11/14(月)15(火)は関係者のコロナ陽性判明により公演中止。
16(水)休演日を挟んで、17(木)より公演再開されました。


『エリザベート』@帝国劇場
(2022.11.19(土)13:00〜)1階L列上手(FCにて)



 【上演時間】約3時間5分(80/休25/80)

【スタッフ】
脚本/歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出/訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)
音楽監督:甲斐正人
美術:二村周作
衣裳:生澤美子

【キャスト】

エリザベート:★花總まり/愛希れいか
トート:★山崎育三郎(東京)/古川雄大/井上芳雄(福岡)
フランツ・ヨーゼフ:田代万里生/★佐藤隆紀
ルドルフ:甲斐翔真/★立石俊樹
ゾフィー皇太后:剣幸/涼風真世/★香寿たつき
ルイジ・ルキーニ:黒羽麻璃央/★上山竜治

ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
マックス(エリザベートの父):原 慎一郎
ツェップス(新聞の発行人):松井 工
エルマー(ハンガリー貴族):佐々木 崇
シュテファン(ハンガリー貴族):章平
ジュラ(ハンガリー貴族):加藤 将
リヒテンシュタイン(女官長):秋園美緒

少年ルドルフ:井伊 巧/★西田理人/三木治人

シュヴァルツェンベルク、他:朝隈濯朗
ラウシャー大司教、他:安部誠司
グリュンネ伯爵、他:石川 剛
ゴンドルークル伯爵(教育係)、他:奥山 寛
ラビ(ユダヤ人)、他:川口大地
ヒューブナー男爵、他:後藤晋彦
マクシミリアン(メキシコ皇帝)、他:柴原直樹
兵士、他:白山博基
従僕、他:田中秀哉
従僕、他:福永悠二
精神病院の院長、他:港 幸樹
ケンペン男爵、デブレツィン市長、他:横沢健司
女官、娼婦マリ、他:天野朋子
ヴィンディッシュ、他:彩花まり
女官、アランソン公爵夫人、他:彩橋みゆ
死刑囚の母、ヴァイオリンを弾く患者、他:池谷祐子
女官、娼婦ミッツィー、他:石原絵理
女官、他:華妃まいあ
ヘレネ、他:原 広実
家庭教師、他:真記子
娼婦マデレーネ、他:美麗
侍女、他:安岡千夏
スターレイ伯爵夫人、他:山田裕美子
娼婦ロミ、マリア(ナポリ王妃)、他:ゆめ真音

トートダンサー:乾 直樹、五十嵐耕司、岡崎大樹、
小南竜平、澤村 亮、鈴木凌平、山野 光、渡辺謙典

スウィング:廣瀬孝輔、山下麗奈

裁判官の声:菅生隆之



10/23以来、およそ1か月ぶりの『エリザベート』。
やや上手寄りの舞台全体が観やすい座席位置で、メチャメチャ惹き込まれて何度も涙が出たり全身鳥肌が立ったり。
やっぱスゲェな〜〜エリザベート。なんなんだろうね、この神がかった空気は。


で、


その神がかった空気の真ん中には、花ちゃんシシィがいる。
花總まりがエリザベートを演じるようになってから、ずっとそんなふうに感じているのだけど

この回、そんな空気が充満する舞台全体を無理なく捉えられる距離感も良かったんだと思う。
何かやけに一体感が(一方的に)あり、花ちゃんの歌を聴く度になぜか涙が溢れて止まらなかった。何度も全身に鳥肌が立った。
最前列とは、また違った感慨だった。(最前列とかだと舞台の迫力に飲み込まれる感じ)

そしてホント、超絶美しい。その造形はもちろんだけど、生きることの美しさって言うか。
自我に目覚めた時の強くて前向きな美しさ、美貌を武器に皇后として覚醒した時の凄まじい美しさ、
魂の不自由を嘆く時でさえ。その苦しみも生きているからこそ、と。

もがきながら生きることを選んだ花ちゃんシシィが、育トートにねっとりと絡め取られていく感じ。
断ち切れない二人の関係が、なんかもうR指定にすら見えてきて(おい)ムダに緊張。
見終わった時には、やっと息をつけたような安堵感と疲労感がありました。


そして、わたくし4回目の山崎育三郎トート。これで見納めでした。
声、ツヤツヤ、ノビノビ。「悪夢」の高音シャウトで少しかすれてたけど、それはそれでパワフルでアツくて
なんとなく、育トートがラストスパートかけているようで(この時点で育トート残り6回)勝手にウルウル。

「最後のダンス」はいつもショーストップ並みの拍手だったけど、他の楽曲でも拍手が鳴り止まず、オケも育くんが歌い終わってから次にうつるまで長めに時間とっている感じ。
何度も、育くんの歌が好き。と思う。(しかしエコー効き過ぎ)

公演が始まる前は、感情ダダ漏れのテンション高めの(比較的わかりやすい)キャラを想像していた育トートだけど
始まってみたらけっこう抑えた演技で、表現力(特に眼力)に磨きがかかっていたの、意外だった。
大袈裟な動きは無くて、ねっとりとからみつくような目線が強烈なトート。静かに漂う執着心。
そう言えば、トート(死)って“概念”なんだよな、と育トートを見てあらためて思った。

そしてやはり、花ちゃんシシィに対しては少し礼儀正しい気がする育トート。(初日はテンション高かったが)
(ちゃぴシシィにはもっと強めのアプローチだった印象(10/23ちゃぴシシィ比))

前に観た時、育トートと花ちゃんシシィは前世とか血縁のような繋がりを感じていたのだけど
それって今までの共演歴で培われた絆が、キャラクターを通して浮かび上がってるのかもしれない。
(わたくし個人のフィルターがかかっているとも言う)
いくら抵抗しても、何度拒否されても、断ち切れない絆。
この二人の組み合わせが好きだった。


上山ルキーニは、声がよく出てた。やはり前回は調子悪かったんだな(休演からの復帰直後だったし)
場を仕切る、回す、そういうところの安定感、安心感。

ヒャッハ〜〜アップな時と、冷めた時の陰影がくっきり。特に2幕の、止まらない狂気。
ルドルフに対して哀れむような目線を送っていることに気付き、実際のルキーニが母親に捨てられた恵まれない経歴であったことを思い出す。

今回の小鳥ちゃん、手を放した着後に落下し、舞台上でバタバタしていたのだけど
ルキーニがアドリブで何か言うかと思ったら無言で、ただニヤリとして、飛べずにバタバタする小鳥を指し示した。
まるで皇后のようだろう?…ってこと?(鳥肌)
ここであえて無言でいることをチョイスしたの、上山くんスゴい。そして、ルキーニが怖くなった。

やや存在感薄めと思っていた上山ルキーニを、かなり濃く感じた今回。
エリザベートを刺した後の上山ルキーニの顔が実際の逮捕直後の写真にそっくりで、これまた鳥肌が立った。


今期初のシュガー(佐藤隆紀)フランツ。やっぱ歌が良い。
あの厚み、深み。声の表現力が素晴らしい。いくらでも聴いていたい。ホント好き!
1幕ラストの三重唱は、やはりシュガーくんの「エリ〜ザベ〜〜〜」が好き過ぎる(万里生くんもいいんだけどね)

シシィへの愛、息子への思い。でも、まずは職務を貫く義務と責任。
万里生くんが愛に重きを置いたフランツだとしたら、シュガーくんは皇帝としての立場を重んじ、中立であろうとするフランツだった。
シシィが離れていって、初めて気付く事の重大さ。思わず母ゾフィーにぶつける怒り←さすがにゾフィーが可哀想

今期はシュガーくんを観る回数が少ないので、しっかり目に耳に焼き付けておきたい。


たーたん(香寿たつき)ゾフィーの、全ては皇帝である息子の為に何よりも立場を重んじる厳しさ。
かなめさんゾフィーだと女性特有の嫉妬や独占欲を感じたりもするのだけど、たーたんゾフィーは正しく「宮廷で唯一の男」。
そんなゾフィーの「ベラリア」は泣けて泣けて仕方がない。
トートダンサーたちの敬意を感じるお迎えが、わたしにとっては唯一の救いです。


立石ルドルフ、ワタシ的には“これぞルドルフ”なルドルフ。
綺麗で繊細で、トートに愛されそうな、そしていかにも翻弄されそうなルドルフ。
花ちゃんシシィの息子だなぁ、と自然に思えるビジュアルと雰囲気。
父親であるシュガーフランツの皇帝たる者の圧に、必死で抗いながらも絶対に勝ち目は無さそうで、
ママに助けを求めながらも既に死の淵に片足つっこんでそうな悲壮感。
「闇が広がる」、彼の足元からどんどん影が伸びていくようなイメージがピッタリ。
ダンスも美しくて、良いです。良い良い。好き。



とってもハマッた回でした。
思い出しても泣けそう。


そんな気持ちを引きずりながら、
これからまた『エリザベート』観ます。

花ちゃんFC「花の会」貸切公演です。
今期最後の帝劇!