礼のメールをしても、彼からの返信はなかった。



ま、まさか出張に来て、ホテルに出張サービスでも呼んでるんじゃ…などと思っていた、2時過ぎ。


「飲み足りなかったでしょ?今度はホテルに誘っちゃうかもよ。」と最後のメールで、口説かれた。


ほ、ホテル!


ホテルに誘っちゃうって、なんかエッチ!!なんかエッチに誘われた!とにやついてると、下のほうに、



ケルベロスだし



と馬の絵文字つきで、かかれてた。


け、ケルベロス??


ケルベロスって…


なんだっけ、


あ、あの3匹の犬の顔ついてるやつだ!!ハリーポッターにも出てたやつ!!


ケルベロスじゃねぇ!

ケンタウルスだ!!




とあたしは声に出してつっこみ、ケルベロスとケンタウルスを間違ってる彼のことを、ちょっとかわいいと思って笑ってしまった。




メールの文面を見て、きっと誰にでもこーゆーこと言ってるから、あたしの友人に下半身あばれ馬とか形容されてるんだろうけど、


けどやっぱり、かわいーよなぁ。



最近男性と2人でごはんなんて、ほんとにほんとに行ってなかったから、久しぶりに楽しかった。


そういう雰囲気にならなくても、というか、じゃなくても、やっぱりそういうの、大事だよな、と実感したりして。




あー最近キスしてないなー



どんな感じだったっけなぁーなんて、1人感触を思い出して、なんとなく照れたりする夜。



さて、おやすみなさい。