誰しもバーボンを飲む理由(言い訳)がある。

僕の場合、簡単に言ってしまえば洗脳に近い。

世界には2種類の人間がいる、バーボンを飲む人間と飲まない人間とだ、という価値観の押し売り。

バーボンをストレートで飲む奴が男の中の男なんだっていう教育。

それは2002年から2006年まで、ふらっと入った、とあるバーで当時二十歳の僕におきたのでした。

めでたしめでたし。





いや、もうちょっと続きます。

そのバーは今の僕にとっては聖地、というには大袈裟すぎるけどいい思い出の一つとして覚えています。

店内の治安と秩序は70歳近いマスターに守られ(気に入らないお客さんはすぐ追い返すから)
店内の壁にはエルビスプレスリーとマリリンモンローとジェームスディーン。

古き良きアメリカ。
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いつもおしゃれなシャツに蝶ネクタイのマスター。
いつも仕事中なのにバーボンストレートを飲むマスター。

あの頃は本当になんてゆうか、自分で自分の世話だけしておけば良かった。

当たり前ですが学生の一人暮らしなんて大人と比べたらやる事もないし色々とシンプルなんですね。

アメリカの大統領が変わるから為替に気をつけようとか、奥さんや飼い犬の機嫌を伺う事も必要なかったなぁ。

電気屋のポイントカードも、壊れたシャワーヘッドも、粉まみれにされたキッチンも、
気に入らないものは全部放り投げておけばそれでよかった。

お米を炊いたのをすっかり忘れてて放置したら炊飯器の中がナウシカになっちゃって、それだってどっかに放り投げれた青春の日々。

重い扉を開けてマリリンモンローを横目で見ながらバーカウンターに座れば何も言わずいつものバーボンが注いでもらえた。

クソ生意気でクソガキの僕の誕生。

その時は正しい場所で正しい選択と振る舞いがいとも簡単にできていると思った。

それはもちろんバーの中だけだったけど。

いや、感傷に浸ってるわけじゃないっす。

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先日東京に行った際に久しぶりにバーを訪ねました。
残念ながらマスターはお店には立ってなかったけど。
バーの灯りは2017年もついていました。
めでたしめでたし。
ちゃんちゃん。