「U子に紹介したい人がいるんだけど、どぉ?彼氏の友達なんだけど、アドレス教えてもいい!?」と女友達からのメール。夜2時。
その女友達の彼氏は、私大出身のお医者さんで、その友達ということは… と嫌らしい考えをめぐらせて「いいよ。よろしくお願いします。」と返信をした。
彼は某有名私立大学在学中(7年生)の26歳。ひとつ年上らしい。
だのに、まだ学生。
別に大学院に行ってるわけじゃないのに。この時点で、ある程度ろくでもないことが分かる。
近頃30歳以下の男性とはデートしたことないあたしなので、いきなり電話がきて、その後の「あさって、暇ある?さっそく会わない?」と突然のデートの誘い。
その年齢と若々しい話し方にいささか緊張するが、持ち前のドM気質と気立てのよさで、「うんうん 超おもしろ~い。いいよ~」なんて大きなウソで電話対応をする夜3時。
で、会う前から、ろくでもない感じが漂っていたけど、今日は初デート。案の定ろくでもなかった。
待ち合わせは4時。
待ち合わせが超苦手なあたしは、今回もやはり30分おくれて渋谷駅につく。
ってゆーか渋谷、すごい人!もう渋谷がかもしだす雰囲気に圧倒されて、すぐに帰りたくなるあたし。
うぇ~ん しぶや若い!怖い!
TUTAYAの前で!とメールが来て、ある程度どきどきしながら待っていると、はじめまして~と声をかけてくる一人の男。
不細工である。
いや、素材自体が不細工なのはいい。まったく問題ではない。むしろあたしの好みだ。
けど、味付けが悪い。
眉毛が細い。髪は黒髪だけど、明らかにオシャレなもてる男を意識している。
靴も革靴で、えりもとにファーがついているジャケットを着ている。
げーん やっぱりろくでもない感じ…。
はぁ とため息を飲み込んで、「遅れてごめんなさい。」とあやまるあたし。
人を判断するのは9割がた見た目だけど、あたしは今まで、こんな風貌な男とデートしたことがない。
話が合わないからだ。こういう風貌な男は、女子を意識してるし、ある程度自分がもてることを知っているから、デートにこういう服のチョイスなのだ。
ブルガリのリングを眺めるような安易な男。それが正直な第一印象。
「どこ行く?」なんて会話をしながら、渋谷をぷらつき「おなかすいた~」と言うあたしに、「俺、一応お店予約してるんだけど、早めてもらうように電話しよっか?」ふむ、なかなかの紳士である。
電話の対応も実に早く「予約した○○ですけど、お時間はやめてもらえます?」などときびきび電話している。
若い男の子とデートするのは初めてなので、なかなかデートなれしてる… と関心してしまう。
デートの約束をして、お店をしっかりと予約してくれる男性は、けっこう少ない。
彼がチョイスしたのは、個室の和食ダイニングレストランで、値段も手ごろ。雰囲気もまずまず。
クロークにコートをあずけてくれるし、お部屋はもちろんあたしを先に。
へ~ ちゃんとレディーファーストできるんだ。けっこうすげーな。
なんて感じでデート中盤は始まったんだけど、
会話がひどい。ひどすぎる。
ちゃんと会話できる人は、天然記念物くらいに思って大事に扱ってください、と(しつこいようだが)男は3語であやつれる に書いてあった。
エスコートできることを、ちゃんとほめてあげる優しいあたし。
それが悪かった。それが悪かったのだ。
「俺、途中から数えるのやめたけど、50人か60人くらいは女の子と遊んできたわけ。だから、あたりまえ!U子ちゃんの周りにいる、学歴だけのくだらない男とは、ここ(腕をさしながら)が違うわけ!」
「俺さ、今までほんと遊んできたの。モデルも~ 超かわいいこも~。だからもう顔とか関係ない!中身だよね!」
「てゆーかさ、ホント最近の男は、エスコートしてくれる男が少ないよね!悲しいことだと思わない?」
「俺、友達ってゆうのはさ…。リスクを犯してでも、言ってあげなきゃいけないことが、あると思うんだよね。それを犯してでも、つきあっていけるってのが、友達でしょ?…あ、俺、いまいいこと言った!?ってそう思うでしょ!?さすが~ 俺!」
「女の子は、ちゃんと話聞いてくれる人が好きだよねー。だからかな~。俺、もてるの。しかもギャップに弱いよね。俺はこんな風貌で、頭いいから、そのギャップで、どうしてももてちゃうんだよね~」
へ~ ふ~ん は~ん の3語を操って、別のことを考えるあたし。
ってゆーか、これかなりハイレベルなボケだったらどうしよう!彼の渾身のボケをつぶしてしまっている…・。
なんて思ってる矢先、
「U子ちゃんは、どのくらいの男の子と遊んできたの?」なんと不躾!
「え…。そんな質問には答えたくありません。ってゆーか失礼だよ!」と優しく諭すあたし。
「いいじゃん。5・6人くらいでしょ?そのくらい?」
…ってあたし、そんなウブに見られてるの?やったー!初めての経験!えへへ!なんてことは言わず、
「知らない。ノーコメント。」と答える。
「あ。やっぱりそうかぁ~」となぜか嬉しそう。
26歳でも46歳でも、男の聞きたいことは同じなのである。
「俺はさ~ いっぱいの女の子としてきたから、それくらいの経験人数あてるのなんて、簡単なわけ。」
くだらない。お前の武勇伝は、実にくだらない。
ってゆーか全然あたってねーし!ばかやろう!見くびるな!あたしを!
心底そう思ってるのに、どうしてもそれが態度に出せない気弱なあたし。
へ~ ふ~ん は~んを笑顔で返す。ほほの筋肉がつりそう。
やっとこさ店員さんに促されて店を出たのが9時。あたし3時間も耐えたんだ!あっぱれ!
お会計はいつのまにか終了している。
デートマニュアルだけは、完璧である。
「いいの?ほんとに?悪くない?あたしも払うよ?」と心ににもないことを言って、きちんとおごってもらいました。
だって3時間もくだらない俺俺話を聞いたんだから、それくらい、いいでしょう?神様。
帰りにクリスピー・クリーム・ドーナツに並んだんだけど、後ろから抱きしめてくるゲス男。
しまった!たて並びはこういう危険性があるんだった!ガードできねー!
しかたなしに、肩に精一杯力を入れて身を縮めるあたし。
ここでノーガード戦法に出たら、完全に乳もまれる!このドーナツ屋で!
それは寒い!この冬の寒さよりも、ずっとずっと寒い!
「よしよし、お前、かわいいね。このあと、帰したくないなぁ。」と頭を撫でながら、耳元に口を近づけて言うゲス男。
お前、ほんとに、そう思って言ってるの?おいおいおい、ふざけるんじゃねー!
そんな寒い言葉は、夏にしてくれ!マジで!
「やだ、やめて。」
そんな状況がたまらなくおもしろくなり、あたしはつい、にやついてしまう。
「え~?俺は紳士だから、やめてって言われたらやめるよ。」なぜか嬉しそうに答えるゲス男。
しまった、不本意に喜ばせてしまっている。
そんな感じで、抱かる→「やだ」→離れる→抱かれる→「やだ」を繰り返しながら、渋谷駅へたどりつく。
そしてそして、毎回運命の改札口。
「じゃ、また。」
「またがあるかどうかは、わかんねーなぁ」と上から目線のゲス男。
「そうね。今日はありがとう。」と一応笑顔で言うあたし。だってレディーですもの。
そして…。ついに来た!人が意を決する瞬間!
抱きしめられて…
耳元へのかる~~~~いキス!
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
これ、例のアメリカ人にもされた!
(http://ameblo.jp/uko-2k/entry-10179999338.html ←参照)けどけどけど!
全然ちが~~~~~~~う!!!!!!!!
「やっ やだっ ちょっ ねぇ!」と言うあたしの声が、なぜかエロく響いてしまう。天性なのだ。
「お前、俺が次あるって言ったら、あるんだからな。」と低い声で言うゲス男。
そしてこともあろうに、力ずくであたしの唇にキスを!!
ひ~ん うえ~ん や~ん
泣きそう。
必死に振り切って「あのね、JOJO、読んだこと、ある?」と涙目で聞くあたし。
「え。あるけど…。なんで?」と聞くゲス男。
「ジョジョ1章でね、ディオがエリナにキスするんだけど、それで嫌すぎて、近くにあった泥水でくちびるを洗うの。」
「うん…。」
「あたし、あの心境。」
「へぇ。」
しまった。
ジョジョちゃんと見てない人には、これがどれほどのものか、ということが理解されなかった…。
つーことで、電車の中できたゲス男からのメールは無視!
あ~ つかれた。
ってゆーか、あいつの香水があたしのコートについていて、甘いいやらしい匂いがする。
不快である。