今年の日記は今年のうちに……
と言うことで、31日付けでupします(汗)
(ホントは年明けてるw)



『Take me out』@兵庫
(2016.12.23(土) 18:00~) K列センター

忙しい時期だし、ストプレだし、キャストにも さほど興味無いし……で、スルーするつもりだったのに
第57回トニー賞(2003年)で演劇作品賞を受賞した作品を(ちなみにこの時のミュージカル作品賞は『ヘアスプレー』)
藤田俊太郎さんが演出!小川絵梨子さんが翻訳!
迷いに迷ったけど、どうにもこうにも心惹かれて『扉の向こう側』観劇時に劇場窓口で購入。
段差大きくて、とても観やすい席でした。


【スタッフ】
作:リチャード・グリーンバーグ
翻訳:小川絵梨子
演出:藤田俊太郎

【キャスト】
良知真次      as メイソン・マーゼック

栗原類          as シェーン・マンギット

多和田秀弥  as トッディ・クーヴィッツ

味方良介       as キッピー・サンダーストーム

小柳心           as ジェイソン・シェニアー 

渋谷謙人       as マルティネス

Spi                 as デイビー・バトル

章平               as ダレン・レミング

吉田健悟       as ロドリゲス

竪山隼太       as タケシ・カワバタ

田中茂弘       as スキッパー



【ストーリー】
いろんな人種が入り混じったメジャーリーグの野球チーム。
スター選手ダレンのゲイ告白をきっかけとして、人種や信仰、性的嗜好など、さまざまな”違い”を抱えた彼らの内面が噴き出していく。
チームメイトたちによって繰り広げられる群像劇。

↓ストーリーざっくり覚え書き↓
メジャーリーグ、エンパイアーズの主力選手で国民的大スターのダレンが会見を開いた。
「僕は、ゲイです」

衝撃のカミングアウトに動揺するチームメイト。否定的な者が多い中、キッピーは変わらぬ態度をとり、ジェイソンは憧れのスターであるダレンを元気づける。

別チームに所属するデイビーは、ダレンの数年来の親友で、敬虔なクリスチャン。
数日前、親友なのに心を開かないダレンを気遣い「自分自身を解放しろ」と言ったが、その後に衝撃のカミングアウトとなったのだった。

そんな中、会計士のメイソンはダレンの財産管理をすることになる。

3連覇を目指すエンパイア―ズは、日本人投手カワバタの不調で負けが続く。
新しく加入した投手シェーンは、技術は素晴らしいが 無口で エキセントリック。
ある日のヒーローインタビューで、
「黄色いのや黒いの(=人種)は気にならない。でも、ホモ野郎が一緒にシャワーを浴びるのは気持ち悪い!」と答え、その差別的発言により謹慎処分に。

チームが混乱する中、ダレンは周りに惑わされることなく自分の野球をやり続け成績をあげる。

謹慎中のシェーンが謝罪の手紙を公開した。
孤児院で育ち、あれがいけない言葉だと教わる環境ではなかったと綴り、野球をしたいと訴える。
そんな彼を周りは許そうとするが、ダレンは許せない。
監督に抗議するも受け入れられず、ダレンは野球をやめる、とメイソンに言う。

メイソンは、ダレンに会い 試合を見たりするうちに すっかり野球に魅せられ、今では試合を見て感動のあまり泣いてしまうほどになっていた。
「やめるなんて言わないでください」というメイソンの涙の説得と、親友デイビーが所属するチームとの試合を控えていたこともあり、ダレンはひとまず踏み留まる。

そして試合の日、クラブハウスで久しぶりに会ったダレンとデイビー。しかしデイビーはダレンを拒絶する。
ダレンはデイビーの「自分自身を解放しろ」という言葉を、ゲイである自分に気付いてくれたと思っていたが、デイビーとしては あくまでも親友としての言葉だった。
デイビーに罵倒され、怒ったダレンは別れ際に「死ね!」と口走る。

そして この日はシェーン復帰の日。
潔癖症で何回もシャワーを浴びるシェーンは、シャワールームでダレンに遭遇する。
イラついているダレンはシェーンを羽交い締めして罵る。
ダレンが去るとシェーンはタオルを床に叩きつけ、壊れたように叫び声をあげて踏みつけた。

試合は9回からシェーンの登板。バッターはデイビー。
狂気をまとったようなシェーンの投球はデイビーの頭を直撃し、デイビーは帰らぬ人に。
そしてシェーンは警察へ。

キッピーはダレンを同行して警察へ面会に行く。ダレンを見て激昂するシェーン。
何故あんなボールを投げたのかと聞かれ、怒りながら上着を何度も床に叩きつけるシェーン。
シェーンは、あの日のダレンとデイビーの会話を偶然 聞いていた。
「親友なら「死ね」なんて言わない。ダレンが望んだことだ!俺は ただ投げたいんだよ!」

以前、シェーンが謹慎中に出した謝罪の手紙は、実はキッピーがチームの為にと仕組んだことだったことも暴露され、ダレンとキッピーは気まずくなっていった。

シーズンが終わり、エンパイアーズは3度目のチャンピオンに輝く。
祝賀会の日、キッピーはダレンに「また友達に戻れるかな」と言うが、ダレンは「友達だったのか?」と聞く。

そこへ、試合を見ていたメイソンがやってくる。
今シーズンを振り返り「もう未練はない」と言うダレンを、前向きに引き留めるメイソン。
ダレンはそんなメイソンを祝賀パーティーに誘い、自分のチャンピオンリングを1つ、メイソンの指にはめてやる。

メイソンはグラウンドで手をかざし、指輪をうっとりと見つめる。
声を落とし「悲劇的なシーズンだった…」と言った後、祝賀パーティーへ向かう。
「春まで何をしようかな」とウキウキしながら。

野球界から追放されたシェーンは、その後マシンガンを持ってコンビニを襲い逮捕された。
(牛乳瓶を撃ちまくったと言ってたような?←)


以上、ざっくりストーリー終了。
覚え書き (しかも うろ覚え)なので てきとーです。

毎度のことながら予習もせず、"コメディ" って書いてあったから軽い気持ちでいたら
観てるうちに 何か違う??てなって、最終的には わりと重い内容だった……のに、なぜか可笑しさ、軽妙さを感じる この不思議な世界観。
舞台奥にステージシートを設けて前後関係なく演じるのは、人間の裏も表も見せる、ということだろうか?(野球だし)

藤田俊太郎さんの演出ではお馴染み(だと思う)、一瞬にして場面変換してしまう可動式のフェンスと いくつかのモニター映像。
そして畳み掛けるような膨大なセリフで 休憩なしの2時間10分というスピード感。
野球チームの話とは言っても、セクシャリティやアイデンティティを問う社会の縮図であり、考えさせられる内容。
なのに笑える。(てか、だからこそ笑いが必要だったのか)
やっぱ観て良かった~~と思った。


唯一、野球選手ではない (スター選手ダレンの会計士となる) メイソン役の良知くん。キッピー役の味方良介くんと共に、物語の進行役のポジションでもありました。
インテリかと思いきや、野球オンチで純粋で、どんどん野球が好きになってくとこが可愛いくて。わりと凄まじい展開の中、メイソンの存在はオアシスだった。
ダレンだって、メイソンがいなければ立ち直れなかったかもしれない。(てか、お似合いの二人だったね)

良知メイソンが客席通路で喋る場面があったのだけど、これが私が座っているK列の辺りだったので、間近で観れて眼福。
客席に座って俯瞰している時はK列のうしろ(L列)にご着席で、何度も振り返りそうになったわwww

ピッチャー、シェーン役は栗原類くん。
エキセントリックなシェーンがピッタリ過ぎて、これやれるの他にいないわ、と。
大リーグのピッチャーにしては(てか大リーグじゃなくフツーに投げるにしても) 有り得ないフォームでの投球すら、彼の人格の象徴なのだと納得してしまった。

ダレン役の章平さんは初めて拝見。
ダレンは このチームに巻き起こる全ての問題の根元。ほぼ出ずっぱりで、実質 主役だよね?
俺はスターだ、というキャラクターが嫌味なくて上手かった。
タッパがあってガタイいいからか、やたら上半身 脱いでたなぁ…と思ったら ポスターからして脱いでたwww

キッピー役の味方良介くん!
「自分だけは皆のことわかってる」「自分にだけは話してくれる」←こういうのが好きなオバチャンが、私の周りにもいるわ。
そしてそういうヒトは、たいてい「そんな自分が大好き」なんだよね。
そういうキャラ、にじみ出てました。上手かったね~。

他のメンバーも、
嫌いなものは嫌い、と隠さず攻撃してくるトッディ(多和田秀弥)とか
いいヤツっぽいけど、なぜだか報われなさそうなw ジェイソン(小柳心)とか
口下手な為にからかわれて、ある日突然(方言丸出しでwww)キレた日本人選手カワバタ(竪山隼太)とか
親友と思っていたダレンに思いを寄せられて拒絶、罵倒したデイビー(Spi)とか
皆それぞれ何かを抱えていて、ちゃんとキャラ ハマッてて、上手くて。
とにかくパワーを感じる舞台だった。

ただ、日本人が演じるには やはり "人種" という表現には限度があるなぁ~と思ってしまうのは
つい最近『RENT』来日公演を観ちゃったりなんかしたからでしょうか。
リアルな世界観に触れてみたいかも。


それにしても、
12月に観た3作品はどれもセクシャル・マイノリティのお話でした。
少数派も生きやすい世界になるといいね。