PARCO Produce 2023
『海をゆく者』@ハレノワ 中劇場
(2024/1/17(水)13:00〜)2階5列

昨年9月にオープンした地元の新劇場。大中小3つのホールがあり、大劇場は既に何度か観劇したが、中劇場は今回初めてだったので後学の為にちょっと記録。
2階席はかなり急勾配で、普通に座っていれば前列の後頭部が邪魔になることはないが、各列(1列目だけではない)に高めの手すりが施されており、それが舞台への視界を遮る。
安全対策なのだろうが、それなら客席をこんな急勾配にするなよ、と思う。
今後は2階席は1列目以外ヤメておこう。

そんな感じなので、観劇中は前のめりの方が何人もいた。(地方は観劇マナー知らない人が多い)
私の前列の方も、幕が開くやいなや座席に浅く腰掛け背筋を伸ばしてご観劇。おかげで私はずっと舞台中央が見えず…。
休憩時間にスタッフに「2幕が始まる前に前のめりしないよう注意喚起してください」とお願いした。
しかしスタッフは了承したにも関わらず、結局、注意喚起せず
前列の方は1幕と同じ姿勢を貫き、私は舞台中央への視界を遮られたまま幕が下りた。

スタッフ
くそムカつく

(言葉遣いが悪くてすみません)
そんな状況での観劇でした。


【上演時間】約3時間(70/休20/90)
【料金】一般: 8,800円/U24: 4,500円

【スタッフ】
作:コナー・マクファーソン
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
美術:松井るみ
衣裳:前田文子
 
【キャスト】
ロックハート:小日向文世
リチャード:高橋克実
アイヴァン:浅野和之
ニッキー:大谷亮介
シャーキー:平田満

【あらすじ】
アイルランド、ダブリン北部。海沿いの町にある古びた家に、若くはない兄弟が二人で暮らしている。兄のリチャード(高橋克実)は大酒のみで、最近、目が不自由になり、その世話のために戻ってきたという弟のシャーキー(平田 満)は、酒癖の悪さで多くのものを失い、今は禁酒中。陽気で解放的な性格のリチャードは、クリスマス・イヴも朝から近所の友人アイヴァン(浅野和之)と飲んだくれ、シャーキーが顔を合わせたくないであろう男ニッキー(大谷亮介)を「クリスマスだから」とカードに誘ってシャーキーを怒らせる。さらには、ニッキーが連れてきた一人の男、ロックハート(小日向文世)。彼こそが、シャーキーが忘れたくとも忘れられなかった男だった。
(公式より)


何度か上演を繰り返している作品らしいが
私は全く予備知識無く、役者のネームバリューだけに惹かれてチケットを取った。

目が不自由で、好き勝手に生きる兄リチャード(高橋克実)、
そんな兄の世話を焼く、スネに傷を持つ弟シャーキー(平田満)、
リチャードの友人で穏やかなアイヴァン(浅野和之)、
過去にシャーキーと三角関係になったニッキー(大谷亮介)、
そしてニッキーが連れてきた紳士的で不思議な男ロックハート(小日向文世)

飲んだくれの酔っぱらいオヤジが集まって、騒がしくカードゲームに講じるクリスマス・イブ。
リチャードは風呂に入らないし、妙にトイレ系のネタ多めで、、、、何かこう、、、何かプ〜ンと臭ってきそうなシチュエーション。

揃いも揃った演技巧者が繰り広げるセリフ劇。
演技だとわかっていても、そのろくでなしっぷりにムカついたり、イラついたりしてしまう。
で、ホント臭そうだし←

ひとりだけキャラ違うロックハートがどう絡んでくるのかと思ったら、以前カードで賭けをしたシャーキーの魂を貰いにきた「悪魔」なのだと。
ワタシ的には予想外の展開。だけど、小日向さんが醸し出していた異質な空気に、なんとなく納得してしまう。

そんなロックハートが言葉を発する度に、オヤジたちのダレきった空気をピリつかせる。
が、そんな空気を打ち消すべくカードに講じることで、自らダレていくようなオヤジたち。
このオヤジたち、忘れたい過去とかいろいろ背負ってんだろうなぁ…と想像した。

グダグダとくだらない話は延々と続くのに、言うべきことが核心に迫りそうになると、スルッと抜けていくようなもどかしさ。
でも、オヤジたちの“口には出さない何か”みたいなものが伝わってくる感じ。
そんなふうに思えるのは、私がこのトシになったからか。若い頃だったら、とてもじゃないけど観ていられない話だったと思う。ホント臭そうだし←

そんな臭そうな時間を過ごしたラスト、
窓の外の夜明け、シャーキーの背中。

なんだかジ〜〜ンとさせられていた、ワタシ。


この物語、好きか嫌いかと聞かれたら、断じて好きではないです。ホント臭そうだし(何回目w)
内容もさることながら、セリフだけの3時間(休憩含む)は正直言ってキツくて、もう少しブラッシュアップできないものかと頭をよぎったりもした。
(前列の後頭部とスタッフの対応にムカついて集中力が欠けてたせいもあるかも)

ただ、それでも「つまらなかった」とは思わない。
あれほどダレきった臭そうな空気を作り出しておきながら、一瞬にしてピリつかせたり、最終的にジ~ンとさせたり
これだけの役者が揃って空気を操る。その技量、力量に魅せられた、と言うか。
そういう意味で、満足度はメチャ高かった。