未だに4月の記録です。
毎年春の恒例行事「こんぴら歌舞伎」。
令和2年(2020年)の第三十六回公演がコロナ感染拡大により中止となって以降、待ちに待った5年ぶりの開催。
(その間、金丸座の「令和の大改修」(2020年10月〜2022年4月)など予定どおりの中止もあったが)
いつも4人で行っていたけど、この5年の間にひとりが病気で亡くなった。
年齢は一回り上で、共通の友人を介しての関係なので個人的にすごく親しいわけではなかったけど
観劇や推し活(K-POP)など楽しい趣味をお持ちの方で、私を初めての歌舞伎に誘ってくれたのもその方でした。
今年は3人で訪れた、こんぴら。
さびしい気持ちを抱えつつ。
令和の大改修こけら落とし
『第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居』
@金丸座
(2024.4.17(水)11:00〜)A席(JTBにて)
【上演時間】
伊賀越道中双六「沼津」11:00〜12:45
(幕間 35分)
羽衣 13:20〜13:40
【料金】
◆観劇券のみ=A:16,000円/B:12,000円/特別席:20,000円
◆観劇券+お土産セット=A:21,000円/B:17,000円/特別席:25,000円、A:105,000円(第二部、平場1枡(2〜5名)貸切)
↑チケット値上がりの波がここにも。
中止前の前回(2019年)は観劇券のみの場合、
A:14,000円、B:10,000円、特別席:16,000円だったが……特別席は一気に4,000円も上がってる。←25%増しって凄くね?💧改修工事したし、昨今の物価高を考えれば仕方ないのかもしれませんが。
私がこんぴら行き始めた15年前は1番良い席が13,000円、
安席(C席)は7,000円だった。と小声で昔話をしてみる。
今まではB席(2階後舟=自由席)狙いだったので時間が自由になるクルマで行ってたけど
今回はA席(指定席)なので(早く行って席取りする元気が無くて)(老化)、のんびりJRで行ってきた。
とは言え、舞台をかなり斜めに観る位置で
セットや役者の立ち位置によっては中心への視界を遮られることもあったが
花道が近くて全体が見渡せて、なかなか良き眺め。
2020年に中止された公演は、松本白鸚、松本幸四郎の襲名披露の予定だった。
今回、白鸚丈は来られなかったが、幸四郎丈と、雀右衛門丈、鴈治郎丈は来てくれたし
更に、今やすっかり人気の花形役者となった市川染五郎くんが来てくれたの、かなり嬉しかった。
一、伊賀越道中双六 沼津(いがごえどうちゅうすごろく ぬまづ) 一幕
沼津棒鼻の場
平作住居の場
千本松原の場
雲助平作 中村 鴈治郎
娘お米 中村 壱太郎
荷持安兵衛 市川 染五郎
池添孫八 中村 亀鶴
呉服屋十兵衛 松本 幸四郎
今まで何度か、色々な役者で観たことのある『沼津』。
呉服屋十兵衛が偶然知り合った荷物運びのジジイが、実は生き別れた父親であり、一目惚れしたその娘は妹であり
しかも自分が仕える主人が妹の婿の仇であり、その居所を聞き出す為に父親は切腹する、、、という…
何度観ても、前半のゲラゲラ笑う面白さからの突き落としっぷりが凄まじい。
個人的には、以前観た中村勘三郎丈の雲助(荷物運びのシジイ)が最高で←この思いはおそらく生涯変わることはないのだけど
(特に『第二十五回こんぴら歌舞伎』で観た、勘三郎、勘九郎、七之助の座組の『沼津』は私の記憶の宝物。もし将来 認知症になっても忘れたくない!)
今回の中村鴈治郎丈の雲助もそれはそれは飄々としたマヌケっぷりが面白く、最後にはしっかり泣かされました。
さすがの演技巧者でいらっしゃる。
幸四郎丈の持って生まれたイケメンっぷりと、娘に一目惚れした時のデレデレっぷりが好き。
鴈治郎丈と共に客席の細い通路を横切っていく時、よろめいて客席に転びそうになったりして(ファンサービス?)ドッカンドッカン笑いをとっていた。
んでもって、若い若いと思っていた壱太郎くんに、ほんのり色気が💦←なんか妙に焦っちゃったよオバチャンは。
染五郎くんも十兵衛の荷物持ち役で登場し、ナニゲに嬉しい親子共演。
いつか親子でがっつり『沼津』観れるかな。って、染五郎の十兵衛はありそうだけど幸四郎の雲助は無さそうなw
ちなみに、同行の友人は終わってから「え、あれ染五郎だったん?」と(オイ)
二、羽衣(はごろも) 長唄囃子連中
天女 中村 雀右衛門
伯竜 市川 染五郎
駿河の国、三保の松原。
漁師の伯竜は、松の木にかかった羽衣を見つけて持ち帰ろうとするが、天女に呼び止められ、羽衣を返して欲しいと言われる。
伯竜は羽衣を返す代わりに天女の舞を望む。優雅な舞を見せた天女は、やがて天へと昇って行く。
有名な「羽衣伝説」を題材とした長唄の舞踊。
雀右衛門丈の舞踊が素晴らしい〜〜。
同行の知人(80代、歌舞伎ファン歴40年)は絶賛でした。
染五郎くんは雀右衛門丈の相手役としてはやはり物足りなさは感じるが、その爽やかな美青年っぷりを愛でることができて満足。
ラスト、羽衣をまとった天女が天へ帰っていく。
雀右衛門丈の宙乗りに拍手喝采。いいもの観たぁ〜、という感じ。
ところで、「宙乗り」について。
歌舞伎の宙乗りは江戸時代から行われていたが、当時どのような機構を用いていたか詳細は不明で
唯一判明しているのが〝かけすじ〟と呼ばれる仕組みで、上方歌舞伎の故実や仕掛けに通じていた狂言方・松井正三氏(1890~1984年)によって伝承されたものだそう。
金丸座では「平成の大改修(2002〜2004年)」の調査時に、かつて〝かけすじ〟が設けられていた痕跡が発見され
この後〝かけすじ〟の機構を復元し、現在、古風な宙乗りを観ることができるようになったのだとか。
雀右衛門丈の宙乗り時、天井の葡萄棚(竹が組んであるスケスケの天井)で、人力で装置を動かしているのが見えました。
貴重。&お疲れさま。
今度、金丸座を見学したいな。
つるつるっとな。
5年ぶりの恒例行事復活でした。
天国の彼女も一緒に楽しんでくれたかな。