友人と二人で、
海老蔵改め團十郎襲名披露公演を観てきた。




『十三代目市川團十郎白猿襲名披露巡業』
@岡山芸術創造劇場ハレノワ
(2023.10.22(日)13:30)二等席2階2列(10,000)


海老蔵改め、十三代目市川團十郎白猿襲名。
9年ぶりの大名跡復活。

本来、2020年5〜7月に歌舞伎座にて襲名披露予定であったが、コロナ感染拡大により延期された。

思い返せば
2020年1月、新橋演舞場にて「当代市川海老蔵を観るのはこれが最後」と心して観劇したのに↓

■2020年1月『初春歌舞伎公演』@新橋演舞場


それからほんの1か月後、コロナ感染拡大で何もかもが中止になり、團十郎襲名も延期。
結局、その後2回も“当代海老蔵”を観たのだった(名前はどうあれ同じ人なので良いけど)↓

■2020年9月『古典への誘い』@岡山


■2021年9月『古典への誘い』@倉敷



昨年2022年11月にやっと襲名が実現し、歌舞伎座にて2ヶ月連続上演。(「十一月吉例顔見世大歌舞伎」「十二月大歌舞伎」)

團十郎襲名と併せてご長男・勸玄くんの八代目市川新之助襲名ということもあり
昨年11月の『平成中村座』(@浅草)と絡めて“歌舞伎遠征”しようかと本気で考えたけど
花總まりラストシシィの『エリザベート』4都市ツアーを追いかける予定だったので、節約モードで諦めたんよね…
(今思えば少々無理してでも行けば良かった。猿之助演じる『勧進帳』の義経、観ておくべきだった(涙))

そんなワケで、
残念ながら勸玄くんの襲名口上を観ること叶わなかったけど
今年3月の巡業、9月博多座を経て、この度の10〜11月巡業で地元にて念願の團十郎襲名口上を観ることができた。

会場は、我が地元に9月にオープンしたばかりの新しい劇場、岡山芸術創造劇場ハレノワ。
下手の端席をつぶして花道がついていて、こんなことも出来るのかぁ〜さすが新しい劇場!と地味に喜ぶ地元民。(斜めだけど)↓
祝幕は伊藤園から。新之助時代からのご縁かな。
家紋のみのシンプルな幕で、止め名の大名跡襲名という厳かな重みを感じる。

てゆーか、
歌舞伎座の村上隆氏デザインのド派手な幕やユニクロのシン・ゴジラ幕は地方には持ってきてくれないのね。
勸玄くん改め新之助くんが来てないから仕方ないかもしれないけどさ…
見たかったな、この祝幕↓(画像はお借りしました)
(上:十一月吉例顔見世大歌舞伎、村上隆氏デザイン)
(下:十二月大歌舞伎、ユニクロ「シン・ゴジラ」)


【上演時間】約2時間
(「君が代 松竹梅」20分/(幕間なし)/襲名披露 口上 10分/(幕間30分)/「歌舞伎十八番の内 毛抜」60分)

【出演】
市川團十郎
市川右團次/中村児太郎/大谷廣松/
中村莟玉/市川九團次/片岡市蔵
中村梅玉
ほか


一、君が代 松竹梅(しょうちくばい)

松の姫  中村児太郎
竹の君  大谷廣松
梅の君  中村莟玉

襲名披露公演を寿ぐ華やかな舞踊。
「君が代は恵みかしこき高砂の」という詞章に因み『君が代 松竹梅』と呼ばれる。

冬の厳しい寒さを耐え忍ぶ強さを持つことから「歳寒三友」と呼ばれる松竹梅。
いつまでも色を変えぬ松、春の訪れを告げる梅、子孫繁栄を象徴する竹。
それぞれの目出度さに、千年の齢を保つ鶴と万年生きる亀の長寿にあやかる願いを込めて、華やかに舞い納める。

若い役者3人の、明るく晴れやかで華やかな舞踊がとにかく麗しい。
なんとなく、三角関係っぽくも見えたりして(邪念)ウキウキしちゃった。
いつ見ても中村莟玉くんのお顔立ち、良き。


二、十三代目市川團十郎白猿襲名披露 口上

海老蔵改め團十郎
中村梅玉

裃姿にて登場。
梅玉丈のお祝いの口上に続き、十三代目市川團十郎白猿丈より襲名披露のご挨拶。

梅玉丈は先代團十郎と同級生で、娘さんが海老蔵改め團十郎と同級生なのだとか。父親のような思いで十三代目を見守っている、と。

海老蔵改め團十郎丈は、岡山とのご縁を年順にスラスラと。
初岡山は2000年、新之助時代だったそう。(その頃の私はまだ宝塚onlyだった)
その後数年は訪れていないが、2003年の大河ドラマ「武蔵」ロケの為、美作(岡山県北)にはよく来ておりました、と弁明しつつw

やっと襲名口上を観ることができた、という感慨と安堵感。
おめでとうの気持ちはもちろん、コロナ感染拡大による延期が決定した時の落ち込み(←私の)を思い出して、ムダに気持ちが盛り上がる感じ。

その反面、歌舞伎座のような幹部俳優ズラリ勢揃いの迫力が無いのが、ちょっとサビシくもあり。
やはり昨年の歌舞伎座、行くべきだったわ。


三、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

粂寺弾正  市川海老蔵改め團十郎
八剣玄蕃  市川右團次
腰元巻絹  中村児太郎
秦秀太郎  大谷廣松
小野春風  中村莟玉
秦民部   市川九團次
小原万兵衛 片岡市蔵
小野春道  中村梅玉

八剣数馬  市川新十郎
錦の前   市川福太郎
忍びの軍内 市川升三郎

【あらすじ】
小野小町の子孫、小野左衛門春道(梅玉)の屋敷。
広間では、家老秦民部の弟・秀太郎(廣松)が兄の悪口を言われて立腹し、家老八剣玄蕃の子息・数馬(新十郎)と刃を交えていたが、春道の息子・春風(莟玉)が私情の争いは控えるよう二人をたしなめる。
朝廷より、家宝である小野小町の短冊を持参するようにという勅諚であったが、短冊の箱は空だった。
宝蔵の鍵は家老の秦民部(九團次)か春風が持っているはずである為、もうひとりの家老・八剣玄蕃(右團次)は二人を責め立てる。
二人が切腹しようとしたところに、文屋豊秀家臣・粂寺弾正(海老蔵改め團十郎)が、春道息女・錦の前(福太郎)の見舞いに訪れる。
錦の前は豊秀の許嫁であるが、髪の毛が逆立つ奇病に罹って輿入れが延期となっていた。

弾正は、給仕の秀太郎(廣松)や腰元の巻絹(児太郎)を口説くが、立て続けに失敗。
時間を持て余して毛抜きで髭を抜いていたら、毛抜きが勝手に動き出す。同じように置いてある銅の煙管(キセル)は動かない。不審に思った弾正が試しに小刀を置いてみると、毛抜きと同じように動き出す。
鉄で出来た物だけが勝手に動くことに気付く弾正。

そこへ、小原万兵衛と名乗る男(市蔵)が、春風の子を身籠り難産の末に命を落とした妹を返せと言いがかりをつけてきた。
しかし、その万兵衛は偽物であり短冊を盗んだと知っていた弾正はその男を討ち取り、その懐から盗まれた短冊を取り戻す。

弾正は短冊を民部に渡し、錦の前の奇病も治すと言い、錦の前の頭から櫛を外すと、逆立っていた髪は元に戻る。弾正は動く毛抜きを見て、それが磁石によるものと察したのだった。
弾正が天井に向かって槍を刺すと、巨大な磁石を抱えた忍びの奴・軍内(升三郎)が落ちてくる。
弾正は、錦の前と豊秀の縁談の破談を企む陰謀を察して軍内を問いただすが、家老玄蕃が軍内を斬り捨てる。全ては玄蕃が御家横領を謀る企みであった。
玄蕃を斬り捨てた弾正は、意気揚々と引き上げていくのであった。


歌舞伎十八番の一つで、二世團十郎が寛保2年(1742年)に大坂で演じた『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』全五幕の中の第三幕。

姫君の髪の毛が逆立つわ、弾正は男女構わずナンパするわ、しかもナンパ失敗した場面では、客席に向かって「近頃、面目ございません」などと自虐するわ
人の家に来といて暇を持て余してヒゲ抜くわ、でっかい磁石を抱えた忍者が落ちてくるわ…
あげくにヒト2人も斬っといて「めでたし、めでたし」とハッピーエンドに持っていくっていうw
ユーモアたっぷりのお気楽な展開、良き良き。

冒頭の斬り合いや、給仕や腰元のナンパなど、なんなら無くてもいんじゃね?というような場面や、縁談を破談にする為の作戦(磁石で姫の髪を逆立てるw)とか、ちょっと素っ頓狂な感じ
こういうとこが歌舞伎の面白さでもあるよねぇ、と同行した友人と妙に納得した。

それにしても、海老蔵改め團十郎丈はやはりカッコいい。
お芝居が上手いかどうかは超越して、海老蔵は海老蔵だからいい。←改め團十郎、ね。
毛抜きが動く場面で、見得を切りまくる粂寺弾正のカッコ良さ。
この方ほど見得を切る姿がカッコ良く見える役者さん、他にいるかしら?と思う。

正直言うと、もう少しカッコいい役で観たかった気もするが(『暫』とか『勧進帳』とか)
粂寺弾正、お茶目でおおらかで軽やかで色気があって頭が良い、とても魅力的なキャラクターではあるかなぁ。

あと、やっぱお衣装の麗しさよ。
代々のデザインなのか、エビ柄のお着物がホント素適だった。
(画像はお借りしました)


ところでこの粂寺弾正役、歌舞伎座では勸玄くん改め新之助くんが演じたそうで。
発表された時はどんな役かピンときてなかったのだけど、こんなかっけー捌き役をあの可愛い勸玄くんが演じたとは。
やっぱ歌舞伎座行くべきだった、、、と思っちゃったよね←何度目?
後悔先に立たずだわ。


それはそれとして、團十郎襲名披露として
岡山に来てくださったこと、ホント感謝です!

◆市川團十郎白猿公式ブログ↓


◆市川右團次公式ブログ↓





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そして来年4月には、
5年ぶりの『四国こんぴら歌舞伎大芝居』開催予定。
誰が来てくれるのか早く発表してほしいなブルー音符チケット取れるかなむらさき音符