先週土曜日『おかしな二人』マチネ観劇の後、



↓こちら↓ソワレに行ってきた。



『おかしな二人』と同じく、
日曜日に無事に大千穐楽を迎えられたそうです。
良かった良かった。


『アルジャーノンに花束を』
@COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
(2023.5.13(土)17:00)X列(ぴあ先行抽選)


まずは、初めての劇場「COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール」。
アクセスマップをチラ見して「森の宮ピロティホールが改名したのね!」と大きな勘違いをしていた。
全然違うじゃん(行く直前にアクセス見直して気付いた)

2019年にオープンした新しいホールだそうで(知らんかった)、1階席のみでキャパ1144席。(他に、TTホール(706席)、SSホール(可動式300席)という小さめのホールが隣接)
ロビーが狭く、客席の出入り口も狭い。トイレは行かなかったが、休憩時間の長蛇の列から察するに個室の数は少なそう。
物販と、何やら交換する場所など配置が悪いのか人の流れがゴチャゴチャして微妙に動線悪い。
客席は千鳥配置ではない。後方席の段差もそれほど大きくない。
せっかく新しいホールを作るなら、なんか、もっと、こう………うーん。。。となった。


【上演時間】2時間50分(80/休20/70)

【スタッフ】
原作:ダニエル・キイス
「アルジャーノンに花束を」(ハヤカワ文庫)
脚本・作詞・オリジナル演出:荻田浩一
演出・振付:上島雪夫
音楽:斉藤恒芳

【キャスト】
チャーリィ・ゴードン:浦井健治

ニーマー教授:大山真志
アルジャーノン(ねずみ):長澤風海
バート・セルドン(助手):若松渓太
ノーマ(妹)(現在):大月さゆ
ノーマ(妹)(幼少期):藤田奈那
フェイ・サルマン(画家):渡来美友

ストラウス博士:東山義久
アリス・キニアン先生:北翔海莉

【ストーリー】
32歳になっても幼児なみの知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。
そんな彼に、夢のような話しが舞い込んだ。大学の偉い先生が頭を良くしてくれるというのだ。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受ける事に。
やがて、手術によりチャーリイは天才に変貌したが…
(公式より)


アルジャーノン、2014年の公演を観た。
大昔に原作を読んだことがあり、あまり好きな話ではない印象だったけど
浦井くんが菊田一夫演劇賞を受賞したチャーリィという役を観てみたくて行ったのだった。

↓2014年10月の日記↓
その後、チャーリィ役は矢田悠祐くんが引き継いだんよね。
ワタシ的には、チャーリィは浦井くんの当たり役であり、他のキャストではそそられなくて
もともと好きな話ではないこともあり、今後上演されてももう観ることは無いと思っていた。

が、今回

浦井くんチャーリィ復活?
ニーマー教授が東山義久くん?
キニアン先生がみっちゃん?

そそられるキャスティング。
公演期間中、ちょうど『おかしな二人』で大阪行く予定だったし、
ぴあ先行抽選で希望日のチケット取れたら行ってもいいなという程度で申し込んでみたら、チケット当選したし。

そんな感じで、わりと軽めな気持ちで行ってきたワケだけど
そうだった。重いものが残る話なのだった。


「ぼくわ かしこく りたい」

望みどおり賢くなったチャーリィ。
知能の成長に心がついていかない。
衰えるアルジャーノン。募る不安。
からの、結末。

“賢い”を経験したチャーリィは、少しでも幸せだったのか。“賢い”を知らないままが良かったのか。
浦井くんの表現ひとつで、こちらの受け止め方も変わってくる。

賢くなることは幸せなのか。
では、そもそも幸せって何なのか。
いろいろ考えているとなんだか辛くなってきて、思考停止してしまう私なのだった。


あー、でも、やっぱ、浦井健治は凄い。と思った。
歌は好きじゃないです。発声そのものがダメで。
それでも浦井くんの演技は観たい。浦井くんのチャーリィは、凄い。これに尽きる。

ただ、賢くなった時のセリフ、ちょっと早口過ぎて聞き取れないことが多々。
『キング・アーサー』の時もそんなこと思ったので、どうしたものか(どうもできないけど)。
もともと通りにくい声質だと思うので、発声そのものをどうにかするしかなさそうだけど…
毎回、ボイトレどうなってるのかなぁと余計なことを考えてしまう。(私の耳の性能が落ちているのだったらすみません)


ストラウス博士の東山義久くん。オレ様封印。
勝手にニーマー教授と思ってて、最初のへん「あれ?」となった。(配役よく見ろ自分)
2014年はストラウス博士は宮川浩さんだったので、ずいぶんイメージ変わったなー

チャーリィのお父さん役が良かった。
散髪屋を営む父親のところに、生き別れた息子が客として会いに来た。気付かないのか気付くのか、見守る時間の切なさ。
チャーリィが回想する、家族の確執。もしかしたら父親の頭によぎった記憶なのかもしれない、と思ってみたり。
名乗れないまま店を出るチャーリィを呼び止め、父親が言う「お客さん、3ドル50セント、、、」
残酷にも思えるが、義くんが醸し出す繊細な空気が優しくて、涙が止まらなかった。

余談だけど、義くんと浦井くんが並ぶと『宝塚BOYS』思い出す。
DVD観たくなった(探そう)(←こればっか)


みっちゃん(北翔海莉)演じるキニアン先生が意外と可愛いと言うか、ちょっと女っぽくて
私が持っているキニアン先生のイメージと違った。安寿ミラさんの包容力を感じさせるキャラのイメージが強いからか。
歌が良き。温かみのある声、ホント好き。

なっちゃん(大月さゆ)も素晴らしかった。
看護師ヒルダ、母親ローズ、妹ノーマ、と気持ちを切り替えるの大変だろうな。
眠るチャーリィに語りかけるように歌うヒルダ、聖母のようだった。

大山真志さん、ニーマー教授。てっきりストラウス博士かと思っていて、最初のへん混乱。
2014年のニーマー教授役は良知真次くんだったんだもの(だから何)。

助手バートの若松渓太くん。
以前からアンサンブルで名前を見かけるけど、はっきり意識して観たのは初めてかも。
助手バートのキャラ的な立ち位置がブレずにしっかりしていて良き。

フェイの渡来美友ちゃん。
初めて拝見。ちょっと“アメリカの女の子のモノマネ”感が無きにしもあらずだったけど、上手い子だな〜と思って観ていた。
ナニモノだろう?と検索してみたら、昨年から舞台出演している若手さん。今後が楽しみ。


妹ノーマの幼少期を演じていた藤田奈那ちゃんも可愛らしくて、中学生ぐらいかと思ったら元AKB48だった。
なんとなく幼い妹ノーマの気持ちに感情移入してしまい、辛くなった。


そして何よりも、アルジャーノンの長澤風海くん。
『ニジンスキー』('14)ぐらいから、ちょくちょく観ている風海くん。最近では『キング・アーサー』の“狼”。
今回はねずみで、わりとガッツリねずみコスプレ。ちょっと童顔なお顔立ちにお耳が似合って可愛かった。
動きだけの表現。だけど、ねずみだから感情らしい感情は無い。そこを表現してるのが、シンプルに凄い。
知能が退化して凶暴になったアルジャーノンにも、感情は無かった。

チャーリィから見ると、“賢くなる”目標であり相棒であり、自分自身を投影する存在であり、近い将来の自分でもあり…
アルジャーノンありきのチャーリィだった。
「アルジャーノンに花を供えてあげてください」、チャーリィはどんな気持ちだったのだろうと考えるとやはり辛くて思考停止してしまう。


演出が、いつから変わったのか知らないけど、上島雪夫さんになったんですね。オギーはオリジナル演出ということで名前は残っているけど。
照明を使って客席サイドの壁に影を映し出す演出、良き。後方席だったのでしっかり観ることができた。

ねずみのミニーちゃんは人間が演じるのではなく、白いモコモコしたもの。以前はミニーちゃんを女の子が演じていたような。
そのモコモコがねずみの形かどうかもわからずにいたが、アルジャーノンに食い殺される場面で、ただの白くて長いモコモコ(丸めてあった)と判明。

舞台のセット、ちょっと無機質で冷たい印象がある2014年版に比べて、少し温かみを感じるセットだったと思う。
知能が退化していくチャーリィが、少しでも幸せだったと思えていたらいいなぁ…と願いつつ
重いものを感じながら帰途に就いた。


あと、個人的には
ガンが発覚した時の、病気が進行する恐怖を思い出したりとか
物忘れ(認知症)が進みつつあった頃の両親が不安を訴えてきた状況とか
将来、自分が認知症になったらその不安と向き合わなくてはならないのか、とか
いろいろ想像して胸の奥がズーン…となった。

『アルジャーノンに花束を』をマチネにして
『おかしな二人』をソワレで観れば楽しい気持ちで帰れたのに、、、

スケジューリング失敗した感は否めない。