昨日、おととしの秋に子どもができて、結婚をした大学時代の友達と、長久しぶりの長電話をした。
まぎれもない、正真正銘の『デキ婚』だった。
彼女と大学を卒業して会ったのは、おととしの9月にあった彼女の結婚式で、それ以来、電話もしてなかった。
コンタクトはたまのメールと、mixiの日記へのコメントくらい。
何の前触れもなく、彼女は突然電話をしてきて、「元気~?ひさしぶりぃ」とイッた。まちがった言った。だって変換したらそれが最初に出ちゃったの。でへへ
以下は、切ないような、もどかしいような、幻滅させられるような、そんな会話の内容です。心して読め!今回も長いんだ!
「U子はさ、なんか都会の女って感じになったよねー。」
「何が?都会の女ってなによ、それ。田舎生まれの田舎出身で、田舎ものだよ。札幌人のくせに。」
「えーなんかさ、楽しそうじゃん。好きなもの買って、エステとか行って、東京はさ、なんでもあるし。」
「まぁ好きなもの買ってエステとか行ってるし、東京は何でもあるけどね。けどそんなの札幌にだって、仙台にだってあるじゃん。変わんないよ。」
「まぁそうだけど。」
「どーよ?結婚生活と子育ては。」
「楽しいよ。子育て。ほんとに、子どもかわいい。」
「だろうね。かわいいだろうよ。」
「ホントに自分の子どもってかわいいんだって!なんでもしてあげたくなっちゃう。」
「そうだろうね。かわいいと思うと思うもん。結婚生活はどうなのよ。」
「んー ダンナがむかつくって感じかな。」と彼女は笑う。
「むかつくって何が」とあたしは笑う。
「だってさー 何もしてくんないんだよ。そりゃあたしは専業主婦だからさ、掃除して、ごはんつくって、子ども見てるのが役割なんだけど、何もしてくんない。」
「そうか。なんかそれ、よくテレビで聞くような悩みだな…。リアルだわ、あんたの口から聞くと。会話はあるの?」
「あんまりないかな。」
「ないの!?」
「やー、だってさー。仕事で疲れてるからて、あたしの話もあんまり聞きたがらないし、話すのは仕事のグチで、あたしがそれに意見したら、なんかやっぱりムカつくみたいで、無言になるし、お互い疲れてて、けど喧嘩になるのも嫌だから、何も言わないって感じ。」
「それって…」
「むかつくでしょう?」
「なんとも言えんわ、あたしの口からは。」
「自由に使えるお金だってないし、ってゆーかお金ないから、服だって、いつのを着てるの?って感じだよ。化粧品だって、安いやつ、使ってる。けどだんなは職場の飲み会とかあるし、それに毎回同じ服とか変な服とか着ていきたくないってゴネるから、旦那の服は買ってる。うちにどこにそんなお金があるのかって言いたいよ。子どもの保険とか、ローンとか、家賃とか、生活費とか、きっつきつ。マジで。」
「あんたが自由に使えるお金あるの?」
「まぁ… あるよ。けど、ママ友のお家に遊びに行くときにジュースとかお菓子とか買ったりするくらい。あとタバコか。」
「そうか。けど、嫌なことばっかりじゃ、ないでしょ?幸せ~とかさ。」
「まぁあるけど。子どもはかわいいってことくらいかな、救いは。」
「いいじゃん。」
「そうかー?うーん いいのかな。」
「ねぇ 不倫とか、そんな話になんないの?ママ友は。」
「あるよ。旦那がうわきしてるっぽい、ラブホのライター出てきた、とか。」
「いや、それは旦那の話でしょ?あんたよ、あんた。恋って、もうしないの?どうなの?実際、結婚すると、その辺の情事は。あなたには過去の栄光があるでしょうよ。」
「うーん また恋したいなぁって思うよ。いつか。けど、実際お酒のみに行くって言ったって子どもおいて行けないし、旦那は息抜きに言っておいでよって言ってくれるけど、いざホントに行って、12時くらいにイライラした様子でまだ帰ってこないの?って電話きて、うしろで子どもが泣いてたら、もう帰るしかないじゃん。だから、男の人と深く話す機会もないし、知り合う男ってママ友の旦那だし、ダメじゃん。」
「まぁ そうね。一生、恋はもうしないの?」
「てゆーか、そんな風に考えたことなかった。だって、たとえば、今デートに誘われたとして、あたしもその人のこと良いって思ったって、子どもいるから、どうしようもないじゃん。まさかデートに連れて行っていい?なんて聞けないし、他の男とデートだからって旦那にも、親にも預けることなんてできないし。不可能なわけ、現状として。」
「なるほど。」
「U子はさ、前言ってた人と、どうなの?今どうなのよ。」
「どうもこうも、何の進歩もなく、そして今も好きだわ。」
「そっか。けど、そんな風に、好きで好きで好きでどうしようもない人と結婚したなら、許せるところが多いのかもね。もしかしたら。頑張れるのかも、しんない。」
「そんなもん?けど、旦那のこと好きなんでしょ?」
「まぁね。一応ね。」
「好きだから結婚したんじゃないの?」
「嫌いじゃなかったよ。けど、子どもできたからねぇ。」
「そりゃそうだけど。」
「U子は楽しいこといっぱいして、そんでちゃんと相手を選んで、ゆっくり結婚したほうがいいよ。そのほうが、絶対幸せになれる。間違いなく。」
「そっかな。あたし今、すげー結婚したいけどね。」
「やめな」
「なんで!だっていいじゃん。結婚。家族になりたい。誰かと。」
「あせるもんじゃないよ。」
「あんたはそういうけどさ、羨ましいなって思うよ。誰かのために掃除をして、洗濯をして、ご飯をつくって、そんな生活。ひとりじゃなくて、今は絶対的にあんたを必要としてる人っていうのがいるし、守ってくれるひとだっているし。幸せだよ。」
「そう?」
「そうだよ。たとえば今大地震が来て、命にはいたらず、けど怖かった~って深夜に、この横浜で、こわいっ!って夜中に電話できるような相手って、あたしにはいないのわけよ。それが、どんなに寂しいことで、心細いかって、ほんとに思うよ。誰かに愛されてないってことって、けっこう、ずっとだと、堪えるもんだよ。だから、旦那さんがいて、子どもがいて、自分の言動で、真剣に喜んでくれたり、怒ってくれたりする人がいるって、幸せだと思うよ。あたし、いまそんな人、ママしかいないもん。」
「そう言ってもらえると、ちょっとそうかなって思う。明日は少し旦那に優しくなれそうだわ。」
「虹の中にいるときは、その虹の美しさには気づかない…みたいなね」
「あんた相変わらずキモイね。」
「でしょう。」
なんて笑いながら電話を切った。
大学時代、あたしたちは同じグループで、色んなとこに遊びに行って、たくさんお酒飲んだり、踊ったり、笑ったり、怒ったり、セックスの話で盛り上がったり、一日中そんな感じで、何をそんなに楽しかったのかよく思い出せない。
彼女はお嬢さんで、イタリアやアメリカで買ったルイなんちゃらやGの頭文字の模様の大きなバッグや、高い化粧品や、高い洋服をたくさん持っていて、タバコ片手に酔っ払ってクラブでキスしてしまったり、階段で吐いたり、ダンスが上手で、歌がうまかった。
ポキンと折れそうな細い腰と、黒いロングヘアが、とてもとても魅力的だった。
同じような会話をして、同じように大人になって、同じような生活を送って、そうして結婚していくものだって、あの時は思っていたけど、そうではなかった。
同年代で、服が欲しくない女なんているわけがないし、かわいい靴を履きたくない女なんているわけがないし、女だらけで温泉に行きたくない女なんているわけがないし、ご飯をご馳走になりたくない女なんているわけがないし、安い化粧品を進んで使いたい女だって、いるわけがない。
同じ大学を卒業して、同じように笑って、そして今でも根本的には何一つ変わっていないのに、それでも彼女との距離は、こんなにも遠い。
それがお互いに伝わる電話で、あたしはなんだか少し悲しかった。
もちろん、このバカ上司!なんてツバを吐きかけてやりたくなるくらい、ひどい仕事もあるし、それなりのストレスもあるんだけど、あたしが今なんとかこの場で立っていられるのは、自分のために、自分の責任で、自分の欲しいものを手に入れてるからだ。ほんとに、自分だけのために。
ないものねだりはお互い様。
全然休むことも、眠ることもできなくて、ちぎれるように働いて、ついでに取り返しのつかない大きなミスをやらかしたどうしようもない日の朝10時頃に、子どもをつれた若いお母さんのことを見たときなんかに、うらやましいな、専業主婦って…ボロボロな姿で思う日もあるんだけど、人はみんな、同じくらいの大きなストレスを抱えて生きてるんだ。
そんなストレスを解ってくれるような人と結婚したいと思うけど、そんな男捜してるうちに一生が終わってしまいそう。
そして男たちは、俺たちのストレスをわかってほしいと思いながら、女のことを見てるんだろう。
それはそれで、お互い様で、おまけにないものねだり。
まぁ そんなもんか 人なんて。