働かざるもの抱くべからず(編集バージョン) | Fuck and Shit

Fuck and Shit

朝起きて、顔をあらって、ご飯を食べて、仕事して、お風呂につかって、次の日のためにベッドで眠る。

そんな日常が、うれしかったり、さみしかったり、悲しかったり、退屈だったり、愛おしかったり。

先日友達の彼氏の車で、茅ヶ崎のビーチまでドライブをしに行った私。


車に乗せていただいて、こんなことを自分のブログに載せるのは、いかがなものかと自分でも思うけれど、あの車内で、あたしと彼女の無言の頷きと、無言を通じての共通理解は、だまっていられないところがあった。



彼の月給が低いことが悩みのタネの彼女。


低いっていってもはんぱじゃない。


えっと… それ、どーやって生活してんの?と真剣につっこみを入れたくなるくらい、低いのだ。


けれどこの100年に一度と言われる不況の中、ananの『彼女に触れられたくないことナンバー1』に輝くのは収入についてらしく、以下は男たちが述べる理由と言う名の、いいわけである。


「自分の存在を否定されている気がする」「そんなことまで口だされたくない」「がんばっているのに」エトセトラてんてんてん。


そりゃそうだ、と神妙に頷きたくなる。


あたしだってがんばって働いているのに、男から「お前、収入低いからちょっとねぇ」なんて言われたら、びっくりするに決まってる。


けれど、なのである。


だがしかし、なのである。



ドライブに行ったその日、あたしは彼とちゃんと話すのが初めてに近い状況だったため、彼の趣味、好きなこと、性格などを知るために、さまざまなことを聞いた。


『音楽と車が趣味』と言い切る彼の車内には、今年の夏、あたしたちの中で大フィーバーしたBoyz ⅡMen が流れていて、彼が好きなクラブの話になった。


「クラブが好きだって言ってたもんね。どこに行くの?やっぱり東京まで出るの?」


「そうだね。西麻布とか、渋谷とか、けっこう色々行くよ。」


「そうなんだ。あたしたちも、たまーに遊びに行こうかなって思うんだけど、始電で帰るのがしんどくて、行けないよね。へとへとになっちゃって、朝帰りすると、お昼すぎまで寝て、その日一日が終わっちゃうし。」


歳かなー、歳だよーなんてキャハハと笑っているあたしたちに彼は言った。


「俺なんて、朝帰りして、シャワー浴びて、もったいねーからそのまま遊びに行ったりするよ。だって一日もったいないじゃん。」


「へぇ~ すごいね!そんなこと体力なくて出来ないもんねぇ。」


「だってさ~ 遊ばなくちゃもったいないじゃん!俺はね、仕事は半分だけど、遊びは精一杯やるの!


彼女とあたしは、「………」となった。


そのことについて何も言わない彼女をチラリと見ると、窓の外の景色を目で追っている。


あたしはしかたないので「すごーい…」と言った。




ガソリンスタンドでガソリンを入れる彼の姿を心配そうに見つめて「ガソリン代あるのかな…」と心配する彼女。


ご飯代は「いつも連れて行ってもらってるからあたしが出す」と言う彼女。


「彼のことは好きだけど経済面が心配すぎて将来のことは考えられない」と言う彼女。


そういうことを思い出して、あたしは切ない気持ちになった。






精一杯遊ぶ暇あったら、がんばって働いてデート代くらい稼げ!


そう言いたかったけど、やめた。あたりまえだ。あたしにそんなこと言う資格、どこにもない。




そんな思いを抱えて実家に帰省したあたし。


友人が経営している焼肉屋に、ご飯を食べに行った。


彼と知り合ったは、あたしが19歳のときの夏で、当時あたしがバイトしていたメキシカン料理を出すカフェみたいなところのお客さんだった。


彼はそのとき23歳で、実際にはもっとずっと老けて大人に見えたけど、とにかく最近、大き目の通りに焼肉屋をオープンさせたことを知った。みんなからまーちゃんと呼ばれていた。


まーちゃんは、もじゃもじゃの髭に、いつもストローハットをかぶっていて、左耳にピアスをしてた。シャープな感じのメガネをしていて、Tシャツが昔からよく似合っていた。志村けんに似ていて、ヒマそうだった。


それが2002年で、それから7年。


あたしはもう大学を卒業して、あのバイトしていたお店もつぶれてしまったけれど、横浜に出て来てからも、帰省したらちょくちょく帰って、彼のお店にご飯を食べに行く、という構図が定着しつつある。



お店の戸をくぐると、あたしのことを知っている昔からの社員の人が、「オーナー!」とまーちゃんを呼んでくれ、まーちゃんはニコニコしながら「おっ!U子でしょ!帰ってきたの?お帰り~!」なんて言いながら歓迎してくれた。



あれから7年たった今、まーちゃんは23歳で立ち上げた焼肉屋のほかに、男らしい名前の居酒屋と、笑っちゃうくらいかわいい名前の飲み屋さんの経営もしている。


焼肉を友人ともぐもぐ食べていると、まーちゃんはあたしたちの座敷にひょいとやってきて、つくねをサービスしてくれた。


「忙しいの?」とそのつくねをもぐもぐ食べながら聞くと、「おかげさまで。俺ね、もうちょっとで、もう一軒肉屋出す予定なのさ。その準備で、ちょっとバタバタしててね。」と相変わらずにこにこしながら言う。


「へぇ!すごいねぇ。あのとき23歳か!今年30?いい男になっちゃって!!」とからかうと、「まだまだですよ。働くなら、今しかないでしょ。オヤジに楽させたいから。世話になったしね。」となんでもないことのように言うので、胸がキュンとした。



まーちゃん、お休みあるの?と聞いてみた。


「ないよ。」と普通に言う。


365日働いてるの!?と驚いて聞いてみた。


「去年は363日かな。2日休みもらった。」と普通に言う。


まーちゃん、いつ寝て、いつ起きるの?と心配で聞いてみた。


「えーと 店全部しまるのが3時で、俺締めるのに1時間半かかるから、だいたい5時かな。それで、9時に起きて、10時に仕事行く感じかね。」と普通に言う。


エッチなことはしてるの?と恐る恐る聞いてみた。


「それは割としてるよ。5時くらいから。」と普通に言う。


まじぃ?死んじゃうよー!大丈夫なの?と言うあたしに、


「そんなたいしたことじゃないよ。ま、女には普通がいい、とか言われて別れちゃったけど。」と笑っていた。



そうしてまーちゃんは、仕事に戻り、レジでお金を払うときに、「さて、U子、次はいつチョメチョメしちゃう?」なんてエロい顔丸出しで言って、笑わせてくれた。




何も大金持ちになれなんていわない。


大金持ってる人がすばらしいとも、全然まったく思わない。


仕事だけを人生だと思って、ガツガツ働いてる人だけが素晴らしいとも思わない。


趣味を持っているひとを素晴らしいと思う。


仕事ばかりの人生なんて、と当たり前に思う。


遊びも、仕事も、女も、なんて、体と命がいくつあっても足りねーぞ、と普通に思う。



けれど、一生懸命働いている人のことを、心底ステキだと思う。


働くことは生きていくことだし、生きていくことは、楽しいから。


目の前にあるものを一生懸命やることの大切さを、知っている人は、やっぱりステキだと思う。



太宰治も、色んなことにあんなにヘロヘロになったけど、すばらしい小説を、何作も、ばんがって書いた。



いしょうけんめい働かざるもの、抱くべからず。



遊びは半分くらいにして、超がんばって、働け!仕事を超がんばってから、遊べ!





ってことであたしの夏休みは今日で終わり。明日からまた、がんばって働こう。



あぁ その前に、今日はこれから表参道でデートですのよ。オホホホ 



荷物ほどかないといけないのに、めんどくさ…。



目の前にやるべきことを一生懸命やる… 難しいよな。いや、ほんとに。




って何がいけなかったの?この記事… 


またフィルターかかってしまって、不満。マジで。