カラオケ大好き!
スポット参加大歓迎!このブログのオフィシャル・ボイトレ

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Q&A 歌に関する質問をチャットGPTにしてみた168( 低いミックスボイス )

チャットGPTに、以下の質問Q.に対する模範解答と私の回答A.について、評価をもらいました。


Q.ミックスボイスは裏声の一種と聞いたのですが、低い声を出すことは可能ですか?


A.ミックスボイスは地声と裏声を混ぜた声のことです。

 一般に低い声ほど地声成分が多く、高い声ほど裏声成分が多くなります。

 人によって声帯の大きさや形状に個人差がありますから、低めの声でどれだけ裏声成分を多く混ぜられるか?高めの声にどれだけ地声成分を多く混ぜられるか?も違ってきます。

 要するに低いミックスボイスを出せるかどうかも、先天的な個人差があるということです。

 また達人なら、ミックスの割合をコントロールできるでしょう。


 蛇足ではありますが、歌というのは、そのようにテクニックを駆使できることに価値があるのではありません。

 テクニックというのは、水彩画で言えば絵具の色の種類のようなものです。

 水墨画に負けてしまう極彩色の絵だってあります。

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見学はいつでも歓迎していますが、やはり実際にレッスンを受けてみるというのが一番ではないでしょうか?

そもそも、合う合わないということはよくあることです。

あのイチローですら、入団当時の球団の指導は合わなかったらしいです。

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挿入曲入り連載小説 『自分探しの心の旅』( 第18話 天才講師と僕 その二 )


主な登場人物

僕:二十代後半の研修会社の営業マン。
早川:僕と同い年で半年先輩の講師。
佐山:早川をライバル視している講師候補。
浅井徳子:トップセールス。(プロローグ〜第2話参照)
遠山:「宴会部長」の異名を持つイベント好きの中堅社員。


東京第一営業部に、久しぶりの明るい話題が舞い込んだ。

佐山が結婚することになったのだ。

相手は第二営業部の女子社員。

明るく快活な性格で人気者だった。

しかも、彼女の猛アタックで交際が始まったという噂まで流れていた。

佐山は社内でも評判のイケメンだった。

「泣いた女性社員が何人いるんだろうな」

そんな冗談まで飛び交っていた。

すると、黙っていられない男が動き出した。

宴会部長こと遠山である。

佐山に聞けば、地元で親族だけの式を挙げる予定で、東京で披露宴を開くつもりはないという。

結婚後、奥さんは退職し、家庭に入る。

しかも来春には子どもも生まれる予定らしい。

遠山は腕を組み、大きくため息をついた。

「それじゃ済まないだろ。会社みんなに愛されてる二人なんだから」

そして佐山の肩を叩く。

「悪いようにはしない。全部、俺に任せろ」

そこからは遠山の独壇場だった。

会社近くの高層ビル最上階にあるレストランを押さえ、会費制の社内披露宴を企画。役割分担を決め、次々と指示を飛ばしていく。

さすが宴会部長、段取りの良さは見事だった。

そして僕たちにも白羽の矢が立った。

「最後に何か歌ってくれ。」

早川、浅井、そして僕。

忘年会での歌を覚えていた遠山が、新郎新婦には内緒のサプライズを考えていたのだ。

僕が思いついたのは、アカペラだった。

早川に相談すると、嬉しそうに言った。

「実はやりたい曲があるんだ」

TUBEの『君となら』。

「いい曲なんだよ」

「分かりました」

僕は即答した。

「帰りにCDを借りてきます。三人用にアレンジします」

「主旋律は早川さん、お願いします」

その夜、僕は何度も曲を聴いた。

確かに、聴けば聴くほど結婚式にぴったりの曲だった。

ヘッドホンをつけ、まず自分の声の主旋律を録音する。

その上へコーラスを重ねる。

さらに別のハーモニーを加える。

何度も録り直しながら、三人だけのアレンジを作り上げていった。

長すぎないよう、サビから終盤へ流れる三分の一ほどの構成にまとめる。

我ながら、なかなかいい出来だった。

問題は練習時間だった。

三人とも営業で飛び回っている。

全員が集まれるのは、一度あるかどうか。

そこで僕は、それぞれの個人練習用テープを作った。

各パートだけを録音し、自宅で覚えてもらう作戦だった。

コーラスが一番重要なので、浅井を見つけるたびに空いている会議室へ連れて行き、発声や音程を合わせる。

「もう一回いきましょう」

そんな練習を何度も繰り返した。

旋律については、最悪三人揃っての練習が出来ないとしても何とかなるだろう。

問題は浅井と僕のハーモニーだった。

結局、三人そろって練習できたのは一度だけだった。

その時、僕はふと思いついた。

「グループ名、付けませんか?」

アメリカのジャズコーラスグループ、マンハッタン・トランスファー。

そして、研修施設のある小淵沢。

「コブチザワ・トランスファー」

そう言うと、早川も浅井も大笑いしながら賛成してくれた。

披露宴当日。

社長も専務も顔を見せ、遠山の演出で会場は終始笑顔に包まれていた。

そして最後。

「それでは本日のスペシャルゲスト」

「コブチザワ・トランスファーです!」

会場がどっと沸いた。

イントロはない。

いきなりサビから始まる。

三人の声が重なる。

わずかな練習時間が嘘のように、美しいハーモニーが会場いっぱいに響いた。

歌い終わる頃には、新郎新婦は涙を流していた。

会場も、大きな拍手に包まれた。

もちろん、出し物が成功したことも嬉しかった。

でも、それ以上に僕には忘れられないことがあった。

あの早川が、僕のアレンジを信じ、僕の指示どおりに歌ってくれたこと。

いつの間にか、僕は早川をリードできるようになっていた。

それが、この日一番の収穫だった。

                      つづく

Essayみたいなもの252( 感情とのつきあい方 )


人の行動は、思っている以上に感情の影響を受けています。

私自身も、ほんの些細な出来事で気分を乱され、一日を台無しにしてしまった経験が何度もあります。

嫌なことがあると集中力が落ち、仕事の効率まで下がってしまいます。

ひどいときには、その気分を引きずって何日も、あるいは何週間もスランプから抜け出せないことさえあります。

そう考えると、落ち込んだ気持ちを立て直すためだけに、大切な時間を費やしてしまうのは、とてももったいないことです。

しかし逆に言えば、感情を上手にコントロールできれば、行動も大きく変えられるということではないでしょうか。

たとえば、逆境を乗り越えた人の伝記や成功体験に触れると、不思議と勇気ややる気が湧いてくることがあります。

心が前向きになる音楽を聴くのもいいでしょう。

好きな香りに包まれることや、部屋を整理整頓したり掃除をしたりすることでも、気分は意外なほど変わります。

大切なのは、自分にとってプラスに働く方法を知り、上手に気持ちを切り替えることです。

一番避けたいのは、感情に振り回されてしまうことです。

人を動かしているのは、必ずしも理屈だけではありません。

小さな子どもは、自分の感情のままに行動します。

思い通りにならなければ泣き叫び、手足をばたつかせて気持ちを表現します。

大人になっても、感情に流されて自分をコントロールできない状態は、本質的にはそれとあまり変わらないのかもしれません。

本当の意味で大人になるということは、自分の感情を押し殺すことではなく、出来事の受け止め方を選べるようになることではないでしょうか。

有名なたとえ話に、半分まで水の入ったコップがあります。

それを見て、

「もう半分しか残っていない。」

と思う人もいれば、

「まだ半分も残っている。」

と考える人もいます。

目の前にある事実はまったく同じです。

違うのは、その事実をどう受け止めるかという心のあり方です。

人生も同じではないでしょうか。

起こる出来事をすべて変えることはできません。

しかし、その出来事にどんな意味を与えるかは、自分で選ぶことができます。

感情を管理するということは、自分の人生をより良い方向へ導くための、大切な技術なのだと思います。

AI-KenChan『 私のいきつけ 』


3年前、私のいきつけの居酒屋さんが30周年を迎え、それを祝うパーティーに招待された私は、常連客からのリクエストもあり曲を創り披露しました。

私のいきつけ( 2023 09 13 1年ぶりのオリジナル )
https://www.youtube.com/watch?v=eLAIDY4WtXc

この音源をSUNOにアップロードして、私の分身である AI-KenChan に歌ってもらいました(^^


歌:AI-KenChan

作詞・作曲:KenChan
編曲:SUNO


でお届けします。


オリジナル曲 再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLns3m1Wg6WlTZd7qrDdxSBVRo6eJ79NKM

挿入曲入り連載小説 『自分探しの心の旅』( 第17話 天才講師と僕 )


主な登場人物

僕:二十代後半の研修会社の営業マン。
早川:僕と同い年で半年先輩の講師。
佐山:早川をライバル視している講師候補。
浅井徳子:トップセールス。(第1話~第2話参照)
忍田部長:僕の所属する営業部門の部門長。


入社したばかりの頃、僕は早川が苦手だった。

新人研修では、僕が二日間も補講を受ける羽目になったのに対し、早川は規定どおりどころか、トップの成績で修了した。

その話を聞かされた僕は、研修を終えた解放感もあって、つい余計な一言を口にしてしまった。

「でも僕は、早川さんの知らないプラスアルファも体験してますよ」

もちろん冗談半分だった。

だが、その一言が早川の闘争心に火をつけてしまったらしい。

以来、僕はずいぶん鍛えられることになる。

僕のちょっとした勘違いやミスを見つけるたびに、早川は容赦なく突っ込んでくる。

同じ班で、しかも隣の席。

営業時代の僕にとって、それはなかなか居心地の悪い毎日だった。

それでも不思議なもので、しばらくすると何となくうまく付き合えるようになってしまう。

それが僕の長所なのかもしれない。

そんな二人の関係が大きく変わる出来事は、仕事とはまったく関係のない場所で起きた。

それは歌だった。

会社の研修では、プログラムごとにオリジナルのテーマソングが用意されていた。

全部で十曲ほど。

講師は受講生へ口移しで歌を教えるため、音程・リズム・テンポまで厳しい歌唱審査を受ける。

合格しなければ、人前で歌うことさえ許されない。

必要があれば、合格している講師が応援に入る。

早川は、専任講師を含めても唯一、すべての曲に合格していた。

歌にも、相当な自信を持っていたはずだ。

ちなみに、その頃の僕は一曲も合格していなかった。

その年の忘年会。

二次会はカラオケボックスだった。

僕の順番が回ってきた。

選んだ曲は、浜田省吾の『悲しみは雪のように』。

僕が歌い始めた瞬間、視線が集まった。

歌い終わると、大きな拍手が起こった。

実は、ある程度こうなることは予想していた。

いや、そうなるように歌ったと言った方が正しい。

学生時代、僕はバンドでボーカルを担当していた。

人前で歌うことだけは、昔から好きだった。

次は早川の番だった。

谷村新司の『群青』。

圧倒的な声量。

力強く、真っすぐな歌声だった。

その歌を聴きながら、普段から早川をライバル視していた講師候補の佐山が、僕の耳元でささやいた。

「君を意識してるよ。」

少し笑いながら続ける。

「歌は君の勝ちだな。」

確かに、聴かせるという意味では、僕に少しだけ分があったのかもしれない。

歌い終えた早川に、僕は声を掛けた。

「あとで、CHAGE and ASKAの『万里の河』、一緒に歌いませんか?僕、ハモリをやりますから。」

ハーモニーは、主旋律が正確でなければ成立しない。

そして、癖のないまっすぐな声ほど、美しいコーラスになる。

早川は理想的なパートナーだった。

結果は、想像以上だった。

学生時代、ライバルバンドのボーカルと歌って以来というくらい、気持ちのいいハーモニーになった。

僕も楽しかった。

でも、それ以上に早川が楽しそうだった。

ハーモニー付きで歌うのは初めてだったらしい。

飛鳥涼になりきった早川は、大きな拍手を浴びて満面の笑みを浮かべていた。

あの日を境に、早川は僕を見る目を少し変えたように思う。

そして、その忘年会では、もう一人、新しいスターが誕生していた。

浅井徳子だった。

独立して代理店になる、まだ少し前のことだ。

忍田部長が感心したように言った。

「天は二物を与えずって言うけど、浅井さんは別だな。」

浅井の歌声は、とにかく美しかった。

特に裏声。

透き通るような優しさがあった。

その歌声を聴きながら、僕はふと思った。

 <この人は、きっと優しい子守歌を歌うんだろうな…>

そんなことを考えていた。

                      つづく

Essayみたいなもの251( 成長のチャンス )


「悩み」とは、見方を変えれば「満たされていない願い」がある状態とも言えます。

思い通りにならないから悩み、理想とのギャップがあるから苦しむのです。

しかし、その悩みこそが、人を成長させる原動力でもあります。

人類の歴史を振り返れば、それはよく分かります。

「もっと遠くへ行きたい。」

「もっと楽に仕事をしたい。」

「もっと安全に暮らしたい。」

そんな欲求があったからこそ、科学や技術は発展してきました。

不便や不満が、新しい工夫や発明を生み出してきたのです。

これは個人の成長についても同じことが言えます。

困難に直面し、それを乗り越えようと努力するから、人は少しずつ成長していきます。

ところが、子育てでは逆のことが起こる場合があります。

子どもが欲しがるものを何でもすぐに与えてしまう。

困らないように先回りして親が解決してしまう。

一見すると愛情のようですが、それが結果として、子どもから成長の機会を奪ってしまうことがあります。

本当に子どものためを思うなら、自分で考え、自分で乗り越える経験を残してあげることも必要なのでしょう。

仕事でも同じです。

経験豊富な上司や先輩なら、部下や後輩の悩みを見れば、すぐに答えが分かることも少なくありません。

だからといって、すべて答えを教えてしまうことが、本当に相手のためになるとは限りません。

ヒントを与えながら、自分の頭で考えさせる。

その時間こそが、相手の成長につながります。

悩みの中には、その人が一歩成長するための種が隠されているからです。

友人から人生相談を受けたときも、同じことが言えるかもしれません。

何か気の利いたアドバイスをしなければならない、と考える必要はありません。

ただ真剣に耳を傾けるだけで十分なこともあります。

話しているうちに、本人が自分で答えに気づくことは決して珍しくありません。

聞いてもらうことで、頭の中が整理されるからです。

これは、自分自身にも当てはまります。

今、何か悩みを抱えているなら、それは成長の入り口に立っているということかもしれません。

もちろん、誰かに相談することは悪いことではありません。

しかし、何でも人任せにしてしまえば、自分で考える力は育ちません。

悩みをすべて誰かに解決してもらおうとすると、自分自身が成長する貴重な機会まで手放してしまうことになります。

世の中には、意識的であれ無意識であれ、人の不安や悩みを利用して利益を得ようとする人もいます。

だからこそ、相談する相手は慎重に選ぶ必要があります。

優れたカウンセラーほど、自分の考えを押しつけません。

答えを与えるのではなく、相談者が自分自身の答えを見つけられるよう、そっと寄り添います。

本当の支援とは、「依存させること」ではなく、「自立を助けること」なのです。

悩みは決して人生の障害ではありません。

それは、未来の自分を育てるために与えられた、大切な教材なのかもしれません。

挿入曲入り連載小説 『自分探しの心の旅』( 第16話 天才講師 その五 )


早川が配った資料には、二つのケーススタディーが掲載されていた。

一つは、部下との衝突を恐れるあまり、会社の方針にも部下の顔色にも気を遣い続け、結局は誰からも信頼されなくなってしまうリーダー。

その姿を皮肉を込めて「民主的オジサン」と呼んでいた。

もう一つは、部下の反発をきっかけに問題の本質を見失い、いつしか部下と一緒になって会社や上司を批判する側へ回ってしまう若いリーダーの事例だった。

その結論は容赦ない。

「同情には値しない。」

立場を忘れたリーダーに未来はない…。

そんな厳しいメッセージが込められていた。

早川は、その文章を受講生一人ひとりに順番に読ませた。

「もっと大きな声で。」

最初は誰も思うように声が出ない。

そこで早川は舞台俳優の発声練習のような訓練を取り入れた。

腹から声を出す。

相手の目を見て話す。

短い言葉を繰り返し発声する。

テンポよく、休む間もなく進めていく。

研修所では昔から言われていた。

「早川は訓練指導の天才だ」

その評判どおりだった。

受講生が戸惑う暇もなく、自然と流れに引き込まれていく。

新入社員研修で行うような挨拶訓練や「ハイッ!」の返事まで、管理職候補の大人たちが本気で取り組んでいた。

集中力が切れれば容赦なく叱責が飛ぶ。

だが、もう誰一人反発する者はいなかった。

むしろ、大声を出し続けるうちに表情が明るくなっていく。

心の中に溜まっていたものが、少しずつ吐き出されていくようだった。

後日提出された感想文には、

「ストレスが吹き飛びました」

そんな言葉まで書かれていたという。

後になって早川は笑いながら僕に話してくれた。

「もともと優秀な連中だからさ。一度気づけば早かったよ。」

研修は大成功だった。

もちろん、訓練だけをしていたわけではない。

職場で実際に起きている問題をケーススタディーで分析し、自分たちの職場へ置き換えて原因を探る。

さらに具体的な改善策まで考え抜く。

知識だけで終わらせず、現場へ持ち帰るところまで徹底した。

高学歴のエリート社員たちは、いつしか早川に心を開いていた。

いや、心酔していたと言ってもいい。

自分でも気づかなかった課題を引き出し、自分自身と向き合わせてくれた。

そう感じていたのだろう。

そして修了式。

静まり返った会場で、早川は受講生を見渡した。

目にはうっすら涙が浮かんでいた。

「私はこれまで数多くの研修に携わってきました。」

少し声を詰まらせる。

「ですが、今回ほど優秀な受講生に恵まれたことはありません。」

会場が静まり返る。

早川は深く息を吸った。

「最後に、一つだけ皆さんへお伝えしたいことがあります。」

一拍置く。

「皆さんの成長を願うあまり、私は研修中、皆さんの人格まで否定するような言葉を何度も口にしてしまいました。」

そして深々と頭を下げた。

「この場をお借りして、お詫び申し上げます。」

誰も声を出せなかった。

時間だけが流れる。

その沈黙を破ったのは、一人の受講生だった。

「先生!」

最初に反発した、あの男だった。

涙を流しながら駆け寄る。

「やめてください!」

その姿に引き寄せられるように、受講生全員が早川の周りへ集まった。

早川は涙をぬぐい、ゆっくり顔を上げる。

すると、さっきまでの表情が嘘のように引き締まった。

「一同、整列!」

鋭い号令が飛ぶ。

全員が反射的に持ち場へ戻った。

その動きには、一切の迷いがなかった。

早川は力強く宣言した。

「これにて、○○通信工業・指導力養成研修を修了します!」

一呼吸置いて、当番の受講生が号令をかけた。

最初に反発した、あの男だった。

「気をつけ!」

会場に緊張が走る。

「ありがとうございました!」

全員が一斉に唱和した。

「ありがとうございました!」

深々と頭が下がる。

その姿は、三日前とはまるで別人だった。

早川は受講生一人ひとりの前へ歩み寄り、固く握手を交わしていく。

「頑張ってくださいね」

「期待しています」

短い言葉だった。

それだけで十分だった。

受講生たちの表情には、涙と笑顔が入り混じっていた。


                      つづく

Essayみたいなもの250( 自己分析と自分探し )


「過去を振り返るな。今を生きろ。」

そんな言葉を耳にすることがあります。

確かに、過ぎ去った出来事をいつまでも悔やみ続けても、時間は戻りません。

だからといって、「過去を忘れること」が大切なのでしょうか。

私は、そうは思いません。

このシリーズでお話ししている「自分探し」も、多くの場合、「今の自分」を分析することから始められます。

現在の性格や能力、価値観を調べ、自分に合った生き方や目標を探そうという考え方です。

もちろん、それにも意味はあります。

しかし、それだけでは本当の自分は見えてこないように思うのです。

たとえば営業職の人が自己分析をするとします。

仕事が順調で、人間関係にも恵まれ、毎日が充実している時期なら、

「明るく前向きな性格」

「営業という仕事に適性がある」

という結果になるかもしれません。

ところが、営業成績が伸び悩み、人間関係もぎくしゃくし、大きなストレスを抱えている時期に同じ分析をしたらどうでしょう。

今度は、

「消極的な性格」

「営業には向いていない」

という、まったく違う結果になる可能性があります。

どちらも間違いではありません。

どちらも、その時点の「あなた」だからです。

しかし、それだけで本当の自分を判断してしまってよいのでしょうか。

近年は、性格診断や占い、心理テストなどが数多くあります。

楽しむ分には面白いものですが、人間は非常に多面的な存在です。

状況や環境によって、見せる一面は大きく変わります。

だからこそ、「当たっている」と感じることも少なくありません。

しかし、そのような一時点だけを切り取った分析では、自分の人生を左右するような目標や生き方を決めるには、少し心もとない気がします。

私は、自分を知るためには「過去」に目を向けることも欠かせないと思っています。

もちろん、思い出したくない出来事もあるでしょう。

失敗や挫折、みじめな思いをした記憶は、できれば忘れてしまいたいものです。

反対に、昔の成功ばかり懐かしんでいても前へは進めません。

しかし、大切なのは過去に浸ることではありません。

事実を振り返ることです。

過去の経験は、成功も失敗も含めて、今の自分をつくってきた大切な財産です。

忘れてしまうことは、その財産を手放してしまうことでもあります。

人の個性は、生まれ持った素質と、それまで積み重ねてきた経験によって形づくられています。

そう考えるなら、本当の自分を知る手がかりは、過去の記憶の中にも数多く眠っているはずです。

心理療法の世界でも、つらい記憶を無理に押し込めるより、向き合い、整理していくことが回復につながる場合があると言われています。

つまり、「過去を振り返るな」という言葉は、「過去を忘れろ」という意味ではないのでしょう。

過去に縛られたり、後悔に浸ったりするのではなく、そこから学び、今をよりよく生きるために活かしなさい、ということなのだと思います。

私は、自分が経験してきたことを、一つたりとも無駄にしたくありません。

成功も失敗も、喜びも悲しみも、すべてが今の自分を育ててくれた大切な経験だからです。

あなたは、自分の過去をどのように受け止めていますか。

そこには、まだ気づいていない「本当の自分」へ続くヒントが隠れているかもしれません。

挿入曲入り連載小説 『自分探しの心の旅』( 第15話 天才講師 その四 )


主な登場人物

僕:二十代後半の研修会社の営業マン。

早川:僕と同い年で半年先輩の講師。

人事課長:某大手通信機器メーカーの研修担当。


「研修を修了しなければ、お前の机はない…そう上司に言われました」

男はさっきまでとは別人のようだった。

肩を落とし、消え入りそうな声で言う。

「お願いです。研修に戻してください」

早川は静かに男を見つめた。

「当然だろう」

口調は穏やかだった。

だが、その言葉には容赦がなかった。

「業務命令に公然と逆らったんだからな」

男はうつむく。

「君は、自分の上司をずいぶん馬鹿にしていたよね」

「いえ…そんなつもりは…」

「まあ、それはいい」

早川は少し表情を和らげた。

「君が帰ったあと、残った連中は『あいつ一人の責任だから研修を続けてください』と言ってきた」

男は息を呑む。

「頭にきたから、今は全員に辞表を書かせている」

驚きで目を見開く男。

「でも、不思議なものだな」

早川は続けた。

「こんな嫌な研修をやる会社でも、辞めたくはないらしい」

一拍置いて尋ねた。

「君もそうか?」

「もちろんです!」

男は即座に答えた。

「責任は全部、自分にあります。みんなは関係ありません」

早川はゆっくり首を振った。

「そうはいかない」

「これは組織の問題だ。連帯責任でもある」

そして静かに言った。

「これから、みんなでどうするのか考えてきなさい」

男は深く頭を下げ、研修室へ戻っていった。

その後ろ姿を見送りながら、人事課長がぽつりとつぶやいた。

「景気の良かった頃の新卒なんですよ」

少し苦笑いを浮かべる。

「学生も少なかった時代ですから、大事に育てられた世代なんです」

早川もうなずいた。

「直属の上司、高卒の叩き上げでしたよね」

「ええ」

「随分遠慮していました」

課長はため息をついた。

「結構いるんですよ。部下に遠慮してしまう管理職は」

そして少し笑って言う。

「でも先生、よく言わせましたね」

『研修を修了しなければ、お前の机はない』

「普通なら誰も言えませんよ」

早川は肩をすくめた。

「だからですよ」

少し間を置いて、

「人事課長」

課長が顔を上げる。

「今度は中間管理職向けの研修をやりませんか?上が変わらなければ、組織は変わりません」

こんな場面でも営業を忘れない。

さすがだと僕は思った。

一方、研修室では議論が始まっていた。

最初に反発した男が頭を下げる。

「申し訳ありませんでした」

すると厳しく責める者が現れた。

「あんたのせいで全部止まったんだ」

しかし別の受講生が口を開く。

「責めても仕方ないでしょう」

「それより、なぜこんなことになったのか考えませんか」

議論の方向が変わる。

感情論から、原因を探る話し合いへ。

少しずつ空気が変わっていった。

頃合いを見計らい、早川が研修室へ戻った。

全員が立ち上がる。

「どうですか」

静かに問いかける。

「研修を受ける気になりましたか」

誰一人言葉を発しなかった。

その代わり、全員がまっすぐ早川を見つめ、大きくうなずいた。

早川は満足そうでもなく、勝ち誇ることもなく、淡々と話を始めた。

「では一つ質問します」

教室をゆっくり見回す。

「皆さんは、なぜ最初から研修に否定的だったのでしょう?」

左端の受講生から順番に答えさせていく。

「現場を知らない人に教わることはないと思っていました」

「机上の空論だと思っていました」

「毎日忙しいのに、この時期に研修なんて…正直そう思っていました」

本音が次々と語られていく。

早川は一つも否定しない。

ただ黙って聞き続けた。

そして最後に尋ねた。

「皆さんの上司は、皆さんの話をきちんと聞いてくれますか?」

「聞いてはくれます」

誰かが答えた。

「でも通ることは、ほとんどありません」

「あきらめて、言わなくなりました」

そんな声があちこちから上がる。

早川は静かに目を閉じた。

「なるほど…」

そうつぶやくと、あらかじめ用意していた資料をゆっくり配り始めた。


                      つづく

Essayみたいなもの249( 心のラジオ )


テレビやラジオは、それぞれ決められた周波数の電波で放送されています。

私たちが番組を視聴できるのは、受信機がその周波数に同調するからです。

周波数が合わなければ、どれほど強い電波が届いていても、番組を見ることも聞くこともできません。

実は、人と人との心にも、これとよく似たことがあるように思います。

人にはそれぞれ個性があり、価値観も趣味も異なります。

だからこそ、同じ音楽を聴いても、心を動かされる部分は人によって違います。

ヒットチャートの上位に並ぶ曲であっても、「どこが好きなの?」と尋ねれば、その答えは十人十色でしょう。

メロディーに惹かれる人もいれば、歌詞に共感する人もいます。

歌手の声や演奏に魅力を感じる人もいるでしょう。

青春時代によく聴いた曲なら、イントロが流れただけで、当時の情景や感情が鮮やかによみがえることもあります。

作品は公開された瞬間から、作者だけのものではなくなります。

受け取る人それぞれの人生と重なり合い、新しい意味を持ちながら歩き始めるのです。

それは、その作品の中に、人それぞれが共感できる「何か」があるからなのでしょう。

これは音楽だけではありません。

歴史上の人物や伝記、小説や映画の主人公に心を動かされるのも同じです。

私たちは、その人物の考え方や生き方、勇気や優しさ、あるいは失敗や葛藤に、自分自身を重ね合わせています。

では、あなたにとってのヒーローやヒロインは誰でしょうか。

そして、その人のどんなところに惹かれるのでしょう。

勇気でしょうか。

誠実さでしょうか。

挑戦する姿勢でしょうか。

あるいは、人への思いやりでしょうか。

その「共感する部分」こそが、あなた自身の価値観を映し出しているのかもしれません。

身近に人生の師と呼べるメンターがいるなら、それはとても幸運なことです。

しかし、必ずしも身近にいる必要はありません。

本の中の主人公でも、歴史上の人物でも、映画の登場人物でも構いません。

心から尊敬できる人物を見つけ、その生き方に触れることは、自分自身を知る大きな手がかりになります。

私たちは、自分が何に心を動かされるのかによって、自分自身を知ることができます。

あなたが本当に目指したい「理想の自分」は、すでに心を震わせた数々の作品や人物の中に、そのヒントが隠されているのではないでしょうか。

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