2022年8月30日(火)

内山節さんの3部作を読み進めている。

 

民主主義、国家、近代、合理主義などなどを考察し直し、実体よりも関係性を中心に据えてみる。農業(林業)の在り方、農村から未来社会のデザインを提案する内山さんの講義、言葉は平易だけど哲学的で、なかなか簡単に消化はしにくい。

心に響く言葉を書き留めながら一冊目終了。

二冊目は 『資本主義を乗りこえる』

まず序文の冒頭から一部抜粋。

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〈労働の連鎖から貨幣の増殖へ〉

 資本主義以前の経済は、労働の連鎖によって成立していた。

 経済の土台には、新しい価値を生み出す労働がある。

 この構造は今日でも変わることはない。

 だが資本主義のメカニズムはこれとは異なっている。

 資本主義の出発点にあるのは労働ではなく貨幣である。

 その貨幣をどのようにして増殖させるのか。

 資本主義の原理はこの単純なメカニズムでしかない。

 資本主義の課題は貨幣の増殖であり、その手段としての資本の拡大再生産なのであ

 る。

 この単純な原理のなかには、倫理観や人間性は存在しない。

〈資本主義は矛盾とともに展開した〉

〈今日の退廃した資本主義〉

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今年2022年は敗戦の年1945年から77年め。1945年から77年さかのぼると1868年で明治維新の年、、と、どこかで読んだ。

徳川時代の鎖国から大急ぎで西欧近代文明を取り入れ、富国強兵の挙句に、遅れてきた帝国植民地主義国家として、戦争を重ねて77年目に敗戦。無条件降伏。

今度は、マッカーサーの占領軍のもと、軍国主義をやめ、民主主義国家になろうと焦土から経済復興に邁進。エコノミーアニマルと言われながらも突っ走って77年。今や経済も政治もボロボロの衰退国家。

安倍暗殺事件で、カルト集団と政治家の問題も東京五輪の汚職も炙り出されてきた。

covid‐19の対応で医療行政のお粗末さも露呈。少子化問題、貧困化問題、フクシマの原発事故処理も、未解決のまま。経済も円安で人々の暮らしは益々苦しい。

とにかくこれ程難題が山積みなのに、権力者たちは私利私欲のために、国葬や改憲や軍事費拡大などを強行しようとしている。既に日本は民主主義ではなく独裁政権国家のようである。(閣議決定で何でも決めてしまうのは、安倍政治の踏襲。)

 

民主主義も資本主義も、確かに終わりに近づいているのかもしれない。