昨日は夫の実家に行っていたのに、星組の配信観たさに「雨が降りそうだから」という雑な理由で早々に帰宅。(ごめんなさい)

配信開始までにとりあえず夕食(温め直すだけで食べられるもの)を用意して万全の体制で配信に臨むも
夫の帰宅に合わせて夕食を温め直す作業からは逃れられず(なにせ現在は養ってもらってる立場(^^;)

以前、いつもお邪魔するブロガーさんが紹介されていて、店頭で見かけた時にナニゲに購入していた
↓こーゆーヤツで対応。

動くと揺れるし、冷蔵庫や食器棚を開ける時に距離感を誤るとガチャガチャぶつかるけど
とりま途切れることなく視聴を続けられたので大いに役に立った。(長時間は肩が凝って無理っぽいけど)


どうでもいい前置きでした。



視聴したのは
イシちゃん退団公演となる↓こちら




戯作
『婆娑羅(ばさら)の玄孫(やしゃご)』@シアター・ドラマシティ
(2021.7.14(水)16:00~)

【上演時間】2時間35分(65/休30/60)

【作・演出】植田 紳爾

【主な配役】
細石蔵之介:轟 悠
小久保彦左:汝鳥 伶
五貫屋嘉兵衛/小笠原俣三:美稀 千種
お鈴:音波 みのり
お仲:夢妃 杏瑠
長太:ひろ香 祐
お花:紫 りら
阿部四郎五郎/西川頼母:天華 えま
おたえ:澪乃 桜季
又一:天希 ほまれ
麗々:小桜 ほのか
権六:極美 慎
三五郎:煌 えりせ
弁辰:颯香 凜
善助:咲城 けい
お蝶:瑠璃 花夏
長松:紘希 柚葉
米吉:羽玲 有華
正吉:御剣 海
五六八:世晴 あさ
真々:稀惺 かずと
お松:鳳花 るりな
甚左:彩紋 ねお
おつる:乙華 菜乃
しず美:愛花 いと
六助:凰陽 さや華
お袖:咲園 りさ
※澄華あまねは全日程休演

【公演解説】
絢爛たる江戸文化が花開いた頃。本所の長屋に、人々から「婆娑羅の玄孫」と呼ばれ慕われる細石蔵之介という男が暮らしていた。
室町幕府設立の立役者でありながら文化芸能に通じ婆娑羅大名と呼ばれた佐々木道誉の子孫で、近江蒲生郡安土を治める佐々木家当主の次男として生まれた蔵之介であったが、母の身分が低い為に家名を名乗ることも許されずにいたのだ。
しかし非凡な才を持ち、近隣の子供に学問や剣術さらには歌道や茶道を教えるよろず指南所を営む蔵之介は、さすが道誉の血を引く者として長屋の人々の自慢の存在となっていた。
正義感に溢れ、将軍家の権威を後ろ盾に横暴な振る舞いをする旗本に一矢報いる等、とかく評判の人気者であったが、父に捨てられたとの想いから時折寂寞感を漂わせてもいた。そんな蔵之介のもとに、佐々木家が取り潰しになるという噂が届く…。(公式より)


幕開き前、
歌舞伎の出囃子のような和楽器の演奏が流れていて和物の気分が盛り上がる。

イシちゃん(轟悠)の開演アナウンスで客席からは盛大な拍手。
大劇場並みの拍手に聞こえたなぁー。ドラマシティのキャパは900弱だと言うのに…
ファンの愛と熱がこもった拍手だと思ったら、わたくし既に涙目。

幕が上がると、舞台奥の中央に板付きのイシちゃんの後ろ姿。
見返る姿が美しかった。


ところで私、「婆娑羅(ばさら)」って仏教関連の言葉かと思っていたのだけど
(ついでに言うと昔の暴走族とかのネーミングを思い出すのだけど。"夜露死苦"的な)

Wikipediaによると「ばさら」とは↓


「日本の中世、主に南北朝時代の社会風潮や文化的流行をあらわす言葉で、実際に当時の流行語として用いられた」美意識やその行動を表す言葉であり
戦国時代以降は「うつけ」「かぶき」などという表現に変わっていったらしい。
「かぶき者」前田慶次や「うつけ者」織田信長ね、とイメージがわく。
(ちなみに、仏教関連の「ばさら」は十二神将のうちの一人「跋折羅(ばさら)」=金剛力士らしい)


で、


この作品の主人公である細石(さざれいし)蔵之介は、実際に"婆娑羅大名"と呼ばれた佐々木道誉の血を受け継ぐ青年、という設定。
ただ、本妻の子でなかった為に佐々木家からは廃嫡され今は下町の長屋に住んでいるという。

むしり(←青天じゃないボサボサ頭)に派手な柄の着物を着流す遊び人風の出で立ちながら、どこか高貴さがある麗しい細石蔵之介。
子供たちに論語を教えたり、困った人を助けたり。
長屋の皆からは「イシさん」と呼ばれて、頼られ慕われている。

皆から慕われる「イシさん」!!!!

ごくナチュラルにリアルにリンクしてるの凄すぎん? (ワタシ再び涙目)
植田御大、見直した。


物語は、
一幕は、長崎からやってきた中国人姉弟の仇討ちを中心に長屋の人たちとの温かい交流が描かれ
二幕は、細石蔵之介の生家である佐々木家の跡継ぎが亡くなったことから展開する。

歌舞伎の世話物、仇討ち物、人情噺を混ぜ合わせたようなストーリー。
二幕冒頭は、若衆の舞踊の中にイシちゃんが白頭(しろがしら)の獅子の扮装で登場し、これまた歌舞伎のよう。

て言うか、

一幕と二幕の区切り方はまるで歌舞伎の一幕物のような作りだし、全体的に歌舞伎を意識して作られたのかな、と思った。
(もしかしたら歌舞伎を観たことない方には大衆演劇に見えちゃうかもだけど
歌舞伎は江戸時代の大衆演劇であるので、それはそれで有りだと思う)

そんな中に、下町の威勢の良いお祭りや、派手な立廻り、華やかな日本舞踊や獅子舞いなど
宝塚らしい場面が散りばめられていて面白かった。


そして、トップスターが真ん中にいて、とにかくカッコいいっていう安心感。
ちょっと『一夢庵風流記』('14雪組、壮一帆・愛加あゆ)を思い出した。

ひとつ気になったのは、場面転換の為か カーテン前での歌やお芝居の多さ。
長屋の子供たちがキャッキャしながら歌ったりやりとりした後、更に蔵之介とお鈴が出てきてツンデレな口喧嘩するあたり、ちょっと間延びした感。

あと、個人的には「なめくじ長屋」というネーミングが苦手だったなー(^^;
セリフに出てくる度に微妙に気持ち悪かった(キライなんだもん)



そして、やはりイシちゃん(轟悠)は演技の人だ、と思う。
演じる細石蔵之介は、粋な洒落者で優しくて強い、けど人情に弱そうな(笑)青年。年齢設定は20代かなぁ?
確実に伝わる芝居。美しい立ち姿。しっかりとした、やや独特な口跡。
特に汝鳥さん演じる彦左とのやりとりは本当に歌舞伎の世話物を観ているようで、タカラジェンヌという枠を超えた「役者」だなぁ…としみじみ。

相手役・お鈴は下町の焼き芋屋さんで、はるこちゃん(音波みのり)
"イシさん"とは相思相愛なのに、素直になれないツンデレ同士。たぶんメチャメチャ若い設定だけど(笑)、上手い娘役さんなので頑張っていた。
最終的には身分違いの恋であり(イシちゃん退団公演でもあり)、結ばれないのが切ない。

瓦版売り権六の慎くん(極美 慎)。瓦版売りという仕事柄情報通であり、軽く狂言回しのようなポジションにも納得。
てーへんだ!ガッテンだ!的な下町言葉がちょっとたどたどしいところもあったけど(笑)、オイシイ役だと思う。

ぴーすけくん(天華えま)は、一幕は悪事に加担する旗本、二幕は佐々木家の忠実な家臣という2役で
顔つきが全然違うの。(どっちもイケメンだけどさ)
慎くんと共に踊るお祭り場面でのカッコ良さは絶品だった。

長崎から来た清国の姉弟は、姉・麗々がほのかちゃん(小桜ほのか)、麗々の弟・真々が稀惺かずとくん
ほとんどの出演者がモブ化している中で、この姉弟は一幕の中心人物でセリフも多いし(カタコトだったりするけどw)、歌もあるし、良かった。

特に稀惺かずとくんは105期で、けっこうな抜擢?
松岡修造氏の娘さんということで入学時から刮目しているけど、容姿にも恵まれているし、歌もまずまず。今後が楽しみ。
劇中、父親の仇を討った真々に、イシさんが「父上の志を受け継ぐのだぞ」と言うセリフがあるのだけど
これはやはりリアル父上・松岡修造氏を意識しているのかしら(暑苦しくなるのは勘弁してほしいw)

長屋でイシさんのお世話をする娘で、お鈴の姉であるお仲・あんるちゃん(夢妃杏瑠)
同じく長屋に住む威勢のいいお父ちゃん・長松のヒーローくん(ひろ香祐)
麗々と真々の仇討ちに一役買う、いろは座のお花・りらちゃん(紫りら)など
キュッと引き締める立ち位置で存在感あった。

その他はだいたい長屋の住人だったり子供たちだったりして完全モブだけど
ちょっとしたセリフなどで各々キャラクターはっきりしてた感。


物語終盤、長屋を出て佐々木家に戻ることを決意した細石蔵之介ことタカヒサ(←蔵之介の本当の名。字がわからん)が
長屋の人たちに別れを告げる場面、そして爺(じい)こと彦左(汝鳥伶)とのやりとり。

彦左に問いかける蔵之介。
「爺、これで良かったのだな。
これからは知らない世界だ。私はやっていけるのか」

「ご立派でございました。」と答える彦左。
「明日は"ゆくもの"ではございません、"くるもの"でございます」

それはもう、ものすっっっごく分かりやすく退団を意識したやりとりなのだけど、まんまと乗せられてワタシ泣く。
イシちゃーーーーーーーーーーーーーーん!!!!


一幕始めと二幕最後のイシちゃんの歌。

轟け、轟け、我が心
この命、燃やし尽くすまで…

歌詞にイシちゃんの思いが託されているのね。
ちょっと、歌詞をちゃんと確認したい。


カーテンコールはお祭りの歌で明るく、楽しく。
舞台中央に立つイシちゃんに、星組の皆が順々にお辞儀をしていく。
イシちゃんのご挨拶は「本日はありがとうございました」のみで特別な言葉は無く…
あくまでもいつもどおりなんだな、イシちゃん…(涙)



そして本日、ドラマシティ千秋楽です。
その後7/21(水)~29(木)、東京芸術劇場プレイハウスにて東京公演。

大千秋楽の配信は無いのか~~~あせるあせるあせるあせる



◆日刊スポーツ