薫り高い ☕︎ 貴女だけの物語りを一杯一杯、丁寧に抽出します。
魅力抽出マイスター・純喫茶〜洞穴(ほらあな)〜の主人(あるじ)です。
〜前回までのあらすじ〜
ここは、どこもかしこも張りぼてのような建物が、所狭しと建ち並ぶテーマパークのような世界。
人々は、動物のかぶり物を被り、お互いの顔も見えず、心も見せず、自分の気持ちにも魅力にも気がつかず、忙しく暮らしています。
そんな人々が、ひょんなことから常連になる神出鬼没な喫茶店が、ここ『純喫茶・洞穴』
その不思議な店に現れた
"美しいきもの姿と雅な兎のお面の彼女"
着ぐるみだらけのこの世界では、とても個性的で美しい彼女。
そんな彼女の魅力抽出とはいかに??
わたしよりも、遥かにビジネスの実績も年数も、人生の経験もある彼女。そんな彼女にわたしは、必要だろうか?十分にその魅力は構築されているのでは?
そんな葛藤が、続きました。
彼女に幾度も店に足を運んでもらっては、じっくり抽出作業を繰り返す・・
そんな中でわたしは、あることに気がつきます。
それは・・
ビジネス初期のわたしが
ビジネス中期の方の魅力を抽出するなんて
おこがましい。
という考えは
ただの思い込み。
に過ぎないということ。
魅力をひきだすことに、初期も中期もない。ということなのです。
そして、一番大切なのは
頼みたいと思ってくれた
お客さまの気持ち。
必要としてくれる人に
自分勝手な思い込みで挑まないのは
ただの自分本位。
彼女との時間を通してわたしは、そのことに気がついたのです。
そして、なによりも『目の前のお客さまを大事にすること。』しっかりと丁寧に向き合うことの大切さをあらためて、実感しました。
わたしは、もっと彼女を知るべく、彼女のブログを遡り、愛読雑誌を取り寄せては読みふけり、どこかにヒントはないか?とあらゆる手段を総動員させて抽出に挑みました。
なんども彼女に質問したり、意見を聞いたり・・そんな日々を繰り返したある日。
これだ!!
ついに、彼女の魅力を凝縮した 渾身の一杯が、抽出できました!
わたしからの連絡を受け、忙しい最中をぬって店に現れた彼女は、新春にふさわしく、洋風の美しい燭台柄の刺繍がほどこされた紫色の着物姿で現れました。
わたしはその姿をぼんやりと眺めながら、年が明けていることに気がつきました。
今回のご依頼は「キャッチコピーと肩書き」
ドキドキしているわたしとは反対に、抽出された一杯を とても嬉しそうに受け取る彼女。
ふと気がつくと、兎のお面は消えていて その顔は、素敵な笑顔で輝いていました。